[達人列伝 45] 仙台牛 宮城県石巻市・川村ファーム 共励会史上初の連覇 全て手給餌 観察を徹底

仲間と切磋琢磨しながら技術を高めている川村さん(宮城県石巻市で)

 日本一基準が厳しいといわれる宮城県ブランド和牛の「仙台牛」。日本最大の枝肉共励会で2016、17年度、史上初の連覇を果たしたのが、宮城県石巻市の「仙台牛」農家、川村ファームだ。優良な血統の牛の能力を最大限引き出すため毎日、手作業での餌やりや屋外での観察で、一頭一頭の牛の体調を管理。肉質を高めるため、長期肥育にもこだわる。

 同ファームは、東京食肉市場協会と東京食肉市場が主催する日本最大の「全国肉用牛枝肉共励会」で最高位の名誉賞を2年連続で獲得。JA全農みやぎは「農家が一生に1回取るのも難しい賞」(生産販売課)と、驚く。ただ、同ファーム3代目で取締役の川村大樹さん(37)は「産地のレベルの高さがあるから、賞を取れた」と強調する。

 レベルの高さとは「仙台牛」の厳しい基準だ。「仙台牛」は日本食肉格付協会の格付けで、A5とB5に評価されたもの。全国のブランド牛の中で唯一、5等級に限定したブランド牛で、その中で競い合ってきた。最上級の肉質は「もと牛で7割は決まる」と断言する。もと牛とは、市場で購入する子牛。血統、体型で子牛を見極める。残りの3割は、肥育技術でもと牛の能力を最大限引き出す。

 同ファームの一日は、牛200頭に手作業で餌をやることから始まる。「鼻水やせきは出てないかな」「餌は残してないかな」。餌やり中に、牛の体調に目を光らせる。

 餌やり後は牛を外に出す。牛舎を掃除するためだが、外に出すと牛の見え方が変わる。けがや足の腫れに気付き対応したこともある。牛に負担がかかるため、通常はあまり牛を移動させないが、築35年の牛舎の構造上、掃除のため毎日外に出さざるを得ない。「手間をかけた分だけいい牛が育つ」と自信を見せる。

 さらに同ファームは、通常の和牛より2、3カ月長く、32、33カ月齢まで飼う。「生体で成熟させるイメージ」とこだわる。同ファームの肉を使う仙台市の焼き肉店「牛々」の松山勇龍オーナーは「肉の甘味が違う。しっとり口の中で溶ける」と絶賛する。

 長期間、牛が餌を食べられるよう、子牛購入後の最初の3カ月間の前期肥育に一番気を使う。前期肥育では、繊維質を多く含む牧草などで丈夫な胃袋をつくることに専念。「前期肥育を制する者が肥育を制する。基本に忠実に肥育することが大切」と強調する。(塩崎恵)
 

経営メモ


 石巻市の牧場で200頭を飼い、県内10農場に肥育を委託。労働力は大樹さんと父、弟、従業員3人。第56回仙台牛枝肉共進会チャンピオン賞など受賞歴多数。
 

私のこだわり


 「仙台牛は5等級だけで競い合い、5等級でないと意味がない。“ナンバーワンの銘柄”がモチベーションに」

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