若者 女性 狩猟の担い手に 輪広げ魅力を発信

参加者に鹿の解体を指導する大前さん(右から2人目)(兵庫県姫路市で)

 狩猟者の減少や高齢化が深刻な課題となる中、狩猟免許を取得する女性や若者が増加しており、狩猟者人口の減少に歯止めがかかってきた。大日本猟友会の会員数は2017年度に10万5700人を超え、前年度から500人以上増え、会員増はここ40年で2回目となる。若者らで青年部を立ち上げるなど、仲間づくりや狩猟ビジネスに挑戦。市民へ、狩猟の魅力発信にも貢献する。(猪塚麻紀子、吉本理子)
 

生活圏守りたい 三重県大台町 瀬古愛弥さん


 三重県大台町の瀬古愛弥さん(28)は、父や知人とグループを組んで鹿、イノシシといった野生の獣を撃つ女性ハンターだ。解体した枝肉を販売する他、管理人を務めるキャンプ場でもジビエ(野生鳥獣の肉)を骨付きや丸焼きで提供する。

 狩猟を始めたきっかけは、地域住民の生活圏に獣が現れるようになったことだ。電車や乗用車と、増加する鹿との衝突事故が頻発していた。夜になると民家の庭先にも現れ、家庭菜園もままならない状況だった。「誰かが手を打たないと、いつか命を落とす人が出る」──。21歳になる年に第一種銃猟免許を取得し、猟銃所持の許可を受けて、狩猟を始めた。

 有害鳥獣駆除だけでも、イノシシと鹿を年間合わせ、約150頭に上る。「まだまだ被害はあるが、始めた頃に比べれば改善された」と実感するという。冬場は狩猟、夏場はキャンプ場を運営し、周年で解体した枝肉を販売して生計を立てている。

 注文があれば、キャンプ場のバーベキューでも鹿の骨付き肉やイノシシの丸焼きを提供する。狩猟や解体処理施設の見学会も開き、一般の人が狩猟の現場に触れ、獣害の現状を知ってもらう機会をつくっている。狩猟に興味を持つ人は増えているが「銃で狙いを定めたり地形を覚えたり、狩りには慣れが必要。経験が浅いと危険も多く伴い、参加のハードルは高い」と話す。

 現在の目標は、多くの人にジビエを知ってもらうこと。「獣肉が売れることが猟師の励みにつながる。現場に入らなくても、応援できることを知ってほしい」と話す。
 

青年部立ち上げ 兵庫県猟友会姫路支部


 兵庫県猟友会姫路支部は、40代までの部員による青年部を立ち上げ、若手同士で活発に交流する。部員数は約50人。仲間づくりや消費者向けの情報発信などに力を入れる。

 青年部の大前有希さん(30)は「一人でも多く狩猟に興味を持ってもらって、若い仲間を増やしたい」と明るい。

 大前さんらは、猟友会員が捕獲した鹿の解体体験やジビエ料理のワークショップなど、地元のアウトドアイベントに参加し、狩猟や鳥獣害被害に携わる猟友会の役割を伝える。

 参加者に鹿の解体を指導しながら、ジビエや狩猟の魅力を伝える。青年部員が狩猟免許を取得したきっかけは「食べ物に関わる仕事をしていて、捕って食べることに関心があった」「魚釣りから狩猟に興味を持った」など、さまざまだ。

 青年部員は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡を取り合って情報交換したり集まってコミュニケーションをとったりと、同世代という気安さがある。

 青年部が上の世代との調整役を果たして先輩狩猟者の経験に学びながら、同年代の横のつながりを狩猟参加に結び付けている。橋本勝弘さん(45)は「昔は徒弟制度で猟を行っていた。若い人が狩猟の世界に入っていくのはハードルが高いが、今は若手のグループがその手助けをしている」と、青年部の意義を実感している。

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