春の農作業本番

 春の農作業本番。苦い記憶がよみがえる。それは耕運機での作業中に起きた。斜面の手前で折り返そうとした時、バランスを崩し横転した。あの時、耕運機ごと斜面に転落していたら…。多分この原稿は書いていない▼この国では、1日平均1人の農家が農作業事故で命を落とす。農林業は最も危険な業種で、高齢農家に被害が集中する。事故は当人だけでなく家族の人生も変える。平昌パラリンピックで金メダルを取った障害者ノルディックスキーの新田佳浩選手もその1人である▼新田選手は3歳の時、祖父の操作するコンバインに巻き込まれ左手の肘から先を失った。それでも翌年にスキーを始める。自分を責め落ち込む祖父に金メダルをかけてあげることが選手生活の原動力になった。悲願は、2010年のバンクーバー・パラリンピックで実現する。祖父亡き今回は、自分のため、家族のためにメダルを取ると言った▼「失ったものを惜しむ気持ちはない。今あるもの、持っているものを生かすことができれば成長できる」。その言葉に障害と向き合い、乗り越えてきた新田選手の強さを知る▼あなたの安全は家族の安心。不慮の事故や災害は日常に潜む。あの熊本地震からも2年。先が見えない人も多い。幾多の障害を前に進む力に変えてほしい。 
 

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