農業の外国人就業者 常勤雇用 9・5%に 15年2・1万人 “依存度”は微減 早稲田大など研究チーム

 常勤で周年雇用する農業経営体の雇用人数のうち、外国人就業者数の割合が2015年時点で9・5%に上ることが、農業センサスや国勢調査を分析する研究者らの調べで分かった。外国人就業者数の大半は技能実習生とみられるが、重要な労働力となっている。ただ、5年前の11・5%と比べると割合が低下し、“依存度”は微減。茨城県や長野県など技能実習生への比率が高かった地域の割合が低下し、日本人の常勤雇用数が増加している実態も分かった。

 農業に従事する外国人就業者数を国勢調査では、15年が2万1000人と10年に比べ3000人増加。農業センサスで年間7カ月以上の契約で働く日本人の常勤雇用数を調べると15年は22万人と、10年比で6万6000人増えた。外国人就業者数を上回るペースで増えている。

 外国人就業者の常勤雇用人数が多い地域をみると、茨城県は10年が48・9%とおよそ半分を占めていたが、15年では34・0%に低下。長野県も10年の37・2%から15年18・8%と大幅に減っていた。いずれの地域も日本人の常勤雇用数が大きく増えたことが背景にある。都市の若者が、農村での暮らしを目指し、移住するといった「田園回帰」の動きが強まっていることも影響しているとみられる。

 一方で、鹿児島県や宮崎県では、全体に占める外国人就業者の割合は増えた。鹿児島県は15年が7・1%と10年比で1・2ポイント増、宮崎県は15年が4・6%と前年比0・8ポイント増となっている。

 政府は外国人技能実習生数の統計はとっているものの、農業経営体に占める割合が示されたのは今回の調査が初めて。調査は「日本の労働市場開放の現状と課題―農業における外国人技能実習生の重み」などを執筆した早稲田大学や東京大学の研究チームが行った。

 農業センサスや国勢調査に回答する雇用主の中には、農業実習生を雇用者に入れない人もいる。このため両統計とも外国人の数字が少なめに出ている恐れがあり、研究チームは「傾向を見ることに使いたい」と説明する。

 調査した早稲田大学の堀口健治名誉教授は「経営の規模拡大が進む中で外国人技能実習生だけに頼って、その数を増やすことは現実的ではない。継続的に外国人技能実習生を受け入れながら、日本人の雇用者とともに労働環境を向上させていくことが欠かせなくなっている」と指摘する。 
 
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