政治農政意識調査 官邸主導 農家は問題視

 日本農業新聞が農政モニターを対象に行った意識調査結果(回答者数812人)によると、安倍内閣の支持率は30%台と低空飛行が続く。農政の批判的な受け止めに加えて、森友・加計学園問題で安倍晋三首相への不信が高まった。不支持率は65%に上り、農村部でも厳しい目にさらされている。

 大手マスコミの世論調査で内閣支持率が急落したのは、財務省による公文書改ざんが発覚した3月以降だ。農政モニター調査では、2012年の発足当初こそ60%を超えたものの、2015年以降はおおむね30%台で推移する。環太平洋連携協定(TPP)の推進や、農協改革など一連の急進的な農政改革への厳しい評価が背景にある。

 今回の調査で不支持の理由に「安倍首相を信用しない」が5割もあった点に注目したい。官邸の関与が取り沙汰される森友・加計学園問題が一向に収束しないことが響いている。首相その人への不信が支持率低落の主因である以上、短期に反転させるのは難しい。得意の外交でも日米首脳会談をはじめ目覚ましい成果はなく、内閣改造による政権浮揚も期待薄だ。

 政治意識では、支持する政党のトップが自民党の45%で他党を圧倒した。農政の期待値も39%と高い。この傾向はこれまでの調査でも同様だ。安倍内閣や農政への厳しい評価と自民党の支持率は連動していない。野党の非力が要因の一つだろう。

 安倍内閣の農業政策に対する評価では、「どちらかといえば」「まったく」を含め「評価しない」が7割に上る。農地中間管理機構による農地集積、農業所得増大、米政策の転換、農協改革など、主要な農業施策のいずれも評価が低い。政府・与党関係者はこの結果を厳しく受け止める必要がある。

 逆に看板施策で評価が高いのは農産物輸出拡大だ。「大いに」「どちらかといえば」を合わせ「評価する」は5割を超えた。海外市場の開拓が農業所得の増大につながるかどうかは議論のあるところだが、官民挙げてのチャレンジに対する生産現場の期待感は高い。

 今回は政策決定の在り方についても聞いた。規制改革会議などを使って官邸主導型の政策決定を進めることについて、「農家や生産現場の声よりも経済界の意見を重視し、評価できない」が8割を超え、農業者が厳しく見ていることが分かった。一方で、役割発揮を期待する機関として、生産者、消費者の代表や有識者らで構成する農水省の審議会が77%に上った。

 農政改革の中身と併せて、農政の決め方についても、農業者が違和感を感じている。政府・与党はこのことを重く受け止め、政策決定の在り方を是正していく必要がある。現場から「一方的」と疑念が出る状況はあるべき姿ではない。

 農政の起点は現場である。関係者の理解と協力なくして進まないことを肝に銘じるべきだ。

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