鍵握る石破氏、岸田氏ら 安倍1強に陰り 作家・政治評論家 大下英治

大下英治氏

一転 危険水域に


 「政界は一寸先は闇」とは、川島正次郎自民党元幹事長の名言であるが、今回の「森友学園問題」による安倍政権の内閣支持率低下ほど、その言葉を思い知らされたものはない。

 安倍1強で9月の自民党総裁選は、安倍晋三氏の3選に揺るぎなしと見られていた。ところが、安倍総理が国会でも名指しでののしっていた、朝日新聞の財務省の公文書書き換え報道による逆襲により、安倍政権の支持率が「危険水域」の20%台に近づいてしまった。

 この秋の総裁選の安倍3選には明らかに陰りが出てきた。まず、岸田文雄政調会長の戦略に変化が起きるであろう。岸田氏は、安倍1強が続いていれば、恐らく秋の総裁選には出馬しないだろう。その限り、安倍氏は、彼の支持母体である第1派閥の細田派、二階俊博幹事長率いる二階派、それに第2派閥である麻生派、岸田派の固い支持を得て、当選は間違いなしと見られていた。

 しかし、安倍政権の支持率低下が続くなら、岸田氏は、安倍総理が出馬しても、総裁選に出馬せざるを得なくなるだろう。もし出馬しなければ、石破茂氏や野田聖子氏に比べ、存在感が薄れていく。この秋の総裁選のその次の総裁選に明らかにマイナスとなる。
 

麻生氏の動向も


 岸田氏が出馬すれば、安倍氏は絶対的勝利を収められるとは言えまい。安倍氏が、もし今回の財務省の責任問題において、麻生太郎財務相の処遇を間違えれば、麻生氏は、総裁選で安倍氏を担ぐとは限らない。麻生氏は、かっては岸田氏と同じ「宏池会」に属していたわけである。キングメーカーとして、同じ釜の飯を食った岸田氏の応援にまわるかもしれない。

 一方、石破氏。安倍1強体制の揺らぎによって、明らかに流れが変わってきた。

 この3月17、18日に共同通信が実施した世論調査の「次期総裁にふさわしい人」では、1位が石破氏で25・4%、2位が小泉進次郎氏で23・7%、3位が安倍氏で21・7%であった。

 額賀派の動きもプラスになりそうである。額賀派会長の額賀福志郎氏は、安倍氏を支援し続けていたが、今回、派の代表を外された。引退しながらも依然派閥に力を持ち続けている青木幹雄元参院議員の動きによって竹下亘氏に会長が代わった。青木氏は、前回の参院選で青木氏の息子の青木一彦氏を応援し、当選させた、かって額賀派の一員でもある石破氏に好意を感じている。

 石破氏は、2012年の総裁選で安倍氏と戦い、地方票では6割近くも獲得している。安倍政権に陰りの見える今回の総裁選も、地方票獲得では強さを発揮するであろう。

 さらに、鍵を握るのが、自民党の若きエース小泉氏である。小泉氏は、12年の総裁選では石破氏に投票している。圧倒的人気を誇る小泉氏が石破氏の応援にまわれば、大きな力になることは間違いない。

<プロフィル> おおした・えいじ

 1944年、広島県生まれ。広島大学文学部卒業。週刊文春の記者を経て作家に。政財官界から芸能、犯罪など幅広いジャンルで創作活動を続けている。著書に『幹事長秘録』『石破茂の「日本創生」』など。

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