憲法記念日 平和主義は不変の針路

 きょうの憲法記念日に、改めて憲法の価値を考える。混迷した時代だからこそ「平和主義」が輝きを増す。平和の御旗は下ろしてはならない。

 日本国憲法には、広く知られた三つの原則がある。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義である。前文と103条で組み立てられたこの最高法規は、国と国民の規範であり、日本が目指す国の形でもある。

 施行から71年。曲折はあったにしても、日本は世界に誇るこの憲法をよりどころに戦争を放棄し、誰も差別されずに平等で、自由で、幸せに一生を送れる国を目指してきた。この「人類普遍の原理」の重要性は今も失っていない。

 国民がこの憲法を手にするまでに、尊い血が流された。農村からも多くの若者が戦場に駆り出され、命を失った。二度と戦争による悲劇と苦難を繰り返さないように、「国民の権利及び義務」の前に、「戦争の放棄」を据えた。その意味をかみしめる必要がある。

 戦後生まれが人口の8割を超え、日々の生活の中で殊更に憲法を意識することも少なくなった。治安、労働、教育など国民の日常生活に関わる全てについて、憲法が為政者の勝手な行動を縛っている。われわれが安心して豊かさを享受できるのは、立憲主義に基づく社会の仕組みがあるからである。

 最近、その憲法からの「離反」が目立つ。殊に安倍政権になってから顕著だ。「憲法上許されない」とされてきた集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の海外派遣の範囲を広めた。安保法制も強行した。今度は自衛隊を「9条」に明記するという。

 十分な国民的議論がないまま、その時々の政権の考えや政党の駆け引きで、憲法改正が進んでしまうことに国民の不安が高まっている。唯一の被爆国でありながら、核兵器禁止条約に反対する政権である。熟議なき「9条改正」は、世界の国々の警戒心を高めるに違いない。

 朝鮮半島が和平に踏み出そうという状況が生まれる中、70億を超す人間が民族や宗教、イデオロギーの対立を超えて平和に共存する道こそ追い求めるべきである。平和憲法を持つ日本はその先頭に立つべきだ。

 もちろん憲法だから一字一句変えてはならないというのも現実的ではない。近年の地球温暖化などでは補強が必要だとの指摘もある。立憲主義をより深化・徹底する観点から改正を促す意見もある。

 憲法は国民のものである。その改正は、国民が納得できる中身であることが何より重要だ。国家を「私物化」したような不祥事で内閣支持率を急落させた安倍政権に、改正発議の資格はあるか疑問である。改憲の前にただすべきことがあろう。

 豊かな農業の営みや自由な経済の発展は平和があってこそだ。憲法が目指す平和国家に近づける努力こそが、為政者が取るべき道である。

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