農政の来し方行く末を考えるにはちょうどいい

 農政の来し方行く末を考えるにはちょうどいい▼きょうは農林水産省が誕生した日である。1881年に農商務省としてスタートした。今の農水省と経産省が一つになったような官庁で、よちよち歩きの明治政府の殖産興業政策の一翼を担った。民俗学の創始者柳田国男ら地方の“頭脳”が籍を置いた。「農は国の礎」の思いだったろう▼大正になって農林省として独立して以来、昭和、平成と農業者の福祉増進と国民への食料供給を担ってきた。農相だった故渡辺美智雄氏は、100年史に農山漁村を「日本民族の苗代」と書いた。その“苗代”が全国で荒れている。安倍政権の「官邸農政」は、大規模経営と株式会社の参入で農業の産業化に拍車を掛ける。中山間地農業は取り残され、主食の米も市場任せ▼先週開かれた自民党水田議連総会で会長の小野寺五典防衛相が放った苦言が全国にこだました。「このままではいらないということになりかねない」。温厚な人柄には珍しく、米すら傍観するような農水省にいら立った。「経産省に吸収されてしまう」と自嘲気味に語る初級幹部の嘆きが、妙に現実味を帯びる。2万人の職員を抱え1世紀を超える伝統を持つ老舗官庁が店じまいになっては困る。今こそ矜持(きょうじ)を▼行く末が気になる創立記念日である。 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは