熊出没シーズンに 4年に1度の多発年?

長野県で今年、大量出没が心配されるツキノワグマ(長野県提供)

家屋の壁にできた蜂の巣を取ろうと、熊が壁を壊した跡(長野県提供)

 山菜シーズンを迎えて山に入る人が増える中、熊に襲われる被害が多発していることから、各県では警戒を呼び掛けている。長野県では過去のデータから今年が4年に1度の“発生年”に当たるとして注意を喚起。昨年は死亡事故も発生した秋田県では、人と熊のすみ分けのための区域分けを行う他、駆除の権限を市町村に移管したり、熊を追い払う煙火の講習会を開いたりして、被害を食い止める対策を急ぐ。(齋藤花、染谷臨太郎)
 

長野県が警戒強化 


 長野県は過去のデータから、今年は熊の出没回数が増える恐れがあるとして、注意を呼び掛けている。県の過去12年間の統計では、4年周期でツキノワグマの里地での目撃情報件数が急増。その“発生年”が今年に当たるからだ。

 過去のデータによると、発生が多かった2006年、10年、14年の4~12月の目撃件数は平均で2167件に上る。その他の9年間の平均が673件と、里地での目撃が3倍以上多い。それに比例して人身被害の件数も多く、14年は近年で最悪の32人が被害に遭った。

 県は「要因は明らかになっていないが、熊の餌となる山のブナやドングリなどの堅果類の豊凶の周期が関係しているのでは」(鳥獣対策・ジビエ振興室)とみる。

 統計データを見ると、発生年は夏以降の目撃件数が増加。通常年の平均で386件しかない8~11月の目撃件数も、発生年は1821件と激増した。特に山の木の実が不作で、里地で実りの秋を迎えた9月以降に多いとみられ、通常は姿を見せない11月も、冬眠前に栄養を蓄えようと里地まで餌を求めて下りてくる。

 今年も、目撃件数が多くなることが予想されるが、同室は「4年周期での多発はあくまで長野県の傾向」と強調する。

 人身被害を防ぐためには「ばったり出くわさないようにすることが重要」(同室)。早朝や夕方に遭遇の危険性が高く、山菜やきのこの採取時には、鈴やラジオなどを持って必ず鳴らす。里地でも熊が潜めるようなやぶ地を除草し、餌となる収穫残さや生ごみを適切に処理することなどを呼び掛けている。
 

すみ分け、追い払い 秋田県は対策徹底


 秋田県は今年、熊の駆除を速やかに行うため、権限の一部を市町村に譲渡した。4月から人身被害を防ぐ目的に限り、県の許可なしで市町村が駆除できる。「熊に遭遇した際、県に連絡して許可を得る猶予はない」(自然保護課)との判断だ。

 県は初めて熊追い払いの煙火を導入。5月8日、市町村の担当を集め安全使用の講習会を行う。また、熊と人のすみ分けを徹底するため、今年度から鹿角市3カ所、北秋田市と大館市の計5カ所で「熊生息地帯」「緩衝地帯」「人の生活地帯」に分けるゾーニングを実施する。

 煙火は河川や集落に面する山麓などの緩衝地帯で使う。熊生息地帯では、山菜採りなどに入る際、鈴やラジオ音を立てるなどの対策を呼び掛ける。

 秋田県警によると、今年の目撃情報は4月18日現在で前年同期比6倍の19件。自然保護課は「市民から不安の声が上がっている」と対策を強める。

 環境省によると、ツキノワグマは本州、四国の33都府県に生息。農業被害は少ない一方で、死亡事故につながる可能性がある。昨年度の人身被害件数は2月末までで3121件に上る。

 同省鳥獣保護管理室は「緩衝地域では放置果樹や廃棄農作物などをきちんと処理し、熊を誘引する餌にしないことが大切」と説明する。

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