冷食に高級ブランド 「MAMAMA」 国産こだわり 全農
2018年03月17日

国産食材や無添加にこだわった高級ブランド「MAMAMA(ままま)」
JA全農グループが家庭向け冷凍食品事業を強化し、国産食材や無添加にこだわった高級ブランド「MAMAMA(ままま)」を立ち上げ、16日、東京都内で商品を初披露した。インターネットを中心に販売し、年間2万セット(1セット詰め合わせ)の売り上げ目標を掲げる。単身・共働き世帯の増加で拡大傾向にある市場に、こだわりの国産冷凍食品を売り込み、急増する輸入冷凍食品との差別化を進める。第1弾として、「秋田県産桃豚のとろける角煮」や「鹿児島県産健康咲鶏のスペシャリテ3種セット」など3種類6品目を扱う。
「MAMAMA」ブランドの製造や販売は、全農の子会社、ピュアディッシュ(千葉市美浜区)が行う。同社は介護や給食向けなど業務用の食品加工事業を手掛けていたが、一般消費者向けの販売は初。都内で青果物や総菜販売を展開するアグリゲート(品川区)の協力を得て商品を開発した。
第1弾の食材は全農ミートフーズや全農チキンフーズなどから仕入れる他、ソースも信州産ワインや国産ダイコンなど国産にこだわる。同社が強みとする「真空低温調理」を採用し、食材の栄養素を損なわずに、軟らかく仕上げている。
1セット 3800~4500円と冷凍食品としては高価だが、輸入品が中心となる他の冷凍食品との差別化を図る。同ブランドの専用ホームページで14日から販売している他、16日からは東京駅構内でも期間限定で扱う。今後、商品を拡充しながら、ギフト商材として販売も視野に入れる。「既に百貨店のバイヤーなどから問い合わせが来ている」と反応は上々だ。
JA全農総合企画部事業開発課は「国産食材にこだわり、全農として6次産業化のモデルにしていく」と意気込む。
問い合わせは、同課(電)03-6271-8084。または、ホームページhttp://www.mamama-online.jp/。
「MAMAMA」ブランドの製造や販売は、全農の子会社、ピュアディッシュ(千葉市美浜区)が行う。同社は介護や給食向けなど業務用の食品加工事業を手掛けていたが、一般消費者向けの販売は初。都内で青果物や総菜販売を展開するアグリゲート(品川区)の協力を得て商品を開発した。
第1弾の食材は全農ミートフーズや全農チキンフーズなどから仕入れる他、ソースも信州産ワインや国産ダイコンなど国産にこだわる。同社が強みとする「真空低温調理」を採用し、食材の栄養素を損なわずに、軟らかく仕上げている。
1セット 3800~4500円と冷凍食品としては高価だが、輸入品が中心となる他の冷凍食品との差別化を図る。同ブランドの専用ホームページで14日から販売している他、16日からは東京駅構内でも期間限定で扱う。今後、商品を拡充しながら、ギフト商材として販売も視野に入れる。「既に百貨店のバイヤーなどから問い合わせが来ている」と反応は上々だ。
JA全農総合企画部事業開発課は「国産食材にこだわり、全農として6次産業化のモデルにしていく」と意気込む。
問い合わせは、同課(電)03-6271-8084。または、ホームページhttp://www.mamama-online.jp/。
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金本兼次郎さん(ウナギ料理人) 「焼き方」は一生の修業 ご飯の出来おいしさ左右
ウナギの世界では、さばくのに3年、串打ちに3年、焼くのは一生といわれています。焼くのは一生かけてやり続ける修業だという意味だと思います。私は今日も焼きましたが、本当に納得できたのは最後のウナギくらいですかねえ。
ウナギというのは同じように見えて、一匹一匹皆違います。脂がのってるのもあれば、のってないのもある。その都度その都度、焼き方を考えないといけない。一回一回が勝負です。
今年の1月1日で90歳になりました。本当は前の年の12月27日か28日に生まれたようです。たぶん親は、私が兵役に行くのを延ばそうと思って、翌年の生まれにしたんでしょう。それで満州への徴用を免れました。12月生まれならいや応なしに行かされていたと思います。
家は5月25日の空襲でやられました。いつも私は2階に寝ていたんですけど、親父がその日に限って「今日は防空壕に入れ」と言ったんです。おかげで助かったんです。後で家に帰ったら、屋根が吹っ飛んでいました。
私たちにとって命の次に大事なのは、たれでございます。親父は家の前に防空壕を掘ってたれなど一式入れておきましたので、江戸時代から継ぎ足しで使ってきたたれは無事でした。
長年続く店の5代目として、常によそ様と比較して、ウナギの焼き方や蒸し方を勉強しています。3週間前に福岡に、1週間前に小倉に食べに行きました。来週は大阪に行きます。
大阪ではウナギを蒸しません。たぶん東京の人は大阪でウナギを食べて「硬い! これは俺の食べるウナギではない」と思うでしょう。でも1週間ほど食い倒れの街でたこ焼きなどを満喫した上でウナギを食べたなら「あ、そうか」と理解できると思うんです。
福岡のたれはすごく甘い。それが苦手な東京の人は多いでしょうけど、1週間いた上で食べれば、納得すると思います。
その土地の気候や生活習慣で食べ方が変わります。こういう食文化の違いをどう考えるか。
うちはパリにも支店があります。元になるたれを日本から送り、まったく同じ味でウナギをお出ししています。パリのお客さんは、箸を使って食べてくださいます。ナイフとフォークをくれとは言いません。皆さん、日本の食文化に敬意を持っていて、和食というものに挑戦しているんだと思います。
そのようなフランス人の食文化の捉え方が好きですし、おいしいものがたくさんあるので、10年くらいかけて、レンタカーでフランス全土の食べ歩きをしたものです。
中で強く印象に残っているのが、モナコで食べた子牛。まだ胎内にあるものを引っ張り出して調理したそうで、柔らかい食感といい、ミルクっぽい香りといい、素晴らしかった。
国内でも海外でもいろんなものを食べました。その上で私は、ご飯ほどおいしいものはないと思っています。確かにステーキはおいしいですよ。ウナギもおいしいですよ。でも毎日は食べられないでしょう。ご飯は1日3食、365日食べても飽きません。それも毎回、おいしく食べられるんです。
店でお客さんに「今日はちょっとおいしくなかった」と言われることがあります。そんな日は、ご飯の炊き方が悪かったんですね。ご飯が良くないと、ウナギが良くてもおいしくない。
こんなことを言うと怒られちゃうでしょうけど、たぶん農家の方が思っている以上に、ご飯の味は大事。農家の皆さんは素晴らしいものを作っているんです。これからもよろしくお願いします、と言いたいですね。
(聞き手・写真 菊地武顕)
<プロフィル> かねもと・かねじろう
1928年、東京都生まれ。寛政年間(1789~1801年)に創業したウナギ店「野田岩」店主。ワインと合わせたり、志ら焼(白焼き)とキャビアを組み合わせるなど新しい試みも提唱。著書に『生涯うなぎ職人』。
2018年04月22日

植物工場58%赤字 ノウハウ蓄積改善の鍵 施設園芸協会調査
日本施設園芸協会の調査で、全国の大規模施設園芸と植物工場の事業者の45%が経営赤字となっていることが分かった。蛍光灯などで作物を育てる植物工場だけを見ると赤字は58%に上り、経営の難しさが浮き彫りになった。ただ、稼働年数が長いほど黒字の割合が増えることから、同協会は栽培や労務管理のノウハウの蓄積が経営改善の鍵とみる。
2018年04月21日

雪害乗り越え ハウス再建 北海道・日高の農家
