[達人列伝 43] 八尾若ごぼう 大阪府八尾市・竹田春治さん 独自の矢形束ね評判 都市化負けず 代々の地守る

「八尾若ごぼう」の矢形の束ね方が自慢と話す竹田さん(大阪府八尾市で)

 大阪府八尾市の特産「八尾若ごぼう」。根の部分だけ食べる一般的なゴボウとは違い、葉や軸も食べることができる。煮物や天ぷらなどとしてよく食べられ、特に同市では春を告げる野菜として親しまれている。周辺の都市化が進む中、伝統の味を守ろうと50年以上栽培を続けるのが竹田春治さん(75)。行政やJA主催の八尾若ごぼう品評会で、最高位の知事賞を受賞するなど、地域では一目置かれる存在だ。

 「八尾若ごぼう」は、葉ゴボウのことで、同市は府内一の葉ゴボウの生産量を誇る。1~4月に出回り、地元では春の食材として人気がある。大阪市に隣接し、都市化が進む同市には、住宅街に「八尾若ごぼう」の畑が点在する。100戸ほどの農家が約9ヘクタールで栽培し、年間の出荷量は約200トン(2012年度)。

 竹田さんは高校卒業後、「八尾若ごぼう」を栽培している実家を継いだ。周辺の都市化が進む中、「先祖代々続く農地を守りたい」と思い農業を継いでから50年以上になるベテランだ。

 「安全・安心で、おいしいものを食べてもらいたい」と、栽培方法を工夫。農薬の使用は極力抑え、菜種油のかすを肥料に、化成肥料は使わない。土に乾燥牛ふんを混ぜ込む。「こうすると、茎、葉の緑色の出方や張りが良くなる」(竹田さん)という。

 「八尾若ごぼう」で特に重視されるのが束ね方。伝統的に矢形に束ね出荷する。軸の長さが50センチ前後のものを9本か11本程度束ね、長いものを真ん中に、外側に向かって短いものを置き、根元の部分を矢尻に見立てる。矢形がきれいなほど良いとされ、各農家が取引する仲卸やスーパーの評価に直結する。

 竹田さんは、代々伝わる束ね方を父親らから学んだ。「束ね方がとてもきれい」(JAの営農指導員)と評判。茎の角の部分を外側に向ける独特の束ね方にこだわる。竹田さんは「少しの衝撃では崩れない頑丈な束で見た目もきれいになる。プロとして、見た目の良いものを出すのは当たり前」と自信を見せる。

 妻の加代子さん(72)と2人で1日当たり220束ほどを出荷。「二人でこの数を出荷できる農家は少ない」(JAの営農指導員)という。

 竹田さんは「今では市外でも認知されるようになってきて、うれしい。今後も出荷を続けていきたい」と話す。(藤田一樹)
 

経営メモ


 「八尾若ごぼう」を露地、ハウス合わせて20アールで栽培。
 

私のこだわり


 「『八尾若ごぼう』の見た目を良くするには、矢形の束ね方が大切。50年以上、束ねる技術を追求している。プロとして見た目の良いものを出すのは当たり前」

おすすめ記事

達人列伝の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは