守り神 フクロウ 営巣着々 リンゴ園 ネズミ食害防げ 青森県弘前市

巣箱の中で餌を待つフクロウのひな(青森県弘前市で)

 青森県弘前市のリンゴ農家らが、木をネズミの食害から守ろうと、フクロウの巣箱を園地に設置する取り組みが効果を呼んでいる。フクロウはリンゴの木をかじるハタネズミの天敵。今年は昨年の秋にネズミが少なく、2月の寒さで繁殖に不利と思われる条件だったが、昨年より多く営巣した。営巣した園地では被害が減っており、農家は「フクロウのおかげ」と喜ぶ。
 

木枯れず手応え 他産地も関心高く 下湯口地区


 弘前市下湯口地区のリンゴ園に高さ70センチ、幅・奥行き36センチの巣箱が設置してある。巣箱の中から、産毛がまだ残る2羽のフクロウのひながこちらを見つめていた。

 同地区の約20人のリンゴ農家らで組織する「下湯口ふくろうの会」は4年前から弘前大学と連携し、リンゴ園でのフクロウの営巣環境を整えている。フクロウはネズミを1日に2匹、成長期は3匹食べ、リンゴの木をかじるネズミを退治してくれる。

 今年は昨年同様63個の巣箱を設置。巣箱を設置する条件も変えなかったが、昨年より1カ所多い6カ所で営巣。全てを確認していないためかえったひなの数は分からないが、昨年より産卵数は多かったとみられる。

 弘前大学で研究を進める岩手大学大学院連合農学研究科博士課程のムラノ千恵さん(40)は「今年2月の寒さや、昨秋のネズミの少なさから繁殖に不利かと思ったが、昨年より営巣数が多かった。近くの森に生息する小鳥やネズミを食べていたのかもしれない」と推察する。

 ハタネズミによる食害が増えた背景には近年、労力軽減のために樹形のわい化が進んだことや、収量増加を目的に樹齢の高い木を伐採する傾向にあることが考えられる。フクロウが営巣する穴があるリンゴの木が減少。増加したハタネズミに木をかじられ、枯死する木も増えた。

 5ヘクタールのリンゴ園を経営する清野裕孝さん(56)は以前ハタネズミに木をかじられ、1年で5本ほどの木が枯死した経験を持つ。しかし、昨年からフクロウが2年連続で営巣。今年は2羽のひながかえった。今のところ枯死したリンゴの木はないという。清野さんは「ネズミの被害は少なくなった。フクロウのおかげ」と話す。

 同会の取り組みは他産地からも注目され、秋田県のJA関係者が視察に訪れた他、会員が県内に指導に出向くことも増えているという。ムラノさんは今後、ネズミの個体数の変動調査やキツネなどの他の動物を使った調査など効果的な防除対策を研究するとしている。
 

ひな4羽すくすく 鬼沢、楢木地区


 青森県弘前市の鬼沢、楢木地区でも2015年秋から、ハタネズミによるリンゴ樹への食害を減らす目的で、園地にフクロウを呼び込む取り組みが続けられている。

 同地区農家5人で組織する「モホ組」の千葉悟代表の園地では、昨年12月から今年1月にかけて手作りの木製巣箱をリンゴ樹の上に設置したところ、フクロウがつがいで営巣し、3月に産卵。4月には4羽のひながかえった。5月中旬には巣立ち、樹上に並ぶフクロウの姿が見られた。

 千葉代表は「今後も継続的に巣箱を設置して、フクロウの生息数を増やすことができたらいい」と話した。

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