[あんぐる] 次の350年へ歩む 大雷神社例大祭(福島県飯舘村)

10年ぶりに飯樋地区を練り歩く大雷神社例大祭の行列。手前の畑では、農業再生に向けて全村避難前に盛んだった葉タバコを試作していた(福島県飯舘村で)

 昨年3月末に、東京電力福島第1原子力発電所事故による避難指示が解除された福島県飯舘村。飯樋地区の大雷神社でこの春、豊作を願う例大祭が復活した。3、4の両日、みこしを中心とした行列が10年ぶりに地域を練り歩き、住民の笑顔があふれた。

 例大祭には350年以上の歴史があり、以前は3年ごとに開かれていた。だが2011年の原発事故による全村避難に伴い、08年を最後に途絶えていた。

 初日の朝、拝殿での神事の後、午前10時半にほら貝の音とともに法被や武者装束に身を包んだ約130人の行列が出発。氏子らが担ぐみこしが繰り出すと、沿道の見物客から歓声が上がった。

 行列は2日かけて約12キロをゆっくりと練り歩き、地区に19ある集落全てを回った。各集落では避難先から戻った住民らがさい銭を供え、振る舞い酒で出迎えた。

 自宅前で見守った元稲作農家の今野一造さん(73)は「震災前の光景が目に浮かんだ。祭りで住民同士のつながりや農業がよみがえる出発点に立てた」と目を細めた。



 避難指示の解除から1年以上たつ同村だが、まだ以前の活気は戻らない。今月1日時点の帰村者は690人で、原発事故前の村の人口6509人の1割ほどにすぎない。

 祭りの再開も、神社総代長を務める高橋英明さん(70)の「例大祭を住民が村に帰るきっかけにしたい」という思いだった。宮司や氏子らが力を合わせ、神社の手入れや拝殿の改修など、およそ2年かけて晴れの日に備えてきた。

 4日の午後、行列が神社に戻ると、氏子らが神楽や手踊りを奉納し、稲作をつかさどる同神社の「田の神様」に豊作と復興を祈った。高橋さんは「次回の例大祭では、住民も増え、さらに復興した村の景色を神様に見せたい」と話した。(木村泰之)

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