空転続く国会 正常化へ与党は譲歩を

 国会の空転が続いている。最大の原因は、政府内で相次ぐ不祥事の真相解明や政治責任の明確化を求める野党の要求を拒む政府・与党のかたくなな姿勢にあると言わざるを得ない。とはいえ、不正常な状態が長引けば法案審議に支障が出て政治不信を助長する。与野党は国会の正常化へ歩み寄る必要がある。

 今国会は、過度な残業を規制する働き方改革関連法案や、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案など、国民生活に関わる重要な法案が控えている。残業規制は十分なのか、一部専門職を労働時間規制から外す制度に課題はないのか、熟議が必要だ。民法改正案は、主要国で「18歳成人」が多いことを踏まえた対応だが、明治時代の民法制定以来、「大人」の定義を変えるもので、影響は広範囲に及ぶ。

 農林水産関連法案は、卸売市場法改正案や都市農地貸借円滑法案、森林経営管理法案、土地改良法改正案など9本。これまでに成立したのは改正水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の1本だけにとどまる。政府提出法案としては、近年では2004年の10本に次ぐ多さで、与党は全法案の成立を目指す方針だ。だが、与党だけによる強行的な採決は決して許されない。

 都市農地の保全をしやすくする都市農地貸借円滑法案など、関係者が早期成立に期待を寄せる法案の一方で、卸売市場法改正案など関係者の評価が分かれる法案も少なくない。特に後者については慎重審議が必要だ。

 衆参両院の農林水産委員会は、与野党で主張が対立しても議論を重ね、双方が折り合える着地点を可能な限り探ってきた。「農政は政争の具にしない」との不文律を尊重してきたためで、懸念される課題については付帯決議などの形で委員会の意思を示すケースも多い。強行的な採決は今後の農林水産委員会の議事運営にも支障を来すだけでなく、農業関係者に不信を残す副作用を生む。

 衆院外務委員会での米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)の承認案の審議は、連休明けに持ち越された。与党側は既に十分な質疑をしているとして、早期の議決を目指す構えだが、日米間の貿易環境は大きく揺れている。生産現場の不安解消へ、ただすべき点は少なくない。

 日米首脳会談では、閣僚級の新たな貿易協議を始めることで合意した。米側は11月の米中間選挙を意識し、早期に貿易赤字是正策を求める方針だ。日本側はTPPへの復帰を働き掛けるが、トランプ大統領は2国間協定の姿勢を崩していない。今後、安全保障を絡めて農業を含む市場開放を強硬に迫ってくることが懸念される。この問題について国権の最高機関として明確な意思を示す必要がある。

 今国会は6月20日に会期末を迎える。与野党の歩み寄りが求められるが、まずは混迷の要因を作った政府・与党が正常化への打開策を示すべきだ。

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