2月の大雪でハウス500棟以上が損壊するなど、大きな被害を受けた北海道日高地方では、春の農作業開始に向け生産者が復旧作業を急いでいる。支えるのは生産者の他、JA、町の職員、ボランティアら。圃場(ほじょう)にまだ雪が残る中、除雪しハウスの片付けを手伝った。復旧道半ばの農家も多いが、地域ぐるみの支援が実を結び、営農再開への道筋が見えてきた生産者も出てきた。JAでも農作業の遅れを最小限に食い止めようと対策を急ぐ。(望月悠希)
「みんなの力」実感
「皆さんのおかげで、ここまで来られた」と話す新ひだか町の下園雄治さん(46)と妻・りえさん(44)。目の前には、建て直したばかりのハウスの骨組みが青空の下で白く光る。
ミニトマトを10棟(1棟3アール)で栽培していたが、大雪で9棟が損壊した。2年間の研修を経て、昨年4月に新規就農したばかりだった。下園さんは「当初はショックで現実感がなかった」と振り返るが、「やるしかない」とすぐに気持ちを切り替えた。
半壊したビニールハウスの中から使える骨組みを集め、自力で1棟を復旧した。再建を後押ししたのは地域の力。「除雪や解体などで、JAや町の職員、ボランティアの方々に助けてもらった」と感謝する。
現在、残り8棟も再建中だ。新しいハウスは、パイプを太くするなど雪に強い仕様にする。平年よりも3週間遅く、5月末からの定植を目指す。りえさんは、3歳の娘に収穫させることを心待ちにする。
同町でアスパラガスを栽培する平田浩彰さん(56)も「仲間の後押しに助けられた」と話す。ハウス1棟が損壊し落ち込んでいた平田さんに、仲間の生産者から「手伝うよ」と電話があった。ハウスを建て直すことができ、3月に毎年恒例の地域の人へのお裾分けもできた。「手伝ってくれた人に、一番に持って行った」と笑顔を見せる。
同町が管内のJAしずない、JAみついしでは、地域の関係機関と協力しながら復旧に尽力した。
JAしずない管内では、241棟のハウスが被災した。撤去作業は完了し、現時点で134棟が「産地活性化総合対策事業」を通して、建て直す見通しだ。同事業は、国が復旧支援で打ち出した規模拡大を要件に生産資材購入などを助成する仕組みで、今後申請手続きを進める。
復旧にはJA職員の他、町や連合会、自衛隊のボランティア、社会福祉協議会が募った市民らが連携。3月下旬までに延べ955人が参加し、除雪やハウスの撤去を進めた。今後、JAでは廃棄するビニールの処分に向けた対策を検討する。
JAみついしでは、損壊した160棟の6、7割が再建される見通し。町や生産者、市民ボランティアらと連携して撤去を進めた。資材がやっと届き、これから修復に着手する農家も多い。JAの水上隆介営農部長は「国の事業も利用しながら責任産地として、復旧に向け組合員を支援したい」と話す。
栽培遅れも復旧にめど
新冠町も大きな被害を受け、特産のピーマンなどの栽培に遅れが出ている。現在、被災した131棟のうち60棟について、同事業を利用した再建が進む。JAにいかっぷは町や建設協会と連携。約300人が復旧作業を手伝った。今月にも、大半のハウスで骨組みができる見通しだという。
明和農園代表の本間敏次郎さん(42)は、ピーマンハウス24棟(72アール)全てが全壊した。JAや町、建設協会などに手伝ってもらいながら、4月までにハウスを建て直した。本間さんは「夢や希望だけで、農業はできないと喝を入れられた気持ち」と話す。
5月中旬に定植予定で例年より1カ月半遅くなり、収量は減る見通しだが、3月に初めて受け入れた外国人技能実習生2人もおり、再建に力を注ぐ。今後は冬にはビニールを外すなどの対策を取りながら、規模拡大を続ける考えだ。
2018年04月20日

玉ねぎと鶏もも肉の黒カレー 北海道・JAきたみらい
北海道のJAきたみらいが開発・販売するレトルトカレー。全国一の生産量を誇るタマネギをふんだんに使って産地の特色を生かし、黒カレーに仕上げた。
