空き家・空き地バンク 全国情報を一元化 国交省
2018年04月12日

インターネット上で全国の空き家情報を一元化し、空き家を持つ自治体と空き家に住みたい人をマッチングする国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」の本格運用が4月から始まった。同省の空き家対策事業の一環で、空き家情報を全国規模で集約したのは初めて。就農希望者向けに「農地付き空き家」も検索できる。同省は「農ある暮らしへの潜在的な移住希望者を掘り起こせる」(不動産業課)と強調する。
これまで自治体が個別に発信していた空き家情報を集約し、物件の設備や概要などの情報を統一。利用者が希望の条件を基に地域を問わずに検索できるようにした。空き家の利活用を進め、地方への移住を後押しする。農地付き空き家だけでなく、「店舗付き空き家」の検索項目も作り、就農希望者や、農村で起業したい人らの移住を促し、地域活性化につなげる。
全国版空き家バンクを運営するのは2社。4月1日時点で「LIFULL」には2411件、「アットホーム」には1004件の登録がある。ネット上で全国版空き家バンクと検索し、いずれかのホームページ(HP)に進む。それぞれのHPに農地付き、店舗付きの特集ページが設けられており、値段順、面積順で比べて選ぶことができる。
空き家バンクに取り組む約700の自治体のうち、半数以上の492自治体が参加。試行運用した昨年10月から半年で、売買101件、賃貸41件が成約しており、本格運用でさらに増える見通しだ。
農地付き空き家は204戸が登録。物件情報の他に、各地域の防災、生活支援情報も掲載する。地震での揺れやすさや浸水の可能性、買い物施設や小学校区などを、物件の周辺の地図に重ねて表示できるようにした。
今後さらに参加する自治体が増えるとみられる。人口減が進む中で、空き家の利活用は社会問題になっており、同省は「自治体や所有者が、空き家を活用するきっかけにしたい」と期待する。
農村への移住促す
これまで自治体が個別に発信していた空き家情報を集約し、物件の設備や概要などの情報を統一。利用者が希望の条件を基に地域を問わずに検索できるようにした。空き家の利活用を進め、地方への移住を後押しする。農地付き空き家だけでなく、「店舗付き空き家」の検索項目も作り、就農希望者や、農村で起業したい人らの移住を促し、地域活性化につなげる。
全国版空き家バンクを運営するのは2社。4月1日時点で「LIFULL」には2411件、「アットホーム」には1004件の登録がある。ネット上で全国版空き家バンクと検索し、いずれかのホームページ(HP)に進む。それぞれのHPに農地付き、店舗付きの特集ページが設けられており、値段順、面積順で比べて選ぶことができる。
空き家バンクに取り組む約700の自治体のうち、半数以上の492自治体が参加。試行運用した昨年10月から半年で、売買101件、賃貸41件が成約しており、本格運用でさらに増える見通しだ。
農地付き物件も
農地付き空き家は204戸が登録。物件情報の他に、各地域の防災、生活支援情報も掲載する。地震での揺れやすさや浸水の可能性、買い物施設や小学校区などを、物件の周辺の地図に重ねて表示できるようにした。
今後さらに参加する自治体が増えるとみられる。人口減が進む中で、空き家の利活用は社会問題になっており、同省は「自治体や所有者が、空き家を活用するきっかけにしたい」と期待する。
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緑茶飲料「ぬまっちゃ」 売り上げで産地振興 1本につき3円 改植や食農教育に 静岡・JAなんすん
JAなんすんは4月、プライベートブランド商品の緑茶飲料「ぬまっちゃ」の売り上げから1本(400ミリリットル)につき3円を沼津茶の産地振興に充てる取り組みを始めた。集めた資金は茶生産者の改植など農業経営支援対策や、児童・生徒への食農教育などに役立てる。自己改革で茶業再生に向けた取り組みの一つ。CSR(企業の社会的責任)の一環として地域貢献活動に位置付けている。
「ぬまっちゃ」のブランド力と商品価値を高め、沼津茶の消費拡大にもつなげる。ぬまっちゃは富士山の麓、愛鷹山麓で育った茶葉を100%使用。沼津商工会議所の「沼津ブランド」にも認定されている。沼津市を舞台にしたテレビアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の制作会社と共同でパッケージをデザインし、店頭販売やネット販売を通じ全国のアニメファンや消費者に知られるようになってきた。
缶入り1本140円で、行政などと連携して地産地消で販売を強化し、2018年度は2万7400ケース(1ケース24本)の販売を見込んでいる。7月からは、産地振興に売り上げの一部を充てる旨を缶に記載する。
JA営農生活部の新井孝太郎部長は「沼津茶の歴史は鎌倉時代にさかのぼり、先人の思いと技術が継承され、地域の基幹作物になった。生産者と共に安全・安心な茶の生産と消費拡大に取り組むに当たり、消費者にも地元の茶業を応援していただきたい」と話している。
2018年04月23日
TPP以上拒否 焦点 与党冷静、野党は批判 日米新協議
日米首脳会談で、日米貿易を巡る新たな協議の開始が決まり、与党は「想定内」と比較的冷静に受け止め、環太平洋連携協定(TPP)を超える譲歩は受け入れない姿勢を改めて強調した。一方、野党は「米側の要求をのみ、事実上の2国間協定を受け入れた」と一斉に批判。国会で厳しく追及する方針だ。
今後の日米間の貿易の在り方について、日本はTPP、米国は2国間協定をそれぞれ求め、両者の意見に隔たりが出ている。「想定の範囲内だ」。自民党の議員連盟「TPP交渉における国益を守り抜く会」会長の江藤拓氏(衆・宮崎)は冷静に受け止めている。今回の新協議は日本側が提案し、その通り設置が決まった。
一方、「(2国間交渉に)一歩踏み出したとも取れる」と指摘する。「(国内で)TPPを受け入れるのにどれだけ苦労したか。TPPがギリギリの線。それ以上は絶対あり得ない。体を張って止める」と語気を強めた。
日本は米国にTPP復帰を促すため、発効を急ぎたい考え。このため今国会に提出した協定承認案と関連法案の早期成立を目指している。
公明党のTPP等総合対策本部長を務める石田祝稔政調会長は「(日本としては)国会に提案されているTPP11の審議を粛々と進めていく」と強調。「(米国が)現在のTPPの枠組みに戻ってくるのはいいが、TPPを超える2国間交渉を考えることは絶対にできない」とけん制した。
一方、立憲民主党の佐々木隆博副代表は「『米国にTPPに復帰してもらう』などと強気で言いながら、結果的には米国に押し込まれた。実質的に自由貿易協定(FTA)交渉に踏み出した」と批判。「協議の場ができた以上、米国にとっての成果を求められる。国益に反した方向になるのは明確」と国会で厳しく追及する考えを示した。
「通商分野は厳しい結果だ」。希望の党の玉木雄一郎代表は、ツイッターでそう強調した。さらに「安倍(晋三)総理は面前でトランプ大統領からTPPには戻らないと明言され、さらに事実上、2国間協定に向けた協議を約束させられ、それなのに(米国が日本に課した)鉄鋼・アルミニウムの輸入制限(からの除外)は勝ち取れなかった」と批判。米側が市場開放圧力を強めてくることを念頭に「牛肉と自動車は要注意だ」と指摘した。
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日米、貿易新協議へ 「TPP」「2国間」溝鮮明
2018年04月20日
特産ダリア めざせ倍増 熟練技術 “見える化”ICT使い底上げ 秋田
秋田県は、特産ダリアでの生産日本一に向け、情報通信技術(ICT)を活用する。県独自品種「NAMAHAGE(なまはげ)」シリーズを含む生産量を、2021年度までに16年度の2倍、年150万本にすることを目指す。ICTによって、熟練技術の“見える化”を進め、指導体制を強化。新規参入者などの技術を底上げすることで生産拡大を進める。
2018年04月24日
桜の後の街を白や薄紅色のハナミズキが咲きつなぐ
