新茶 ハウスで初摘み 埼玉県入間市
2018年04月12日

ハウスで栽培した狭山茶の一番摘みをする高野さん(11日、埼玉県入間市で)
狭山茶の主産地、入間市で11日、ハウス栽培の新茶の初摘みがあった。「さやまかおり」の新芽を刈り取ったのは、同市小谷田の「茶の高野園」の高野茶実夫(ちゃみお)さん(65)。今年の茶葉は柔らかく色や艶が良いため、味の良い茶に仕上がるという。初摘みの一番茶は早速加工し、1週間ほどで店頭に並び、100グラム3000円で販売する予定だ。
約330平方メートルのハウスで行った茶の初摘みは、1時間ほどで生葉約250キロを摘み取った。高野さんは同市内で唯一、ハウスで茶を栽培する。初摘みの時期は昨年並みで、2月末からハウスの天井を閉じて温度を調整し備えてきた。市内の露地栽培と比べて1カ月ほど早いという。
高野さんは家族4人とパートで経営。自園1・5ヘクタールで収穫した茶葉を自工場で製造し、自宅店舗での他、インターネットや出張販売を行っている。高野さんは「新茶を楽しみにしている人が多いので、いち早く届けたい」と話す。
約330平方メートルのハウスで行った茶の初摘みは、1時間ほどで生葉約250キロを摘み取った。高野さんは同市内で唯一、ハウスで茶を栽培する。初摘みの時期は昨年並みで、2月末からハウスの天井を閉じて温度を調整し備えてきた。市内の露地栽培と比べて1カ月ほど早いという。
高野さんは家族4人とパートで経営。自園1・5ヘクタールで収穫した茶葉を自工場で製造し、自宅店舗での他、インターネットや出張販売を行っている。高野さんは「新茶を楽しみにしている人が多いので、いち早く届けたい」と話す。
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訪日客「商機」 農畜産物 日本土産に
インバウンド(訪日外国人)に、日本産の農畜産物を土産として売り込む動きが広がってきた。和歌山市の事業者は、JAと連携し検疫済みの果物を旅行者が空港で受け取れる検疫代行サービスを開始。検疫が不要な国の旅行者にターゲットを絞り、厳選した農畜産物の専門店を設ける空港も出てきた。国や品目によって動植物検疫の条件が異なるため、販売を増やすには条件に合わせたサービスやPRが求められそうだ。(斯波希)
JAと連携検疫代行 和歌山の企業
地域特産品のブランド戦略などを手掛けるスターフードジャパン(和歌山市)は2017年から、和歌山県特産のかんきつや桃、イチゴなどをインバウンドに持ち帰ってもらおうと、関西国際空港内での検疫代行サービスを始めた。
大阪市内のホテルに申込書を設置し、注文のあった商品を同県のJA紀の里から調達。最短4日で、出国時に空港内にある同社直営の土産物店で検疫済みの商品を受け取れる仕組みだ。
検疫が必要な国からの旅行者が農産物を土産として持ち帰る場合、帰国時に植物防疫所や空港内の検疫カウンターへの持ち込みが必要だ。代行で手間を省くことで、気軽に果物を持ち帰れる。
今夏には、旅行者がインターネット上で検疫代行の申し込みや決済ができる電子商取引(EC)サイトを立ち上げ、利便性を高める。同社の新古祐子代表は「工場で大量生産されたものではなく、地域ならではの手作り品を海外に発信したい」と話す。JAは「産地を知ってもらい、実際に訪れるきっかけになればうれしい」(直売課)と期待する。
手間なし空港へ配送 兵庫の道の駅
兵庫県朝来市の道の駅・但馬のまほろばは、直売コーナーの農産物をインバウンドに売り込もうと、検疫条件の案内と関西国際空港への配送サービスを16年に始めた。1件2000円で、事前にツアー会社を通じてちらしを配布するなどしてPRする。
今後、シンガポールからの誘客に力を入れる方針だ。個人消費用の簡易証明書が添付されていれば、空港での手続きなしで牛肉を持ち込める同国向けに「但馬牛」などを売り込む戦略。福丸泰正支配人は「都市部の観光に飽きた外国人は、地方に流れてくる。収穫体験なども含めて但馬の食をPRしていきたい」と意気込む。
国際線エリア直営店で販売 中部国際空港
愛知県の中部国際空港は、検疫が必要ない国の旅行者にターゲットを絞り、静岡県産の「クラウンメロン」や事前に検疫を済ませた三重県産「松阪牛」などを国際線の制限エリア内の直営店舗で販売する。購入者の7、8割が、検疫なしでほとんどの品目を持ち帰れる香港からの旅行者という。
昨夏、岐阜、長野県産の桃を販売したところ、2カ月ほどで約600箱(1箱8個入り)が売れた。「ターゲットとする国の食文化や好みに合わせて品ぞろえしている」(営業企画部)と話す。
“食”の魅力 地方に誘客
農水省の推計によると、インバウンドの滞在中の旅行消費額のうち土産代が最も多く、全体の約4割の1兆6398億円に上る。そのうち食料品等は3456億円(17年)で前年に比べ19%伸びた。食料品の中で菓子類が46%を占める。
日本土産として農産物を持ち帰る場合、基本的に国や品目によって①そのまま持ち帰れるもの②輸出検査を受け、合格すれば持ち帰れるもの③持ち帰りできないもの──の3パターンがあり、条件に合わせた対応が必要となる。
インバウンドの消費行動に詳しいジャパンショッピングツーリズム協会の吉川廣司事務局次長は「地方で食べたおいしいものを持ち帰りたいという人が増えている」と指摘する。同協会は17年の訪日旅行者数と各国の検疫条件などから、土産で農産物を販売できるインバウンド数を約1186万人と試算。「土産として特産品の人気が出れば、活性化の起爆剤にもなる」(吉川事務局次長)と話す。
2018年04月17日

静岡茶初取引 平均単価3715円
静岡茶の2018年産の初取引が18日、静岡市の静岡茶市場で行われた。前年の約6倍に上る1万1900キロが上場された。品質は良好だったものの、上場数量増や新茶商戦がまだ高まっていないことなどから、1キロ平均単価は3715円と前年を3548円下回った。
最高値は、JA富士宮が出品した「さえみどり」の手もみ茶で、史上最高値が付いた昨年をさらに1万円上回る1キロ109万円で落札された。
今年は春先の天候が良く生育が前進。1957年に同市場で始まった初取引の中で4番目に早い開催となった。同日は210口の取引が成立した。
同市場の内田行俊社長は「今年は質量共に期待できる。生産者は安心・安全で良質な茶の生産を、茶商は品質に応じた価格での購入をお願いしたい」と呼び掛けた。
2018年04月19日
熊本地震から2年 早期の農業再建に全力
熊本地震から2年たった。住宅や道路など生活・産業インフラの復旧が進み、被災農家の多くも営農を一部再開した。一方で、被害が大きかった地域では農地、用排水路、農業用施設などの復旧作業が計画より遅れる状況にある。建設・土木業界の人手不足や資機材不足が足かせとなっている。目標とする2019年度の完全復興への道のりは険しいが、関係機関が総力を挙げて早期の経営再建につなげることが重要である。国の引き続きの支援も不可欠だ。
熊本地震は16年4月14日と16日に最大震度7を観測。長期の強い余震も発生し、熊本地方や県北東部の阿蘇地方、大分県西部などで甚大な被害に見舞われた。死者数は関連死を含め267人に上る。
県の直近の調査では、家を失い仮設住宅などで暮らす人が3万8000人を超えている。農家を含むお年寄りが多い。故郷での暮らしを望む人には一日も早い住宅の建設、自力再建ができない人には安心して過ごせる場所が必要である。仮設住宅は原則2年の期限があるが、県は柔軟に対応すべきだ。住まいの確保は最優先の課題である。
農林水産関係の被害額は1826億円(確定値)に上り、農業が1353億円で全体の7割強を占める。農地や用排水路など農地等被害が701億円、畜舎や園芸施設、農業用機械など農業施設被害が642億円と大きい。このうち、トラクターなど損傷した機械の導入や、農家が自力施工できる小規模な復旧は比較的順調だが、本格工事が伴う農地や農業用施設の復旧は計画通りに進んでいない。
