牛乳10年ぶり安値 特売の目玉商材 適正取引へ指針 月内に農水省

 牛乳の小売価格が低迷している。総務省の調査によると、東京地区の2月の1リットル紙パック価格は208円で、10年ぶりの安値を記録した。食品全般の仕入れ値が上昇する中で、集客を狙ったスーパーが消費者の購入頻度が高い牛乳を特売の商材にしているためだ。農水省は安売りの是正に動き、適正取引に向けたガイドラインを月内にまとめる方向だ。(鈴木薫子)

 関東で81店舗を展開する東急ストア(東京都目黒区)は、今月から牛乳2商品の価格を全店舗で引き下げた。主力の牛乳商品は198円(税別)と、定価228円(同)から13%値下げした。今月は同時に食品や日用品2000品目を値下げし、その中で値下げ率が大きい牛乳を目玉商品に据えた。

 「食品の高騰が相次ぐ中、一部商品の値下げで集客につなげたい」と同社。毎日食べる商品の値下げは集客効果が高く、牛乳は安さを打ち出しやすいという。

 総務省の小売物価統計調査によると、東京地区の2月の牛乳価格は前年同月比6・7%(15円)安の208円だった。220円台が居どころだったが、昨秋から下落が進んだ。税別換算で見ると、2008年3月以来の低価格となった。乳業関係者は「販売量が多い大手スーパーも値下げを強化しており、全国的に広まっている」と話す。

 スーパーでは特にプライベートブランド(PB)商品の値下げが目立つ。東急ストアは今月からPB商品を185円(税別)で販売する。安さを売りにする全国展開の大手スーパーでは、PB商品が165円(同)で売られている。

 一方、飲用向けの生乳価格は大きく変わっていない。ホクレンは、18年度の飲用乳向け乳価を前年度から据え置いている。

 異例ともいえる牛乳小売価格の低迷は、販売競争が激化しているスーパーが、集客商材として牛乳を扱うようになったことが背景にある。現状はスーパーが利益を削っているが、安い小売価格が定着することで、将来は生乳取引価格にも影響を及ぼす恐れがある。

 不当廉売の防止に向け農水省は現在、牛乳・乳製品の取引実態把握を急ぐ。乳業メーカーや小売業者らに聞き取りやアンケートを実施。その結果を基に適正取引のガイドラインを早ければ、今週前半にまとめる予定だ。同省が食品製造業でガイドラインを示すのは、豆腐と油揚げに次いで2例目となる。

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