桜の後の街を白や薄紅色のハナミズキが咲きつなぐ。新緑の中の清々(すがすが)しさがいい▼勘違いしやすい花である。花びらに見える十文字は、「総苞(そうほう)」と呼ばれる葉の一部。花は中央の地味な黄緑の部分である。原産の米国にはキリストにまつわる「伝説」がある。はりつけに使われたこの木が二度と十字架に使えないように今のように小さくなったと。米国人が込める思いは、日本の桜に似て、特別である▼日本に渡来したのは103年前。日露戦争終結の仲介に感謝して尾崎行雄東京市長がワシントンにソメイヨシノを寄贈した返礼に、米国から贈られた。40本あったが、原木は東京都立園芸高校の1本だけとなった。樹齢80年が平均寿命とされるが、今が盛りと咲き誇る。「日当たりが少なく、ゆっくり育ったためでしょう。教育も同じです」。徳田安伸統括校長の話に思いを重ねる▼一青窈(ひととよう)さんの「ハナミズキ」を口ずさむ。〈空を押し上げて〉に始まり〈君と好きな人が百年続きますように。〉で結ぶ歌詞は、米同時多発テロ発生時にニューヨークにいた友人からのメールがきっかけだった。平和な社会への希求に共鳴し、多くの人が口ずさむヒット曲となった▼テロや戦争のない世の中を願いつつ、雪をかぶったかのようなハナミズキにしばし酔いしれる。
2018年04月22日

雪害乗り越え ハウス再建 北海道・日高の農家
2月の大雪でハウス500棟以上が損壊するなど、大きな被害を受けた北海道日高地方では、春の農作業開始に向け生産者が復旧作業を急いでいる。支えるのは生産者の他、JA、町の職員、ボランティアら。圃場(ほじょう)にまだ雪が残る中、除雪しハウスの片付けを手伝った。復旧道半ばの農家も多いが、地域ぐるみの支援が実を結び、営農再開への道筋が見えてきた生産者も出てきた。JAでも農作業の遅れを最小限に食い止めようと対策を急ぐ。(望月悠希)
「みんなの力」実感
「皆さんのおかげで、ここまで来られた」と話す新ひだか町の下園雄治さん(46)と妻・りえさん(44)。目の前には、建て直したばかりのハウスの骨組みが青空の下で白く光る。
ミニトマトを10棟(1棟3アール)で栽培していたが、大雪で9棟が損壊した。2年間の研修を経て、昨年4月に新規就農したばかりだった。下園さんは「当初はショックで現実感がなかった」と振り返るが、「やるしかない」とすぐに気持ちを切り替えた。
半壊したビニールハウスの中から使える骨組みを集め、自力で1棟を復旧した。再建を後押ししたのは地域の力。「除雪や解体などで、JAや町の職員、ボランティアの方々に助けてもらった」と感謝する。
現在、残り8棟も再建中だ。新しいハウスは、パイプを太くするなど雪に強い仕様にする。平年よりも3週間遅く、5月末からの定植を目指す。りえさんは、3歳の娘に収穫させることを心待ちにする。
同町でアスパラガスを栽培する平田浩彰さん(56)も「仲間の後押しに助けられた」と話す。ハウス1棟が損壊し落ち込んでいた平田さんに、仲間の生産者から「手伝うよ」と電話があった。ハウスを建て直すことができ、3月に毎年恒例の地域の人へのお裾分けもできた。「手伝ってくれた人に、一番に持って行った」と笑顔を見せる。
同町が管内のJAしずない、JAみついしでは、地域の関係機関と協力しながら復旧に尽力した。
JAしずない管内では、241棟のハウスが被災した。撤去作業は完了し、現時点で134棟が「産地活性化総合対策事業」を通して、建て直す見通しだ。同事業は、国が復旧支援で打ち出した規模拡大を要件に生産資材購入などを助成する仕組みで、今後申請手続きを進める。
復旧にはJA職員の他、町や連合会、自衛隊のボランティア、社会福祉協議会が募った市民らが連携。3月下旬までに延べ955人が参加し、除雪やハウスの撤去を進めた。今後、JAでは廃棄するビニールの処分に向けた対策を検討する。
JAみついしでは、損壊した160棟の6、7割が再建される見通し。町や生産者、市民ボランティアらと連携して撤去を進めた。資材がやっと届き、これから修復に着手する農家も多い。JAの水上隆介営農部長は「国の事業も利用しながら責任産地として、復旧に向け組合員を支援したい」と話す。
栽培遅れも復旧にめど
新冠町も大きな被害を受け、特産のピーマンなどの栽培に遅れが出ている。現在、被災した131棟のうち60棟について、同事業を利用した再建が進む。JAにいかっぷは町や建設協会と連携。約300人が復旧作業を手伝った。今月にも、大半のハウスで骨組みができる見通しだという。
明和農園代表の本間敏次郎さん(42)は、ピーマンハウス24棟(72アール)全てが全壊した。JAや町、建設協会などに手伝ってもらいながら、4月までにハウスを建て直した。本間さんは「夢や希望だけで、農業はできないと喝を入れられた気持ち」と話す。
5月中旬に定植予定で例年より1カ月半遅くなり、収量は減る見通しだが、3月に初めて受け入れた外国人技能実習生2人もおり、再建に力を注ぐ。今後は冬にはビニールを外すなどの対策を取りながら、規模拡大を続ける考えだ。
2018年04月20日