その主たる要因は建設・土木業界の人手不足である。元々の構造的な労力不足に加え、オリンピック需要や東日本大震災、各地の災害復旧などが拍車を掛けている。自治体が工事の入札をかけても事業者が応札せず、不成立となるケースが少なくない。県の調べによると、農地などの災害復旧事業(約261億円)で災害査定したのは5193件。このうち今年2月末時点で発注済みは3087件、うち復旧完了は3分の1の1127件にとどまっている。
県は発生から3年間で復旧を終え、来年春の田植えからの完全再開を目標とするが、達成は厳しい現状にある。だが、被災地の基幹産業である農業の復興なくして真の復興はあり得ない。県、市町村、関係団体は一日も早い農業再建へ創意工夫を発揮してほしい。地域農業の担い手には、再開後の経営継続に過度の負担を背負うことのないよう配慮が必要だ。高齢農家へのきめ細かな対応も大切だ。
復興が長期化の様相を見せる中で、災害への風化が進まないか心配だ。いま一度、国民の関心を高める取り組みが必要である。農林中央金庫と農協観光が観光客を被災地に送り込むプロジェクトを始める。農業との接点を増やし、農業復興への関心を高める機会としたい。
2018年04月15日
新緑とともに新茶の季節である
新緑とともに新茶の季節である▼3月からの気温上昇で芽伸びが一気に進み、静岡茶市場は4番目に早い初取引となった。上場数量は昨年の6倍にも。JA富士宮が出品した「さえみどり」の手もみ茶が1キロ109万円と過去最高値を付け、生産者の期待が膨らむ。落札した会社が5月2日の八十八夜に地元の神社に奉納し、茶業振興を願って参拝客らにも振る舞う▼血圧の上昇を抑えたり、ストレスや認知症、がんを予防したりと、お茶の効用は驚くほど多い。大妻女子大学「お茶大学」校長の大森正司さんのお勧めは、茶葉ごと食べること。寝る前に3グラムほど口に入れ、300から500回かむ。ドロドロになってもすすがず、そのままごっくん。茶の効能フル活用である。やってみると、顎は結構疲れるが、翌朝の目覚めがいつもと違う。爽やかですっきり▼立春から数えて“七十七夜”のきょうは、わび茶を極めた茶人千利休の命日に当たる。安土桃山時代に日本独特の茶の湯の道を広めながら、豪華絢爛(けんらん)を好んだ秀吉との確執に散った。山本兼一さんの『利休にたずねよ』(PHP文芸文庫)を読んで、狂おしいほど美にこだわった茶聖の誇りと苦悩に引かれる▼夏が近づく八十八夜まであと少し。おいしいお茶で世界に誇る日本文化を味わう。
2018年04月21日
改正介護保険法 利用者に不安与えるな
改正介護保険法が4月、スタートした。介護保険財政の逼迫(ひっぱく)は深刻な現実だが、給付費削減へ向けて利用者や事業者に負担を求めるだけでは課題は解決しない。「介護の社会化で生活の質を高める」という創設の原点に立ち返って、「地域福祉」の在り方を考える必要がある。
今回の制度改定は「2025年問題」への対策が柱。自己負担額の見直しや、介護予防を強化し「自立支援」に積極的に取り組む事業者への報酬を手厚くすることなどが特徴だ。
「2025年問題」とは、団塊の世代が75歳以上となって超高齢社会が到来し、介護や医療など社会保障の給付と負担が一段と増すことを指す。25年には、75歳以上が約2200万人になるという推計があり、総人口に占める割合は2割。1割だった10年に比べると、急速に高齢化が進んでいく。
この問題を視野に入れた主な改正のポイントは、自己負担額での3割負担の導入や、介護予防による「自立支援」を重視したことだ。医療との連携や、リハビリテーションの強化で介護不要な状態までの改善を目指し、成果を上げた事業者へ報酬を手厚くする。
だが、事業者が改善の見込みがある人だけを選んだり、保険料を払っても望むサービスを受けられなくなったりする懸念がある。身体的な介護予防に力点を置いた場合、認知症の人への支援はどうするのかなど、さまざまな課題がある。