「洋食屋のぜいたくなカレー」をコンセプトに試食を重ねて開発した。じっくり炒めたタマネギのうま味とこくが溶け込んだ濃厚な味わいが特徴。軟らかく煮込んだ鶏モモ肉もたっぷり入っており、スパイシーに仕上げたルーとの相性は抜群。デミグラスソースを使い黒カレーならではの色合いに仕上げた。
1箱180グラム入り。同JAのホームページから購入できる。価格は518円。問い合わせは同JA企画開発グループ、(電)0157(32)8790。
2018年04月19日
畜産クラウド構築 牛の情報一括提供 乳量や疾病履歴ネット上で集約 農水省 20年まで
農水省は2020年までに、畜産農家がスマートフォン(スマホ)などで牛の飼養管理に関する情報を把握できるシステムを立ち上げる。畜産関係の各組織が個別に保有している乳量や疾病の履歴などの情報をインターネット上で集約し、牛の固体識別番号を基にその牛に関する情報を一括して入手できるようにする。「情報を基に牛の特徴を把握し、経験や勘に頼る飼養管理からの脱却を図る」(同省)狙いだ。
構築するのは「全国版畜産クラウド」というシステム。農家がスマホなどでインターネットに接続すれば、どこからでも情報を引き出せる仕組みにする。
例えば、現状で牛の乳量や乳成分に関する情報は、家畜改良事業団が牛群検定を行い把握しており、各農家は検定結果を書類で受け取るなどしている。一方、農家が導入した牛の疾病や治療の履歴を知りたい場合、その牛の治療を担当していた獣医が所属する農業共済団体に問い合わせるといった、個別の対応が必要になる。
こうした情報収集の手間を省くため、各組織の持つ情報をインターネット上で集積する。人工授精の回数や給与された飼料、市場での牛の取引価格などの情報も収集する。
牛は生産履歴を把握する国のトレーサビリティ制度に基づいて、一頭一頭に固体識別番号が割り振られている。飼養している牛の同番号を基に、その牛に関する一連の情報を引き出せるようにする。
情報を基に農家が各牛の特徴を把握し、乳量を効果的に伸ばすための飼養管理や、人工授精や出荷するタイミングの判断などに生かしてもらう。将来的には、畜産農家向けの経営分析ソフトを開発する民間企業も情報を共有できる仕組みにし、こうした企業の商品開発も後押しする。
同省は全国版畜産クラウドの構築に向け、18年度予算で2400万円を計上し、システム整備費などに助成している。19年度以降も継続的に予算を措置したい考えだ。
2018年04月23日
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冷凍食品 利用率、初の8割 女性で「野菜」消費進む
食品メーカーなどでつくる日本冷凍食品協会がまとめた冷凍食品の利用実態調査(2018年)によると、冷凍食品を月1回以上使う人の割合は初めて8割に達した。共働き世帯が増え、手軽に調理できる冷凍食品の利用が広がっている。女性で「冷凍野菜」の消費が進み、同協会は「天候不順で高騰した生鮮野菜の代替で需要が伸びた」と指摘する。
調査はインターネット上で3月に実施。25歳以上が対象で、9967人が回答した。
冷凍食品を月1回以上使う人の割合は、前年比2ポイント増の80%となり、増加が続く。月1回以上使う人に利用頻度を尋ねたところ、「週2、3回」が31%で最多。「週1回」(25%)、「月2、3回」(22%)となった。利用頻度の平均は週1・9回で、前年と同じだった。
ギョーザやチャーハンなど全21品目で利用頻度が増えた品目(複数回答)を男女別に尋ねたところ、女性のトップは「冷凍野菜」で34%。男性でも22%と前年より3ポイント伸びている。
昨年10月の長雨や台風、同11月の低温などの天候不順を受け、生鮮野菜の価格は大きく値上がりした。同協会は「冷凍野菜の価格は比較的安定していたため、消費が進んだ」と分析する。
2018年04月24日

ロングライフ化進む 精肉販売 付加価値販売で消費増へ 産地・スーパー 制菌作用高めて鮮度維持
スーパーや産地が精肉の付加価値販売に向け、消費期限を延ばすロングライフ(LL)化を進めている。パック包装時に酸素と二酸化炭素を注入することで、制菌作用を高め、鮮度や色味を維持する。通常3日程度の消費期限を2~4日延ばし、有利販売で消費拡大を目指す。
豚の生産から加工、販売を手掛ける大商金山牧場(山形県庄内町)は、LL化を可能にする包装技術を開発した。包装時にパックに注入する酸素が肉の変色を抑え、二酸化炭素が菌の発生を抑えるという。と畜場併設の加工センターを持つ強みを生かし、まな板の煮沸など菌数を抑える作業も徹底した。
昨年秋から東北地方のスーパーで消費期限を6日間に設定し、同社の豚肉を販売している。実証検査を重ね、期限延長を実現した。価格は1・5倍ほど高くなるが、「鮮度維持に理解がある業者は多い。国産の有利販売を目指す」と同社。現在、機密性をより高め、消費期限を最大7日間に設定できる包装パックでの販売を計画している。遠方地域への輸送や、宅配販売をにらむ。
大手スーパーのイオンリテールは、プライベートブランド「トップバリュ」の一部精肉商品の消費期限を2日延ばし、全国で販売している。豚肉と牛肉、ひき肉など。パックに酸素と二酸化炭素を注入する技術を使っている。
この技術を使った商品の17年度の売り上げは前年度の倍に達した。2013年度から地域限定で導入、17年6月に全国へ広げた。価格は据え置き、店内広告(POP)で精肉のLL商品を売り込んでいる。「品質を保持できる点が消費者から受けている」という。今後、商品数を広げていく考えだ。
2018年04月24日

4年後の金“正夢”に 宮城産米、県が寄贈 フィギュア羽生結弦選手
韓国・平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で2連覇を達成した羽生結弦選手(ANA)は22日、出身地の仙台市で開かれた凱旋(がいせん)祝賀パレードで、宮城県産米の目録を受け取った。県の村井嘉浩知事が4年後の金メダル獲得を「正夢」にしたいとの祈りを込め、18年秋に本格デビューする水稲新品種「だて正夢」を含む4年分(約240キロ)を贈った。
2018年04月23日

植物工場58%赤字 ノウハウ蓄積改善の鍵 施設園芸協会調査
日本施設園芸協会の調査で、全国の大規模施設園芸と植物工場の事業者の45%が経営赤字となっていることが分かった。蛍光灯などで作物を育てる植物工場だけを見ると赤字は58%に上り、経営の難しさが浮き彫りになった。ただ、稼働年数が長いほど黒字の割合が増えることから、同協会は栽培や労務管理のノウハウの蓄積が経営改善の鍵とみる。
2018年04月21日
干しシイ 燃費半減、うま味増 低温乾燥新手法 鳥取の組合 特許出願
鳥取市の日本きのこセンターと菌興椎茸(しいたけ)協同組合は19日、低温乾燥による干しシイタケの新しい製造方法を開発し、特許を出願したと発表した。作業の省力化に加え、乾燥に必要な燃料費を最大で7割削減する。調理面では、だしが15分程度で取れるため、使いやすさも向上する。生産コスト低減と需要拡大を実現し、産地振興につなげる。林野庁によると干しシイタケの生産量は、1984年の1万6000トンから2016年には2700トン程度まで減少。共働き世帯の増加による食の簡便化や、輸入品の増加などが背景にある。
5月ごろにほだ木で自然乾燥することで風味が特段に優れる「木干し状態のシイタケ」の風味を目指して開発した。
従来は一つ一つ柄を下に向けて重ならないよう並べ、45度から55度まで徐々に温度を上げて、25時間ほどで乾燥させる。新しい製造方法は、シイタケを山なりに重ね、指定した空気循環操作で22~28度で15~25時間乾燥後に、55度まで上げてさらに10時間乾燥させて仕上げる。乾燥時間は延びるが、重ならないように並べる作業時間が短縮されるほか、低温乾燥により灯油の使用量は従来より5~7割減らせた。
