田植え後の稲無残 2年連続大雨襲う 農家の落胆大きく 秋田市

苗が見えないほど水に漬かり、泥の付着による苗の生育を心配する農家

苗の泥を洗い落とす渡辺さん(共に秋田市で)

 18日から19日にかけて秋田県を襲った大雨は、田植え作業真っただ中の農家を直撃した。降り始めからの24時間雨量が156ミリと観測史上最高を記録した秋田市では河川が氾濫し、水田が冠水した。水が引いた田んぼには、石や木の枝が散乱し、泥が付着した苗の生育に心配の声が上がる。米依存脱却から県が推進するエダマメも冠水し、根腐れの懸念も出ている。同県では、昨年も夏の大雨で川が氾濫した。2年連続の被害に農家の落胆は大きい。(塩崎恵)
 

生育心配…代わりの苗もない


 秋田市上新城地区では、18日午後1時40分に新城川が氾濫危険水位に達した。同地区では、一部の田んぼが冠水した。田植え直後だった水田では、苗の間に直径20センチほどの石や木の枝が散らばっていた。

 同地区で水稲3ヘクタールを生産する渡辺豊美さん(76)も、田植え真っただ中で被害に遭い20日は、水が引いた田んぼから懸命に木の枝やビニールを取り除いた。育苗ハウスも浸水。苗が泥をかぶり、田植え前に水で泥を落とす作業に追われた。

 渡辺さんは「昨年も夏に豪雨で水田が冠水し、収量が減った。今年こそはと臨んだが、また被害に遭い、気持ちが落ち込む」と、肩を落とす。

 同市雄和地区では19日午前6時に雄物川が氾濫し、一部水田が冠水した。「田植えの時期の被害は経験がない。葉に泥が付着して、生育にどう影響するか分からない」と気をもむのは、水稲4ヘクタールを生産する同地区の60代の農家だ。農家は、15日に田植えしたばかりの2・2ヘクタールが冠水した。水が引いた田んぼの畦畔(けいはん)の草は泥で茶色くなり、20日も苗は水に漬かったままだった。

 昨年の豪雨でも2度冠水し、収量は10アール当たりわずか2俵(1俵60キロ)。収穫した米は等外で収入はなかった。「苗がないので田植えをやり直すこともできない。今年も諦めるしかないのか」と、途方に暮れる。

 秋田県が米依存からの脱却を目指し、年間出荷量日本一を目指すエダマメでも被害が出ている。

 秋田市下新城地区で水田転作でエダマメ3ヘクタールを生産する30代の農家は、5月上旬に種まきした圃場(ほじょう)約1ヘクタールが、冠水した。保温シートの上には泥がたまり、エダマメも、土をかぶった。「根がやられているかも。ほぼ駄目だと思う。念のために病気対策で殺菌剤をまく」と、シートを剥がす作業に汗を流した。

 東北地方の日本海側や北陸地方では18、19日にかけて、低気圧や前線の影響で記録的な大雨が降った。秋田市では18日午後10時までの24時間雨量が156ミリと、観測史上最高を記録した。
 

林地崩壊など 農林被害1億7600万円


 秋田県は21日、18日からの大雨による農林関係の被害額が、21日午後3時現在で1億7600万円に上ると発表した。被害額が確定されていない部分が多く、被害額はさらに大きくなる見込みだ。

 同県は秋田市や大館市などで林地の崩壊や林道の路肩の崩壊が見つかり、これらの被害額が1億7600万円となった。

 秋田市など県内4017ヘクタールの圃場で冠水や浸水があった。また「水田畦畔の崩落など」が38カ所、「ため池の損壊など」が4カ所など、各地で農業被害が確認されており、今後も被害額は増える見通し。

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは