宝の山へ改造 荒廃竹林で「稼げる」対策提唱 竹チップ+堆肥=白子タケノコ 静岡市の宮澤圭輔さん

需要のある1キロ程度の「白子タケノコ」生産を目指す宮澤さん(静岡市で)

 全国的に問題になっている荒廃竹林を、竹チップが宝の山に変えた。静岡市の宮澤圭輔さん(39)は、荒れた竹林を伐竹しチップにして堆肥と混ぜ、20~30センチに敷いて直射日光を遮ることで、えぐ味がなく身が白い高級ブランド「白子タケノコ」を生産することに成功した。太陽熱と発酵熱を利用して12月から早出しでき、高単価で取引される。荒廃竹林が日当たりの良い優良な竹林に変わり、楽々作業で高収入が上がる循環サイクルが完成、竹林対策に手応えを感じている。
 

高価格 整備に意欲 有志で友の会


 自然が好きだった宮澤さんは2016年、自然に関わる仕事がしたいと就農した。周囲の農家から「荒廃竹林に困っている」という話を度々聞き、「自然の力で何とか解決できないか考えた」という。

 タケノコの価格と出荷量を調べると、出荷が集中する4月は単価が1キロ200円程度と安いが、12月に約8000円になる「白子タケノコ」があることをつかんだ。

 京都府では赤土とわらを毎年客土し、空気を遮断して生産するブランドの「白子タケノコ」が生産されていた。ただ、客土は土が重く重労働とあって、誰もが取り組めるわけではない。宮澤さんは、伐竹で大量に出る竹チップに着目。近くの動物園で手に入る堆肥と混ぜ、竹林に敷く方法を考案した。

 有志10人で荒廃竹林を整備する里山友の会を組織。借りた30アールの竹林は、竹が密生し枯れた竹が折り重なって、人が入れないほど荒れていた。

 16年秋から、傘を差して通れるほどの間隔に竹を切った。市が貸し出す自走式チッパーで2~10ミリに粉砕、約8トンの堆肥と混ぜて敷いた。

 17年1月3日、1キロを超す「白子タケノコ」が発生した。今シーズンは、昨年12月末から今年4月中旬までに約3トン収穫した。うち約2トンが「白子タケノコ」だった。

 一般的にタケノコの収穫は、重いくわを振り下ろして掘る重労働だが、宮澤さんの竹林は表層がふわふわ。地割れを頼りに土の中のタケノコを草取り用の小鎌とのこぎりで楽に収穫できる。
 

キロ5000円にも


 市内の料理店、青果店、JA静岡市の直売所に出荷した。「白子タケノコ」の1キロ単価は平均で1月5000円、2月4000~3500円、3月2000円、4月上旬1000円。一般的なタケノコの3、4倍だ。

 出荷先の青果店、カネタツの服部洋明さん(38)は「穂先がクリーム色か白で、風味も食感も良い。今年はインターネットでも販売したところ、東京都や長野県などにも取引先が増えた」と評価する。

 宮澤さんは「荒廃竹林は宝の山。白子タケノコの需要はもっとあるので、他の地域にこの方法を広めたい。収入が上がり、循環サイクルを生み出す仕組みが大切だ」と強調する。
 

県事業を活用


 静岡県は人工林を侵食する竹林を対象に、県独自の森林づくり県民税(1人400円)を財源に、06年度から皆伐して針広混交林を整備する事業を進めている。16年度までに271ヘクタールの竹林を伐採し整備した。静岡市では06年度から自走式竹粉砕機を、団体に無料で貸し出す事業をしている。宮澤さんも利用した。17年度までに延べ148団体が延べ約3000日利用した。

 タケノコ産地の福岡県八女市では、切った竹を有償で引き取り、プラスチックの材料にするなど利用する循環サイクルの仕組みができている。竹炭にする例もあるが、切った竹が収入を生む例は珍しい。

おすすめ記事

営農の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは