森田正光さん(気象予報士) 農家の手間がおいしさに マルシェで旬の味求め

森田正光さん

 古屋の出身ということもありまして、最初は日本気象協会の東海本部に入ったんです。その後、1974年に東京本部に移りました。

 当時はヨガがはやっていて、僕も新宿のヨガ道場に通いだしたんです。そこへ公認会計士だったか税理士だったかのご夫妻が来てまして、仲良くなったんです。ある日、ランチに誘ってもらって。「何がいいですか」と聞かれたから「何でもいいです」と答えたら、高級焼き肉店に連れていかれました。

 実は僕、肉が好きじゃなかったんですよ。4人兄弟の3番目なんですが、肉料理が出ると兄弟が競って僕の分まで食べていたくらいで。困ったなあと思いながら、カルビというものを生まれて初めて食べたら、「えっ、肉ってこんなにおいしいの!?」と(笑)。今まで自分が食べていたのは何だったんだ。そう思ったことをよく覚えています。

 それ以来、焼き肉が好きになりました。また、他の肉料理にもいろいろと挑戦してみました。ハンバーグって、店によって味が全然違うんですよね。同じことはとんかつにも言えます。

 狭かった食が、急に広がったという感じですかね。今でも肉を食べるたびに、新宿でのランチを思い出します。

 僕は仕事で日本全国伺わせていただいています。それで感じるのが、日本は食について何と進んでいるのか、ということ。立派ですよね。

 どこの地域でも素晴らしいお米を食べられます。あまりにおいしいので、食べ過ぎに気を付けないといけません。野菜も果物も魚も、それぞれの土地で取れたものはおいしい!

 よく日本の野菜や果物は季節感がなくなったというじゃないですか。僕はそんなことはないと思ってるんですよね。確かに春のものが冬のうちから出るようになるなど、前倒しになっています。でも本当においしい時期というのは、変わっていません。なるべく旬のものを食べるように心掛けています。

 近は東京都内で、マルシェというんですかね、公共の場で産直野菜・果物がよく販売されています。この間も東京駅の構内でやっていました。そういうのを見つけると必ず顔を出して、旬のものを買わずにいられない性分なんです(笑)。

 僕は時々、近い将来、仕事をリタイアしてからどこに住もうかということをシミュレーションしてみることがあります。

 食べ物を考えると、北陸が一番だと思っています。特に冬は何を食べてもおいしい。でも大雪が降るので、年を取ってからの移住は難しいだろうなと感じています。

 しい気候に連動する形で、おいしい食材ができるんでしょうかね。リスクとリターンの関係のような気がします。

 同じことが、僕の趣味である将棋にもいえます。将棋の駒は御蔵島(伊豆諸島)のツゲでないと駄目だといわれます。台風の多い地域で、その風雨に耐えたからいい木になるのでしょう。盤は宮崎の日向榧(ひゅうががや)が最高とされています。こちらは三重県尾鷲と並んで日本で一番雨が多い地域です。厳しい環境で育ったからこそ、良いものができるんだと思うんです。

 農作物の場合も、荒々しい気象の中で人間が手を掛けて補って作るからこそ、おいしいものができるのでしょう。

 農業はお天気が重要ですから、僕の仕事との親和性が高いと思います。農家の方々のご苦労は大変なものがあるでしょう。それだけに感謝しながらおいしく大切に食べています。(聞き手・写真 菊地武顕)

<プロフィル>  もりた・まさみつ 

 
1950年、愛知県出身。日本気象協会を経て、92年に日本初のフリーのお天気キャスターに。同年、民間の気象会社ウェザーマップを立ち上げた。現在は「Nスタ」(TBS)などに出演の他、環境省が結成した「地球いきもの応援団」の一員として環境問題にも取り組んでいる。 

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