調理面では、沸騰寸前の湯に干しシイタケを入れて弱火で10~15分煮ることでだしが取れる。従来品では水戻しに5時間以上かかる。苦味や雑味が少なく、うま味成分のグアニル酸は従来の1・5倍になることも確認した。
同組合の下田秀一組合長は「今後を占う革新的技術だ。業界の魅力を高め、生産者の意欲向上や新規就農者の増加に加え、消費量も増やしていきたい」と意気込む。
2018年04月20日

毎月19日 「いいきゅうりの日」 主産4県がPR
キュウリ主産県のJAグループは19日、首都圏に展開するスーパー、澤光青果の23店舗で一斉に行う試食宣伝をスタートさせた。毎月19日と定めた「いいきゅうりの日」に、主産地が仕掛ける販促活動の第1弾。潤沢な入荷で相場が落ち込む中、産地関係者が店頭でみずみずしさや食感の良さをアピールし、消費拡大を呼び掛けた。
この日は群馬、埼玉、千葉、宮崎の4県のJAグループがキュウリを売り込んだ。
神奈川県川崎市の澤光青果川崎店は、群馬県のJA邑楽館林のキュウリを4本99円(税別)で特売した。ご当地アイドル「Menkoi(めんこい)ガールズ」のメンバーも駆け付け、塩昆布あえの試食を振る舞った。
キュウリを買い求めた横浜市の金子禎子さん(72)は「暑くなり、食べたくなった。ぬか漬けやサラダなど、いろんな食べ方ができるのが便利」と笑顔を見せた。
4月中旬の日農平均価格(19日まで、大手7卸のデータを集計)は1キロ182円で、前年を3割下回る。好天続きで生育が前進し、JA全農ぐんまの1日当たり出荷量は200トンと例年より1割多い。担当者は「イベントを通じて消費を盛り上げたい」と意気込む。
「いいきゅうりの日」は、4月19日の「良いキュウリの日」にちなむ。卸最大手の東京青果が事務局となり、毎月19日に主産JAが首都圏で販促活動を行う予定だ。
2018年04月20日

静岡茶初取引 平均単価3715円
静岡茶の2018年産の初取引が18日、静岡市の静岡茶市場で行われた。前年の約6倍に上る1万1900キロが上場された。品質は良好だったものの、上場数量増や新茶商戦がまだ高まっていないことなどから、1キロ平均単価は3715円と前年を3548円下回った。
最高値は、JA富士宮が出品した「さえみどり」の手もみ茶で、史上最高値が付いた昨年をさらに1万円上回る1キロ109万円で落札された。
今年は春先の天候が良く生育が前進。1957年に同市場で始まった初取引の中で4番目に早い開催となった。同日は210口の取引が成立した。
同市場の内田行俊社長は「今年は質量共に期待できる。生産者は安心・安全で良質な茶の生産を、茶商は品質に応じた価格での購入をお願いしたい」と呼び掛けた。
2018年04月19日

ブランド保護 JA率先 団体商標 本物の証し偽物に待った
農産物の差別化や知的財産の保護につなげようと、JAグループで地域団体商標登録をする動きが広がっている。福島県JA会津よつばは、アスパラガスを登録し、ブランド化を推進。北海道JA今金町は、粗悪品が同JAブランドとして出回るのを防ぐためにジャガイモを登録。類似品と差別化し権利を守るだけでなく、産地に誇りが生まれ、市場の信頼度が上がるなどの相乗効果も生まれている。(齋藤花)
箱の悪用防ぐ アスパラガス 福島・JA会津よつば
福島県のJA会津よつばは会津地方南部の3町で生産する「会津田島アスパラ」の差別化を図ろうと、地域団体商標に2017年2月に出願し、7月に登録が実現した。
従来の紫、緑、白色のアスパラガスに加え、同JAが開発し紫アスパラを遮光生産して薄付きピンク色に仕立てる「桜アスパラ」も加え、「会津田島アスパラ」として春限定で直売所や町内の飲食店でPRする。
