卸売市場改革で本紙調査 自治体運営 5割超 1割が一部外部化検討

 政府の卸売市場改革を巡り、全国の青果物を扱う中央卸売市場の開設自治体の5割超が、今後も市場の整備や運営に主体的に携わる方針であることが日本農業新聞の調査で分かった。残りの4割は無回答など方針を決めておらず、1割弱は一部外部化を検討するだった。改革は開設者の民間参入を認めるとともに、国の関与を弱める内容だが、自治体の5割は現状維持の回答で、公設市場を必要視している。専門家は「市場の運営が継続できるよう、国の手厚い支援が欠かせない」と指摘する。(山崎崇正)

 政府が今国会に提出した卸売市場法改正案には、既存の開設自治体が中央卸売市場への関与を後退させる懸念がある。改革への対応について、青果物を扱う中央卸売市場を開設する全国の37都府県・市に対し、4月中・下旬にアンケートを実施。8割に当たる31自治体から回答を得た。

 改革後も市場の整備や運営に携わるか聞いたところ、52%に当たる16自治体が「これまでと変わらず、自治体が主導して整備や運営に携わる」と答えた。消費地ではない地方の自治体ほど、回答が多い傾向にあった。

 理由は「市民への生鮮食料品の安定供給という公共的役割がある」(金沢市)、「生鮮食料品の安定供給には、引き続き市が開設者となり、対応していくことが必要」(徳島市)などと、供給面から行政の関与を必要視する声が多かった。

 2自治体が「一部外部化を検討する」と答え、市場の活性化に民間の活用を求めるとした。無回答などが13自治体と全体の4割を占め、態度を固めていない地域も多い。

 中央卸売市場の統廃合や縮小の可能性も聞いた。65%に当たる20自治体が「統廃合や縮小を検討していない」と回答。未回答などの11自治体も含めて、統廃合や縮小をするとの声はなかった。

 卸売市場法の改正に合わせ、認定制に対応するため、19自治体が市場の業務規程を変更する方針だと回答。うち8割が法改正後、施行までに手続きを済ませるとした。取引ルールの見直し対象として、「第三者販売の禁止」「商物一致の原則」「直荷引きの禁止」を挙げる声も一部あった。
 

公設欠かせぬ 政府は支援を


 ■東京聖栄大学の藤島廣二客員教授の話

 現場は卸売市場の公設が欠かせないと認識していることが浮き彫りになった。多くの卸や仲卸、流通業者が市場で生鮮食料品を取引するのは、公設により使用料が低いからだ。市場の運営はコストがかかるだけに、行政の関与が弱まれば使用料の値上げは避けられず、取引参加者が減って安定供給にも水を差しかねない。今後も地方自治体が市場の整備や運営に継続して携われるよう、政府は財政面も含めた支援を手厚く続けるべきだ。

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