“暑い春”野菜低迷 生育進み出荷集中 高騰の反動・・・買い控え、輸入増加

レタスの生育に気をもむ染野さん(茨城県八千代町で)

 今年は気温高により、野菜産地が厳しい春を迎えている。全国的に生育が1週間程度前倒しとなり、出荷が集中。相場が大きく落ち込んだことに加え、収穫が追い付かずに販売できなくなるという“二重苦”に、農家の手取り確保が厳しくなっている。販売苦戦の背景には、消費者の買い控えや輸入物の増加も影響している。産地が悲鳴を上げている。(音道洋範)
 

育ち過ぎ 規格外も 茨城のレタス


 「気温上昇で生育が早過ぎる。相場は安いが、収入を得るには出荷を続けるしかない」。茨城県有数の野菜産地、八千代町。レタスを3ヘクタール生産する染野一男さん(67)はため息を漏らす。畑に並ぶのは、売れ筋の規格より大きい2L級以上。家族ら計4人で、連日朝7時から収穫に力を入れるが、それでも作業が追い付かない状況だ。

 産地では3月以降、高温が続く。気象庁によると、隣接する古河市の4月上旬の平均最高気温は21・5度。平年より4度高い。JA常総ひかりは「野菜の生育が予定より10日ほど進んでいる」と指摘する。

 染野さんが現在、1日に収穫するレタスは3000個と前年より2割多い。JAに契約出荷するが、全国的な相場下落の影響を受け、「手取りは赤字にならない水準を確保するのがやっとだ」と打ち明ける。

 特に苦労するのが、収穫の遅れで規格外となり、収穫・販売できないレタスが増えたことだ。染野さんは90アール分の収穫ができないとみており、種子や農薬にかかった50万円が回収できないという。染野さんは「次の作型で取り返すしかない」と漏らす。

 生育の前進は各地で起きており、ダイコン産地の長崎県JA島原雲仙は「売れ筋から外れた2L、3L級が増えた。選果場をフル稼働するが追い付かず、出荷者を制限している」と説明。JA全農ぐんまは「キュウリの生育は1週間ほど早い。好天が続けば、もっと進むかもしれない」と気をもむ。
 

キュウリ4割レタス3割安


 市場では潤沢な入荷が続く。4月中旬の大手7卸の販売量は3万477トンで、過去5年間で2番目に多い。結球野菜や果菜類の苦戦が目立ち、日農平均価格はキュウリが1キロ184円で過去5年平均(平年)の4割安、レタスは1キロ129円で3割安。卸売会社は「冬の価格高騰時から、消費者が必要な分しか買わない、買い控えが今も続いている」と指摘する。

 首都圏のスーパーは野菜の売価を高騰時のおよそ4分の1まで下げた。それでも売り上げは前年を割り込む。バイヤーは「安くなっても、玉売りや袋売りは鈍い。カットやばらといった少ない量目が人気で、消費量が減っている」と話す。

 輸入増加も一因だ。農水省の植物検疫統計によると、3月の輸入量はハクサイが5238トンで前年の18倍、キャベツは2万7637トンで3・7倍に上り、業務・加工需要を奪う。輸入商社は「高騰した冬の時点で、3月以降に価格が落ち着くと予想できず、注文を減らしていない」と説明する。

 産地の出荷は、5月も潤沢が続きそうだ。卸売会社は「大型連休明けは需要が落ち着く時期。輸入物の在庫もあり、販売環境は厳しい」とみる。

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