切り花 新JAS 日持ちの信頼を武器に

 花壇苗や鉢花はよく買うが、切り花はあまり買わないという消費者が結構いる。鉢花などより観賞期間が短く、日持ち(花持ち)の程度が分からないという不安感が背景にある。今年度から始まった、新しい日本農林規格(JAS)では、日持ち性を高めるための栽培・出荷方法を実践する生産者の切り花を認証する。消費者は店頭でJASマークを見て、「日持ちの良さ」を確認できる。信頼を武器に新たな販路を広げたい。

 従来のJAS法は、規格の対象を農林水産物・食品の原材料や成分などの品質に限っていた。新JAS法では生産方法や取り扱い方法なども基準に加えた。品質以外の価値を「見える化」し、他の国内外の商品と区別できるようにする。切り花では、栽培から出荷までの日持ちを良くする管理方法の基準を定め、「日持ち生産管理切り花」として認証する。

 基準は、まず清潔さ。病気の花は捨て置かない。使う水は水道水に限り、他の水はきれいでも抗菌剤を入れる。はさみは使う前に消毒する。茎内で増殖した菌が日持ちを悪くすることは知られているが、管理は意外と徹底されていない。日本花き生産協会の2年前の調べでは、はさみのきれいさに6割の生産者が「留意していない」と答えた。清潔な環境は基本だ。

 採花時や保管時の温度、採花の作業時間や出荷までの時間なども定める。採花時の温度が高温だった場合には早めの出荷でカバーできる。これらの対策は、多くの生産者が品質管理で日ごろ心掛けていることばかりだろう。部会などで取り組む場合には、共通の目的意識を持ち、相互の検証が大切になる。農業生産工程管理(GAP)の切り花向けの団体認証と考えれば難しい取り組みではない。

 小売店や卸など流通関係者の日持ちへの関心は高い。日本農業新聞は昨年末、国産花きに求める2018年のキーワードを尋ねた。「日持ち」が3分の2とトップ。前年トップだった「安定出荷」は4割弱で、意識の変化がうかがえる。花は必ずしも生活必需品と見られていない。堅い財布のひもを緩めさせるには、日持ちの良さという「お得感」の提供が効果的だろう。

 日持ちの改善には、生産と流通、小売りの連携が欠かせない。産地や生産者は新JASを活用し、川下の要望に応えつつ、積極的に優位点をアピールしていくべきだ。一定の日数の日持ち期間を保証する小売店の販売方法も、産地との連携がなくては広がらない。

 日持ちの改善は輸入切り花への対抗策になる。低価格、安定供給が売りの輸入品のシェアは年々増え、16年には26%に達した。多彩な品種と日持ち性の良さが消費者に浸透すれば、国産シェアの奪還につながる。輸出にも好材料だ。「消費地での効果が見えにくい」と後ろ向きにならず、新JASの活用を検討すべきだ。

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