[狙う日本市場 豪州の戦略 2] 米(下) 低価格・品質向上 専用「うららか」攻勢

日本市場に売り込む短粒種米(オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニーで)

 オーストラリア最大の都市シドニー。そのオフィス街に、米輸出最大手のサンライス社の販売促進拠点がある。ロビーに入ると、中粒種や長粒種、「コシヒカリ」系の短粒種といった米商品が並ぶ。同社のリー・ヴァイアル取締役は「日本市場は、取引価格が高いことが魅力。品質面で、他の国に負けない評価を得られるだろう」と自信を示す。

 米を食べる習慣があまりない同国は、年間に生産される米80万トンの8割を海外約50カ国に輸出する。同社はその輸出戦略の先頭に立つ。

 日本への輸出で注力するのが、「コシヒカリ」「じょうでき」という日本の短粒種同士を掛け合わせた多収性の新品種「うららか」だ。日本人好みの粘りや香りといった食味を追求して10年以上かけて同社が開発。2017年産から日本での販売を開始。同国産米の17年産の日本輸出は3万トンと16年産に比べ4倍に拡大した。その攻勢に、「うららか」の存在も大きかった。

 日本の産地関係者は「日本産米に比べ食味は見劣りする。だが、以前ほどの差はなくなった」(東日本のJA)と警戒する。安さを強みに、既に大手スーパーの店頭に並ぶ。「国内で低価格帯の米が不足する中、消費者が求める味や価格を満たす米として選んだ」(大手スーパー)。店頭には1キロ295円(税別)と、一般的な国産ブレンド米より1割安く並ぶ。3月からの販売で順調に売れているという。

 サンライスは「スーパーと外食、両方に商機がある」(ヴァイアル氏)と話す。その中でも一度の注文量が多く、長期契約に結び付く外食への定着を狙う。同社が「うららか」に先行して売り込むコシ系品種「オーパス」は、日本の大手外食チェーンが今年から採用し、国産米とブレンドして提供するなど、販売拡大へ、地ならしを進めている。

 同国米生産者協会のジェレミー・モートン会長は「日本市場が求める米を作る」と、日本に合った品種の改良や生産性の向上に取り組む姿勢だ。

 米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)で、日本はオーストラリア産米に最大8400トンの特別枠を設けた。モートン会長は「特別枠は非常に少ない。輸出量がより多くなるようアクセス(参入)の拡大を望む」と力を込める。日本の既存の売買同時契約(SBS)で、10万トンの輸入数量の中で米国産からのシェア奪取も並行して目論む。

<メモ>

 輸入米を扱うSBSの17年度取引はオーストラリア産米が前年度比の4倍強の3万トンとなり、日本での需要が急増している。TPP11ではSBSによる国家貿易の仕組みを維持した上で、オーストラリア向けに最大8400トンの特別輸入枠を設けた。日本政府はTPP11による国産米の生産量や生産額には影響がないと試算している。

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