介護保険制度は2000年にスタート。背景にあったのは、①家族介護で特に女性に重い負担がかかる②在宅介護ができないと病院へ(社会的入院)③病院で尊厳が軽視される──といった社会状況だった。
制度導入前、介護は家族内の問題であり、“できれば家の奥に隠しておきたいこと”だった。取材を受けてくれる家族を探すのも困難だった。公的介護サービスが当たり前になっている現在と比べると、制度が定着していることを実感する。状況は明らかに改善した。
一方で、3年ごとに行われる制度の見直しが財政面にばかりに目が向くきらいがある。制度の安定的な運用は重要だが、「高齢者自らがサービスを選び、決定することで尊厳が守られる」とした制度の理念を置き去りにするようなことは許されない。介護サービスを必要とする高齢者が安心して利用できる制度が「尊厳」の出発点となる。
介護の目的は食事や排せつ、入浴などの支援(サービス提供)だけにあるのではない。人と人の良い関係に基づいた支援により、人間らしい生活を送ることにある。地域に密着したJAの強みは、このような関係性を築いてきたことだ。
地域の食と農を生かし、女性部パワーを活用したきめ細かな対応で、利用者に喜ばれる高齢者支援活動を続けていきたい。
2018年04月21日
営農の新着記事

最新技術の圃場公開 ICTポリ培地 多様な担い手確保へ 近畿大・奈良県
近畿大学農学部と奈良県は20日、奈良市の同大キャンパスで、多様な担い手の就農を支援するため、長期間使えるポリエステル培地や情報通信技術(ICT)など、最新技術を使った園芸栽培の実証圃場(ほじょう)を公開した。作業の手間を省いて高齢者や障害者、若年性認知症の人らが容易に農業ができるようにし、不足する担い手確保につなげるのが狙い。
圃場は2017年度に県の予算約3000万円を投じ、整備した。この日は、農家や行政関係者ら約30人が参加した。
同大農学部の林孝洋教授がポリエステル培地での栽培を説明。東日本大震災の被災地、福島県で花き生産が軌道に乗っていることに触れ「土を使わないので風評被害に苦しむ地域にも向く。軽量で作業負担が少ない高設ベンチでの栽培が可能だ。半永久的に使え、連作障害が出にくい」と利点を強調した。
ICTを活用した養液土耕栽培を同大大学院農学研究科の野々村照雄教授が解説。園芸施設は2棟あり計3アールで設置費は1300万円。メロンとトマトを栽培し、水や肥料、温度などを自動管理できる。現在、生産効率の良い養液量などのデータを収集中で「個人の経験や勘に頼らない生産で就農初期から所得の安定へつなげたい」と話した。
養液量を調整することで付加価値を高めることも可能とし、栽培だけでなく加工、販売のマニュアル化も検討している。
今年度は試験栽培で、ポリエステル培地とICTの技術のマニュアル化に力を注ぐ。年内中にもポリエステル培地を活用した同大学生による農業ベンチャー法人を設立し、県内の農業経営体を連携する考えだ。
2018年04月21日

バナナ 皮ごとパクッ 寒さ・病害虫に強く無農薬 ともいきBIOが販売
種苗の研究開発や培養を手掛ける、ともいきBIO(バイオ)は18日、独自の凍結解凍技術で育苗し、国内で栽培できるバナナを開発したと発表した。寒さと病害虫に強く、鹿児島県で栽培が始まっており、糖度が高く無農薬のため「皮まで食べられるバナナ」として限定販売する。
国内でのバナナ栽培は、沖縄県など温暖な地域に限られていた。同社が開発した「凍結解凍覚醒法」を使って育苗したバナナ苗は、氷点下17度まで耐えられる。温帯地域で栽培でき、定植から収穫までの期間は約9カ月で、通常のバナナの半分以下。病害虫にも強く、田中節三代表は「一度凍らせることでバナナ本来の生命力が現れるのでは」と話す。
世界ではバナナの木を枯らす「新パナマ病」が広がり、フィリピンなどの産地では生産量の減少が懸念されている。田中代表は「耕作放棄地を活用して鹿児島を拠点に、全国でバナナ生産を目指す」と意気込む。開発した技術はパパイアやカカオなどでも効果を確認し、他の熱帯作物の生産も期待できる。
