熊本地震から2年 早期の農業再建に全力

 熊本地震から2年たった。住宅や道路など生活・産業インフラの復旧が進み、被災農家の多くも営農を一部再開した。一方で、被害が大きかった地域では農地、用排水路、農業用施設などの復旧作業が計画より遅れる状況にある。建設・土木業界の人手不足や資機材不足が足かせとなっている。目標とする2019年度の完全復興への道のりは険しいが、関係機関が総力を挙げて早期の経営再建につなげることが重要である。国の引き続きの支援も不可欠だ。

 熊本地震は16年4月14日と16日に最大震度7を観測。長期の強い余震も発生し、熊本地方や県北東部の阿蘇地方、大分県西部などで甚大な被害に見舞われた。死者数は関連死を含め267人に上る。

 県の直近の調査では、家を失い仮設住宅などで暮らす人が3万8000人を超えている。農家を含むお年寄りが多い。故郷での暮らしを望む人には一日も早い住宅の建設、自力再建ができない人には安心して過ごせる場所が必要である。仮設住宅は原則2年の期限があるが、県は柔軟に対応すべきだ。住まいの確保は最優先の課題である。

 農林水産関係の被害額は1826億円(確定値)に上り、農業が1353億円で全体の7割強を占める。農地や用排水路など農地等被害が701億円、畜舎や園芸施設、農業用機械など農業施設被害が642億円と大きい。このうち、トラクターなど損傷した機械の導入や、農家が自力施工できる小規模な復旧は比較的順調だが、本格工事が伴う農地や農業用施設の復旧は計画通りに進んでいない。

 その主たる要因は建設・土木業界の人手不足である。元々の構造的な労力不足に加え、オリンピック需要や東日本大震災、各地の災害復旧などが拍車を掛けている。自治体が工事の入札をかけても事業者が応札せず、不成立となるケースが少なくない。県の調べによると、農地などの災害復旧事業(約261億円)で災害査定したのは5193件。このうち今年2月末時点で発注済みは3087件、うち復旧完了は3分の1の1127件にとどまっている。

 県は発生から3年間で復旧を終え、来年春の田植えからの完全再開を目標とするが、達成は厳しい現状にある。だが、被災地の基幹産業である農業の復興なくして真の復興はあり得ない。県、市町村、関係団体は一日も早い農業再建へ創意工夫を発揮してほしい。地域農業の担い手には、再開後の経営継続に過度の負担を背負うことのないよう配慮が必要だ。高齢農家へのきめ細かな対応も大切だ。

 復興が長期化の様相を見せる中で、災害への風化が進まないか心配だ。いま一度、国民の関心を高める取り組みが必要である。農林中央金庫と農協観光が観光客を被災地に送り込むプロジェクトを始める。農業との接点を増やし、農業復興への関心を高める機会としたい。

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