年間通じ作業員確保 労働力支援 延べ1万5000人派遣 農閑期に仕事用意 全農おおいた

全農おおいたの労働力支援事業で経験を積み、就農を目指す管さん(大分市で)

 JA全農おおいたが労働力支援事業で農家に送り込んだアルバイト作業員の数が2017年度、延べ1万5000人に達した。大分県全域で展開し、全国最大規模の取り組み。農閑期に作業員をつなぎ留めるのが課題だったが、キャベツの作型を増やし周年栽培する体制を整え、1年を通じて一定の作業量を確保することで克服。作業員から新規就農を目指す人も現れ、今後はJAの准組合員の作業参加に力を入れる。(岡部孝典)

 全農おおいたは農作業受託会社「菜果野(なかや)アグリ」(大分市)と連携し、人口が多い大分市や別府市などから、人手不足の農村部にアルバイトの作業員を送り込む。JAを通じて農家から依頼を受け、作業内容や料金、必要人員などを調整。菜果野に登録する常時100~150人程度のアルバイトからシフトを組み、1日60~80人程度が作業に当たる。

 作業員は早朝に菜果野の事務所に集合し、乗り合わせて県内各地に移動。17年度は約120戸の生産者が利用し、収穫を中心にトマトやネギ、カボスといった約30品目の作業に加え、JAの選果場なども支援した。作業従事者数は、本格稼働した15年度に延べ4410人、16年度は1万312人、17年度は1万5161人と増えている。

 当初は農閑期の冬から春先に仕事が少なく、アルバイトをつなぎ留めるのに苦労した。農繁期に必要な人員数をそろえられなかったり、技術を習得しても辞めてしまったりと、“人数と技術”の両面で課題があった。

 そこで同時並行で進めたのが、加工用キャベツを周年栽培する体制の整備だ。キャベツを生産していなかった県北部の中津市や宇佐市の農家にも呼び掛けて産地化し、県全体で標高差を生かしてリレー出荷する。収穫面積は17年産で40ヘクタール。1年を通じて一定の作業量を確保し、アルバイトのつなぎ留めに成功した。売り先としてカット野菜のプライベートブランド(PB)商品も開発した。

 構想段階の13年度から事業に携わる全農おおいたの花木正夫直販課長は「作業量を平準化することで、組合員が必要な時に必要な分だけ支援を頼める仕組みを整えられた」と話す。

 利用者の評価は高い。豊後高田市で七草9・7ヘクタール、白ネギ7・3ヘクタールなどを栽培する北崎農園の北崎昌靖専務(41)は「年々、人集めに苦労するようになった。一定の経験のある人が来てくれるので助かる」と話す。事業を利用し、年末年始の七草の収穫・調製には1日約60人、白ネギの作業に6人ほどを雇うという。

 作業員は主婦や学生、フリーター、副業として働く人などさまざま。給料が現金日払いで、勤務時間・日数の相談に柔軟に応じることも定着に結び付いている。

 作業員には就農を目指す人もいる。「アルバイトなので未経験者でも入りやすかった」と、大分市の元会社員・管祐一郎さん(35)。1年前から週5日程度働いており、「お金をもらいながら、いろいろな作物や作業を学べて理想的」と話す。

 支援事業の18年度の目標は、作業従事者数で延べ2万人。18年度からは、JAの准組合員に作業員としての参加を積極的に呼び掛ける。「広い裾野として正組合員を支える存在になってほしい」(花木課長)。

 JA全農は今後、大分県での事業を踏まえ、労働力支援の取り組みを全国的に展開していく考えだ。

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