生産したバナナは、三重県伊勢市の伊勢安土桃山城下街内の売店やホームページで購入できる。
2018年04月19日
牛豚汚水処理の温室効果ガス 想定より4割少なく 環境負荷は小さめ 農研機構
牛舎・豚舎の汚水処理施設から出る温室効果ガスが、想定されていた数値よりも大幅に少ないことが農研機構などでつくる研究グループの研究で分かった。算出に使う係数を実測に基づいて見直すと、日本全体で約150万トンとみられていた排出量が41%減の90万トン程度に収まった。環境負荷が小さいことが判明し、環境問題で畜産への風当たりが和らぐと期待される。この数値は日本の温暖化ガス排出量として、国連の機関に提出される見込み。
2018年04月18日
消石灰 色で効果確認 畜舎消毒に最適 量産・商品化めど 北海道・室蘭工業大
北海道室蘭市の室蘭工業大学は、口蹄(こうてい)疫、高病原性鳥インフルエンザなど家畜の伝染病を防ぐ新素材「多機能粒状消石灰」の量産と事業化にめどを付けた。色の変化で消毒効力が分かる可視化を実現。効果の持続期間もこれまでの粉末に比べ2倍となり、用途に応じて粒状消石灰の硬さとサイズを最適化することも可能にした。特徴評価に関する意見やデータの蓄積を基に改良を加え、2020年までに普及と商品化を目指す。
防疫に使う粉末消石灰は散布しても風などで飛散したり、消毒効果がまだあるのか実感できなかったりする課題があった。
そこで、同大学応用理化学系学科の山中真也准教授らは粉末消石灰に改良を加え、①粒が青色から赤紫色に変化することで効力を「見える化」②効力を粉末の35日から75日に延長(実験室測定値)③粒状にすることで飛散しにくい──などを実現した。
効果を実証するため、3月から北海道白糠町の酪農家8戸と羊農家2戸にモニターを依頼した。1年間、週1回の間隔で畜舎出入り口などに散布。色の変化と専用のキットで水素イオン指数(pH)を測定するなど、資材の効力や使い勝手などを調査する。
生産体制を構築するため企業と連携し大学内にパイロットプラントを設置、日量2トン、年間400トンの量産化を可能にした。19年度はさらに対象を広げ、北海道450戸、宮崎県350戸の農家に配布して大規模な実証試験を行い、事業化を進める計画だ。
事業の研究総括を務める山中准教授は「今回の実証試験で試作品の課題を洗い出す。使いやすさを追求して、家畜防疫の徹底に寄与したい」と話す。
2018年04月16日

養液「ハンモックベンチ式」 トマト2割増収 循環利用コスト減 長野県
長野県野菜花き試験場は、トマトなどの養液栽培で廃液を出さずに収量を向上させる栽培方法「ハンモックベンチ吸い戻し式」を開発した。自力で施工できるシンプルな構造で、養液を循環利用することで、養液コストを圧縮。トマトやカラーピーマンの栽培試験では、約2割の収量増を実現した。同試験場は「(養液栽培の)次世代の方式」(野菜部)と自信を見せる。(染谷臨太郎)
2018年04月13日

新茶 ハウスで初摘み 埼玉県入間市
狭山茶の主産地、入間市で11日、ハウス栽培の新茶の初摘みがあった。「さやまかおり」の新芽を刈り取ったのは、同市小谷田の「茶の高野園」の高野茶実夫(ちゃみお)さん(65)。今年の茶葉は柔らかく色や艶が良いため、味の良い茶に仕上がるという。初摘みの一番茶は早速加工し、1週間ほどで店頭に並び、100グラム3000円で販売する予定だ。
約330平方メートルのハウスで行った茶の初摘みは、1時間ほどで生葉約250キロを摘み取った。高野さんは同市内で唯一、ハウスで茶を栽培する。初摘みの時期は昨年並みで、2月末からハウスの天井を閉じて温度を調整し備えてきた。市内の露地栽培と比べて1カ月ほど早いという。