「会津田島アスパラ」の登録は、同JAのブランド「南郷トマト」がきっかけだ。同JAの合併前、旧JA会津みなみは07年に南郷トマトを地域商標登録した。他産地が出荷箱を再利用し、「南郷トマト」として出荷することが数回起きたことがきっかけだ。
商標登録は偽物商品の発生防止に成果を上げ、ブランドの認知度も向上。トマトの年間売り上げは10億円を超える産地に成長した。
同JA田島営農経済センターの佐藤公生センター次長は「ブランド保護と顧客へのPR効果をトマトで経験しており、登録にちゅうちょはなかった」と強調する。
登録には3年を掛けて特許庁や県の知財アドバイザーとやりとりをし、周知度合いを実績として証明するため、メディアに取り上げられた件数や内容を明示した。会津田島アスパラガス部会長を務める湯田重利さん(70)は「ブランド化で、部会にプライドと責任が芽生えた」と胸を張る。
周知に力入れ ジャガイモ 北海道・JA今金町
北海道のJA今金町も、ジャガイモの「今金男しゃく」を今年3月末に登録した。今金町で栽培するでんぷん含有量13・5%の高糖度のジャガイモだ。
同JAは05年に今金男しゃくのロゴを段ボール箱や商品包装に使ってきたが、同じ名称を使った規格外品が市場やインターネットで出回り、消費者から「欠陥品を得た」などと苦情が寄せられた。
そこで、偽物を排除するために地域団体商標に出願。登録の要件を満たすために物産展への出品や車両広告などで周知性を高める工夫もした。
同JAは「今後は、ポテトチップスなどの加工品にも地域団体商標マークを付け、ブランド化のために有効活用する」と計画する。
全部で639件 JAグループで 3割超を登録
特許庁によると地域団体商標登録件数は3月30日現在で639件。JA全中によると、JAグループの登録件数は183件で全体の3割以上を占める。JAグループは第27回JA全国大会で、農業者の所得増大に向けた対策の一つとして、地域団体商標制度の活用に取り組むことを決議している。
JA全中はメリットについて「価格の上昇や売り上げの増加、品質管理の徹底、地域の知名度向上が期待できる。各JAに取得を進めてほしい」(輸出・知財農業推進室)と強調する。
特許庁地域ブランド推進室は「農産物や加工品は、商標登録することで市場での信用や競争力が上がる」と指摘。生産者の組織力も向上し、品質向上や安定につながると利点を強調している。
<ことば> 地域団体商標
地域名と商品名を組み合わせた地域ブランドを保護することを目的とした商標制度で、2006年に施行された。出願はJAなど地域に根差した団体に限る。権利を侵害した場合は10年以下の懲役か1000万円以下の罰金となる。損害賠償請求も可能だ。地理的表示(GI)保護制度は国が監視、取り締まるのに対し、地域団体商標では、自己で監視、権利を行使する。両者を組み合わせて利用することもできる。
2018年04月19日

[活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。
同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。
贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。(木村泰之)
2018年04月18日

米国向け牛肉輸出200トン超 低関税枠 早くも突破 4月上旬
2018年の米国向け牛肉輸出量が、4月上旬時点で、日本に設定された低関税枠の200トンを超えたことが17日、米国税関国境保護局のまとめで分かった。今後は12月末まで高関税が課せられる。6月中旬に達成した昨年を上回る異例の早さだ。輸出業者は「今後ペースは若干鈍るが依然引き合いが強く、通年で販売が拡大する」とみる。
2018年04月18日