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ロングライフ化進む 精肉販売 付加価値販売で消費増へ 産地・スーパー 制菌作用高めて鮮度維持
スーパーや産地が精肉の付加価値販売に向け、消費期限を延ばすロングライフ(LL)化を進めている。パック包装時に酸素と二酸化炭素を注入することで、制菌作用を高め、鮮度や色味を維持する。通常3日程度の消費期限を2~4日延ばし、有利販売で消費拡大を目指す。
豚の生産から加工、販売を手掛ける大商金山牧場(山形県庄内町)は、LL化を可能にする包装技術を開発した。包装時にパックに注入する酸素が肉の変色を抑え、二酸化炭素が菌の発生を抑えるという。と畜場併設の加工センターを持つ強みを生かし、まな板の煮沸など菌数を抑える作業も徹底した。
昨年秋から東北地方のスーパーで消費期限を6日間に設定し、同社の豚肉を販売している。実証検査を重ね、期限延長を実現した。価格は1・5倍ほど高くなるが、「鮮度維持に理解がある業者は多い。国産の有利販売を目指す」と同社。現在、機密性をより高め、消費期限を最大7日間に設定できる包装パックでの販売を計画している。遠方地域への輸送や、宅配販売をにらむ。
大手スーパーのイオンリテールは、プライベートブランド「トップバリュ」の一部精肉商品の消費期限を2日延ばし、全国で販売している。豚肉と牛肉、ひき肉など。パックに酸素と二酸化炭素を注入する技術を使っている。
この技術を使った商品の17年度の売り上げは前年度の倍に達した。2013年度から地域限定で導入、17年6月に全国へ広げた。価格は据え置き、店内広告(POP)で精肉のLL商品を売り込んでいる。「品質を保持できる点が消費者から受けている」という。今後、商品数を広げていく考えだ。
2018年04月24日

4年後の金“正夢”に 宮城産米、県が寄贈 フィギュア羽生結弦選手
韓国・平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で2連覇を達成した羽生結弦選手(ANA)は22日、出身地の仙台市で開かれた凱旋(がいせん)祝賀パレードで、宮城県産米の目録を受け取った。県の村井嘉浩知事が4年後の金メダル獲得を「正夢」にしたいとの祈りを込め、18年秋に本格デビューする水稲新品種「だて正夢」を含む4年分(約240キロ)を贈った。
2018年04月23日

植物工場58%赤字 ノウハウ蓄積改善の鍵 施設園芸協会調査
日本施設園芸協会の調査で、全国の大規模施設園芸と植物工場の事業者の45%が経営赤字となっていることが分かった。蛍光灯などで作物を育てる植物工場だけを見ると赤字は58%に上り、経営の難しさが浮き彫りになった。ただ、稼働年数が長いほど黒字の割合が増えることから、同協会は栽培や労務管理のノウハウの蓄積が経営改善の鍵とみる。
2018年04月21日
干しシイ 燃費半減、うま味増 低温乾燥新手法 鳥取の組合 特許出願
鳥取市の日本きのこセンターと菌興椎茸(しいたけ)協同組合は19日、低温乾燥による干しシイタケの新しい製造方法を開発し、特許を出願したと発表した。作業の省力化に加え、乾燥に必要な燃料費を最大で7割削減する。調理面では、だしが15分程度で取れるため、使いやすさも向上する。生産コスト低減と需要拡大を実現し、産地振興につなげる。林野庁によると干しシイタケの生産量は、1984年の1万6000トンから2016年には2700トン程度まで減少。共働き世帯の増加による食の簡便化や、輸入品の増加などが背景にある。
5月ごろにほだ木で自然乾燥することで風味が特段に優れる「木干し状態のシイタケ」の風味を目指して開発した。
従来は一つ一つ柄を下に向けて重ならないよう並べ、45度から55度まで徐々に温度を上げて、25時間ほどで乾燥させる。新しい製造方法は、シイタケを山なりに重ね、指定した空気循環操作で22~28度で15~25時間乾燥後に、55度まで上げてさらに10時間乾燥させて仕上げる。乾燥時間は延びるが、重ならないように並べる作業時間が短縮されるほか、低温乾燥により灯油の使用量は従来より5~7割減らせた。
調理面では、沸騰寸前の湯に干しシイタケを入れて弱火で10~15分煮ることでだしが取れる。従来品では水戻しに5時間以上かかる。苦味や雑味が少なく、うま味成分のグアニル酸は従来の1・5倍になることも確認した。
同組合の下田秀一組合長は「今後を占う革新的技術だ。業界の魅力を高め、生産者の意欲向上や新規就農者の増加に加え、消費量も増やしていきたい」と意気込む。
2018年04月20日

毎月19日 「いいきゅうりの日」 主産4県がPR
キュウリ主産県のJAグループは19日、首都圏に展開するスーパー、澤光青果の23店舗で一斉に行う試食宣伝をスタートさせた。毎月19日と定めた「いいきゅうりの日」に、主産地が仕掛ける販促活動の第1弾。潤沢な入荷で相場が落ち込む中、産地関係者が店頭でみずみずしさや食感の良さをアピールし、消費拡大を呼び掛けた。
この日は群馬、埼玉、千葉、宮崎の4県のJAグループがキュウリを売り込んだ。
神奈川県川崎市の澤光青果川崎店は、群馬県のJA邑楽館林のキュウリを4本99円(税別)で特売した。ご当地アイドル「Menkoi(めんこい)ガールズ」のメンバーも駆け付け、塩昆布あえの試食を振る舞った。
キュウリを買い求めた横浜市の金子禎子さん(72)は「暑くなり、食べたくなった。ぬか漬けやサラダなど、いろんな食べ方ができるのが便利」と笑顔を見せた。
4月中旬の日農平均価格(19日まで、大手7卸のデータを集計)は1キロ182円で、前年を3割下回る。好天続きで生育が前進し、JA全農ぐんまの1日当たり出荷量は200トンと例年より1割多い。担当者は「イベントを通じて消費を盛り上げたい」と意気込む。
「いいきゅうりの日」は、4月19日の「良いキュウリの日」にちなむ。卸最大手の東京青果が事務局となり、毎月19日に主産JAが首都圏で販促活動を行う予定だ。
2018年04月20日

静岡茶初取引 平均単価3715円
静岡茶の2018年産の初取引が18日、静岡市の静岡茶市場で行われた。前年の約6倍に上る1万1900キロが上場された。品質は良好だったものの、上場数量増や新茶商戦がまだ高まっていないことなどから、1キロ平均単価は3715円と前年を3548円下回った。
最高値は、JA富士宮が出品した「さえみどり」の手もみ茶で、史上最高値が付いた昨年をさらに1万円上回る1キロ109万円で落札された。
今年は春先の天候が良く生育が前進。1957年に同市場で始まった初取引の中で4番目に早い開催となった。同日は210口の取引が成立した。
同市場の内田行俊社長は「今年は質量共に期待できる。生産者は安心・安全で良質な茶の生産を、茶商は品質に応じた価格での購入をお願いしたい」と呼び掛けた。
2018年04月19日

ブランド保護 JA率先 団体商標 本物の証し偽物に待った
農産物の差別化や知的財産の保護につなげようと、JAグループで地域団体商標登録をする動きが広がっている。福島県JA会津よつばは、アスパラガスを登録し、ブランド化を推進。北海道JA今金町は、粗悪品が同JAブランドとして出回るのを防ぐためにジャガイモを登録。類似品と差別化し権利を守るだけでなく、産地に誇りが生まれ、市場の信頼度が上がるなどの相乗効果も生まれている。(齋藤花)
箱の悪用防ぐ アスパラガス 福島・JA会津よつば
福島県のJA会津よつばは会津地方南部の3町で生産する「会津田島アスパラ」の差別化を図ろうと、地域団体商標に2017年2月に出願し、7月に登録が実現した。
従来の紫、緑、白色のアスパラガスに加え、同JAが開発し紫アスパラを遮光生産して薄付きピンク色に仕立てる「桜アスパラ」も加え、「会津田島アスパラ」として春限定で直売所や町内の飲食店でPRする。
「会津田島アスパラ」の登録は、同JAのブランド「南郷トマト」がきっかけだ。同JAの合併前、旧JA会津みなみは07年に南郷トマトを地域商標登録した。他産地が出荷箱を再利用し、「南郷トマト」として出荷することが数回起きたことがきっかけだ。
商標登録は偽物商品の発生防止に成果を上げ、ブランドの認知度も向上。トマトの年間売り上げは10億円を超える産地に成長した。
同JA田島営農経済センターの佐藤公生センター次長は「ブランド保護と顧客へのPR効果をトマトで経験しており、登録にちゅうちょはなかった」と強調する。
登録には3年を掛けて特許庁や県の知財アドバイザーとやりとりをし、周知度合いを実績として証明するため、メディアに取り上げられた件数や内容を明示した。会津田島アスパラガス部会長を務める湯田重利さん(70)は「ブランド化で、部会にプライドと責任が芽生えた」と胸を張る。
周知に力入れ ジャガイモ 北海道・JA今金町
北海道のJA今金町も、ジャガイモの「今金男しゃく」を今年3月末に登録した。今金町で栽培するでんぷん含有量13・5%の高糖度のジャガイモだ。
同JAは05年に今金男しゃくのロゴを段ボール箱や商品包装に使ってきたが、同じ名称を使った規格外品が市場やインターネットで出回り、消費者から「欠陥品を得た」などと苦情が寄せられた。
そこで、偽物を排除するために地域団体商標に出願。登録の要件を満たすために物産展への出品や車両広告などで周知性を高める工夫もした。
同JAは「今後は、ポテトチップスなどの加工品にも地域団体商標マークを付け、ブランド化のために有効活用する」と計画する。
全部で639件 JAグループで 3割超を登録
特許庁によると地域団体商標登録件数は3月30日現在で639件。JA全中によると、JAグループの登録件数は183件で全体の3割以上を占める。JAグループは第27回JA全国大会で、農業者の所得増大に向けた対策の一つとして、地域団体商標制度の活用に取り組むことを決議している。
JA全中はメリットについて「価格の上昇や売り上げの増加、品質管理の徹底、地域の知名度向上が期待できる。各JAに取得を進めてほしい」(輸出・知財農業推進室)と強調する。
特許庁地域ブランド推進室は「農産物や加工品は、商標登録することで市場での信用や競争力が上がる」と指摘。生産者の組織力も向上し、品質向上や安定につながると利点を強調している。
<ことば> 地域団体商標
地域名と商品名を組み合わせた地域ブランドを保護することを目的とした商標制度で、2006年に施行された。出願はJAなど地域に根差した団体に限る。権利を侵害した場合は10年以下の懲役か1000万円以下の罰金となる。損害賠償請求も可能だ。地理的表示(GI)保護制度は国が監視、取り締まるのに対し、地域団体商標では、自己で監視、権利を行使する。両者を組み合わせて利用することもできる。
2018年04月19日

[活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。
同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。
贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。(木村泰之)
2018年04月18日

米国向け牛肉輸出200トン超 低関税枠 早くも突破 4月上旬
2018年の米国向け牛肉輸出量が、4月上旬時点で、日本に設定された低関税枠の200トンを超えたことが17日、米国税関国境保護局のまとめで分かった。今後は12月末まで高関税が課せられる。6月中旬に達成した昨年を上回る異例の早さだ。輸出業者は「今後ペースは若干鈍るが依然引き合いが強く、通年で販売が拡大する」とみる。
2018年04月18日

食品ロス推計646万トン 15年度外食など事業系増える
農水省と環境省は17日、食べられるにもかかわらず捨てられている「食品ロス」が2015年度で646万トンに上るとの推計値を発表した。飢餓に苦しむ人に向けた世界の食糧援助量をはるかに上回る量だ。推計値を公表し始めた12年度以降で最も多く、14年度に比べて25万トン増えた。農水省は「外食産業の市場規模が拡大し、それに伴ってロスも増えている。外食での食べ残しなどの対策が重要になっている」と分析する。
646万トンのうち、外食産業や食品製造業など事業系の食品ロスは推計357万トンと55%を占めた。残り45%は家庭系。事業系の食品ロス量は、14年度に比べて推計18万トン増えた。内訳は、食品製造業が39%、外食産業37%、食品小売業19%、食品卸売業5%だった。
同省は、食品製造業での食品ロス対策は一定の成果を上げているとしており、今後は“川下”である外食産業やスーパーなど小売店で食品ロスを減らすことが課題となる。外食店では食べ切りを促すとともに、食べ残した料理は自己責任で持ち帰ってもらうなどの対策を広げていく考え。小売店では手前から商品を取る、見切り品を買うなどを消費者に推奨する。
農水省は「消費者を巻き込んで、いかに対策に取り組むことができるか。それが食品ロスを減らす鍵になる」とみる。
同日は、食品ロス削減に向けた新たな啓発資材も発表した。
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食品ロス646万トン もったいない どう共有?
2018年04月18日