高野さんは家族4人とパートで経営。自園1・5ヘクタールで収穫した茶葉を自工場で製造し、自宅店舗での他、インターネットや出張販売を行っている。高野さんは「新茶を楽しみにしている人が多いので、いち早く届けたい」と話す。
2018年04月12日
パプリカ 国産拡大へ法人連携 リレー出荷も視野 収量増技術講習
国内の大規模パプリカ生産法人などでつくる「国産パプリカネットワーク(NaPA)」が、国産のシェア拡大に向けて動きだす。国内消費の約9割の輸入品に対し、国産は収量や長期安定供給の課題がある。その克服に向け、収量の向上に向けた技術講習会を今夏から開く。協力して出荷する体制をつくり、安定供給の構築を目指す。具体的な協力体制は今後検討する。JA全農が事務局を務め、情報提供などで支援。将来的には、出荷期がずれる小規模生産者とのリレー出荷も視野に入れる。
パプリカは1990年代前半に輸入が始まり、90年代後半から国内での生産が本格的に始まった。近年は国内生産量が増加傾向。国内生産の7、8割が1ヘクタール以上の大規模生産者とされる。ただ、1法人では事業者が要望する供給量に対応できない課題がある。
NaPAは、国産の生産強化と消費拡大に向けて昨年10月に設立。現在正会員の7法人で、国内生産量の5割強を占める。今年に入り、技術連携などの具体策を固めた。スーパーでの販売向けに小玉の生産が主だったが、外食で使うことを踏まえ、調理の手間が減る大玉の生産も検討する。
まずは、各法人の生産方法などを調査。外食への販売での連携を見据え、品質をそろえるための生産方法を探る。国内の収量は平均10アール14トンと推定されるが、オランダや韓国ではこの2倍程度取れるところもあるという。今夏から始める講習会では、まず大規模生産者向けの技術を学ぶ。
温室を使う大規模法人と、主に露地や簡易温室で生産する小規模生産者では出荷時期が異なる。将来的には、両者で共通の販売先を定めたリレー出荷を目指す。
今後、生産・販売での連携に向け、スーパーや外食、生産資材会社などの参加も促す。NaPAの会長を務め、水戸市で2・3ヘクタールのパプリカを生産する法人「Tedy」の林俊秀代表(56)は「輸入が大半を占める中、国産で競合しても仕方がない。生産や消費拡大に向けて協力することが重要だ」としている。
2018年04月12日
鶏ふんの窒素量 品種改良進み20年で33%減 環境負荷小さく
鶏ふん中の窒素量が昔より減っていることが、農研機構の研究などで明らかになった。採卵鶏では約20年で窒素が33%少なくなっている。鶏の品種改良が進んだことが要因とみられる。これまで考えられているより環境への負荷は小さいが、鶏ふんを原料にした肥料成分は、やや減ることになる。
家畜や家きん1頭(羽)が1日に排出する窒素、リン酸、カリの量は「栄養素排せつ量原単位」として、温室効果ガス発生の算定基礎や、家畜・家きんの栄養管理に利用されている。鶏の排せつ量原単位が約20年ぶりに見直され、窒素の排せつ量がこれまでより大幅に少なくなっていることが分かった。
採卵鶏は1日1羽当たり2・2グラムで改定前の32.9%減。ブロイラーは1・87グラムで28・6%減だった。
鶏ふん中の窒素は温室効果ガスの一酸化二窒素(N2O)につながり、原単位はN2O発生の算定基礎になる。新しい原単位は「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」に記載され、環境への影響を算定する際に公式に使われる。
原単位の見直しで国内で1年間に発生する鶏ふん由来のN2Oは60万トン減る計算。鶏ふんの環境への悪影響は小さくなったことになる。一方、鶏ふん肥料の窒素分は減ったため、農研機構では施用時に注意が必要としている。
2018年04月10日

鳥獣害対策 初のクラウドシステム 地域で情報共有 捕獲効率高め作業負担減 JAグループ鹿児島の関連会社
