商品名やデザイン 競ってすてきに 手軽、安価 ネット外注 クラウドソーシング

クラウドソーシングでデザインを募集したティーバッグをPRする加藤組合長(中)ら(茨城県城里町で)

 インターネットで不特定多数の人に仕事を依頼する「クラウドソーシング」の利用が、農家の間で広がっている。商品のロゴやデザイン、名称やキャッチコピーの考案、動画やホームページの制作などを登録されたフリーのデザイナーに依頼でき、費用が手頃なのが特徴。一つの仕事をデザイナーが競い合う仕組みもあり、商品のパッケージや段ボール箱、ロゴがおしゃれに仕上がると好評だ。(三浦潤一)
 

若者や女性向け包装 茨城県城里町・茶


 茨城県城里町の古内茶生産組合組合長の加藤隆さん(69)は、2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故後に落ち込んだ売り上げを取り戻そうと昨年、ティーバッグを開発した。

 提案したのは地域おこし協力隊員の藤原綸子さん(27)と瀬川礼江さん(25)。急須で茶を飲まない若者やインバウンド(訪日外国人)にも売り込めるよう、おしゃれなパッケージにしようと考えた。デザインを、08年に国内で初めてサービス提供を始めた「ランサーズ」(東京都渋谷区)に依頼した。

 ホームページで商品の特徴やデザインのイメージ、必ず記載してほしい事項などを明記し、3種のデザインを報酬額3万2400円で募集した。37件の応募があり、その中から、おしゃれで地元の観光地などを盛り込んだデザインを選んだ。

 地元の道の駅などで女性や若い世代にも好評だ。加藤組合長は「町のことをよく調べ、お茶だけでなく町に興味を持ってもらえるデザインを考えてもらった。これまでのイメージとは違うポップな画風で、なじみのない人にも手にとってほしい」と期待する。3万円程度で「若者にPRできるおしゃれなパッケージができた」と満足げだ。
 

キャッチコピー 「天使のハート」 愛知・JA豊橋・イチゴ


 愛知県のJA豊橋いちご部会は12年に同サイトを利用し、新たなキャッチコピー「豊橋産まれ、深紅の『いちご』は“天使のハート”」を決めた。①強烈にインパクトがある②女性客が好む③農家の愛情が感じられる④ブランドイメージがつく⑤温かい感じがする──とのコンセプトで1万円で募集した。現在もパックのラップにハートのデザインを描いたものや、店頭に並べる販促資材に「天使のハート」との言葉を活用。実需者から「見た目がかわいらしい」と評価が高く定着しているという。

 地方ではデザイナーなどに頼むと、料金が高かったり時間がかかったりする場合が多いが、この仕組みを使うと、どこにいても全国のデザイナーに安価で仕事を依頼できる。

 ランサーズは現在、140種以上の仕事を受注する。これまでの取扱件数は189万件超。農業関連では、各地の農家からミカン箱やロゴ、ゆるキャラ、ホームページなどの仕事が相次いでいるという。

 商品のデザインを依頼したい場合はホームページ上で会員登録をし、趣旨や報酬額を決めて募集する。登録するフリーのデザイナーが応募した複数の作品から最も気に入ったものを選び、あらかじめ決めた報酬額をランサーズを通じて支払う。著作権は依頼者に帰属する。ランサーズ広報の伊藤麻美さんは「利用者の多くは中小企業。地方創生事業にも取り組んでおり、デザイン会社が少ない地方での活用は今後、どんどん広がっていくだろう」と見込む。
 

<ことば> クラウドソーシング


 クラウド(群衆)とソーシング(業務委託)を組み合わせた造語。仕事を頼みたい個人や企業が、仕事がほしいフリーランスの人々に仕事を委託できる仕組み。利点として①気軽に安価に利用できる②いつでも依頼できる③多くのフリーランスが競い合うため、特定の業者に依頼するより新しいアイデアも生まれやすい──などがある。 

 

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