感染症SFTS各地で発症相次ぐ 高い致死率、治療法なく 春~夏マダニ要警戒 日本紅斑熱も拡大

かまれるとSFTSに感染する場合があるフタトゲチマダニ。体長3~4ミリで、血を吸うと約1センチほどになる(国立感染症研究所提供)

肌出さぬ服装を 作業後はシャワー


 マダニが媒介する感染症の発症が全国で相次いでいる。今月10日には宮崎県内で今年2人目となるマダニ媒介の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)感染での死亡者が確認された他、これまでに鹿児島、山口、広島でも感染者が出ている。春先から夏にかけてマダニの活動が活発化し、農家が畑や森林に入る機会が増え、かまれる危険性が高まる。致死率は1~3割と高いが現時点では治療法がなく、肌の露出を減らす、服はすぐ脱いでシャワーを浴びる、かまれたら医者に行くなどの対策が不可欠だ。

 宮崎県は10日、県内の60代男性がSFTSに感染して亡くなったと明らかにした。男性は発熱や下痢の症状を訴え医療機関を受診し、上旬に死亡した。体にダニにかまれた痕があり、県は山に入ったことによると推察する。同県では3月下旬にも、80代男性がSFTS感染で死亡している。

 鹿児島県では、県内で今年初の感染者となる60代男性が4月29日に発熱し、5月1、5日に病院で診断を受けた。男性の腹部にはダニにかまれた痕があり、検査でSFTSの感染が判明した。山林で草刈りをした際にかまれた可能性がある。同県健康増進課によると、昨年は県内で11人がSFTSに感染し、うち4人が死亡した。

 国立感染症研究所の調べでは、今年初めから4月29日までに広島県で1人、山口県で3人、宮崎県で2人がSFTSに感染している。日本で初めてSFTSに感染した患者が報告された2013年3月4日から18年4月25日までの感染患者数は324人で、うち61人が死亡している。
 

薬の開発急ぐ


 致死率が1~3割と高いSFTSだが、現時点で治療法はない。現在、国内の薬品メーカーが治療薬の開発を急いでいる。富士フイルムグループの富山化学工業(東京)は、SFTSに同社の抗インフルエンザ薬「アビガン」が有効である可能性が高いとして研究を進めている。多数の患者で有効性、安全性、使い方を確認するという最終段階の治験を実施中だ。薬の有効性と安全性が確認できれば厚生労働省に承認申請する。承認されればSFTSに対する日本初の承認薬となる。同社は「治験にはこれから約2年かかる」と見通す。

 3月から11月に活動するマダニ。対策は、山などに入るときは肌を露出しない、かまれたら自分で取り除かず、医療機関に行くなどが基本となる。鹿児島県健康増進課は「農作業時にはシャツの裾をズボンに入れ、シャツの袖口を軍手の中に入れるなどで肌を露出しないこと」と注意を呼び掛ける。

 宇都宮大学雑草と里山の科学教育研究センターの竹田努産学官連携研究員は「体に付いたマダニはすぐにはかまない」と習性を説明する。マダニは半日以上、人間の体の刺しやすい部位を求めて動き回るため「畑や山林で作業した服のままで家に入ったり眠ったりしないこと。すぐに作業着を脱いで、まめにシャワーを浴びれば感染を予防できる」(同研究員)と勧める。
 

<メモ> 


 マダニは日本に47種生息し、感染症を媒介する。マダニが媒介する感染症にはSFTSの他、日本紅斑熱などがある。SFTSに感染すると6日から2週間の潜伏期間を経て発熱、おう吐、下痢、出血などの症状が出る。重症の場合は多臓器不全にも陥る。日本紅斑熱では、発熱や発疹が現れる。高知県では今年4月に80代女性が同感染症にかかり、入院して3日後に死亡した。同研究所は今年4月15日までに長野、静岡、京都、徳島、香川の1府4県で同感染症にかかった人を5人確認している。17年の全感染者数は前年比60人増の337人だった。

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