富士通鹿児島インフォネットは、情報通信技術(ICT)を使い、インターネット上でわなや防護柵の設置場所、被害状況、目撃場所などの情報を共有できる「アグリマルチセンシングSaaS(サース)鳥獣害対策クラウド」を開発した。鳥獣被害対策用のクラウドシステムとしては国内初。スマートフォン(スマホ)などを使い地域ぐるみで対策内容や対策に必要な情報を共有することで、高齢農家や狩猟者の負担を軽減。深刻化する鳥獣被害の減少につなげる。
同社は、JAグループ鹿児島と富士通の合弁会社。JAグループの情報システムの開発などを手掛けている。開発したシステムは、わなや防護柵の設置場所、捕獲実績をインターネット上の地図に表示。捕獲記録や見回り記録もスマホなどで簡単に登録できる。
わなによる捕獲を知らせるメール機能も装備する。「各メーカーの捕獲や防護装置の情報を取り込める連携仕様にしている」と同社。自治体で捕獲実績を報告する帳票作成の機能も持つ。
同システムを使い熊本県高森町などで2016年1月から17年3月まで実証試験を実施。高森町では被害が12%削減でき、「画像認識技術や捕獲通知機能で捕獲効率の向上と作業負荷が軽減できた」と高い評価を得た。
システムは、同社の食・農クラウド「Akisai(秋彩)」シリーズとして3月から販売を始めた。初期費用は、2万円(税別)から、月額費用は3万円(同)から。最小構成である管理者5人、猟師など50人の利用で、年間40万円以下という。
同社サービスインテグレーション統括部の楠晴光JAアグリソリューション部長は「試用期間を設けているので、実際に効果を確認してほしい。鳥獣害の解決にICTで貢献したい」と話す。
2018年04月06日
夏場の需給に黄信号 都府県3%減 弱体化対策が急務 18年度生乳生産見通し
都府県の酪農生産基盤の弱体化に歯止めがかからない。Jミルクの2018年度生乳生産見通しでは、都府県は前年度に比べて3%(約10万トン)減となる。夏場の生乳需給に“黄信号”がともる。官民挙げた都府県緊急対策が急務となってきた。(論説委員・伊本克宜)
Jミルクは、今年度の地区別生乳生産量を全国で725万トン、前年度対比99・5%とほぼ同量と見込む。だが問題は地区別の格差が広がっていることだ。2歳以上の後継牛の確保が進む北海道は398万トン、同101・6%と増産基調が続く。半面で都府県は328万トン、同97・1%と減産幅が大きくなっている。
北海道は数年前に生乳全体量の5割を超したが、その比率は約55%とさらに高まる見通し。大きな課題は、都府県の減産分を北海道がカバーできなくなっている点だ。
牛乳・乳製品には「健康志向、機能性なども加わりこれまでにない強い需要がある」(宮原道夫日本乳業協会会長)。ヨーグルトやチーズに加え、飲用牛乳の需要も堅調だ。
Jミルクの西尾啓治会長(雪印メグミルク社長)は「都府県の状況は依然厳しい。特に夏場の需給に混乱が生じないようにしなけれなならない」と強調する。一時、バター不足など乳製品向け加工原料乳の需給が問題となった。都府県の地盤沈下は国内酪農危機の次の局面、輸入代替が効かない飲用牛乳の逼迫に結び付きかねない。
特に業界が懸念しているのは、生乳生産が落ちる一方で、学校給食牛乳が再開し需要が高まる9月の対応だ。夏場の天候いかんで、乳業メーカーによる牛乳の出荷調整の動きが出てもおかしくないとの見方が強い。北海道からの生乳移出量は1カ月で約6万トンと限られる。自民党内でも、昨年末の畜産物政策価格論議で「都府県酪農支援へ緊急プロジェクトチームを設けて検討したらどうか」などの意見も出た。
畜産クラスターなど各種事業はあるが、北海道をはじめ大型酪農を想定したものが多い。都府県の家族酪農を後押しした基盤強化で増産に結び付く対策の拡充が欠かせない。
4月からは、これまでの加工原料乳不足払い法を廃止し、改正畜産経営安定法が施行された。生乳取引の多様化を促すもので、貿易自由化の進展とともに生乳需給の見通しが一段と不透明となってきた。こうした中で、都府県酪農てこ入れの特別対策実施が喫緊の課題となっている。
2018年04月03日