イメージ変えて 「子ども食堂=貧しい」?

 家庭の事情で、1人で食事を取る子どもに低額や無償で食事を提供する「子ども食堂」が、全国各地で急速に広がる一方、「子ども食堂=貧困の子どもが行く所」とのイメージや、運営上の課題で休止に追い込まれるケースが出ている。子ども食堂の数はまだ足りておらず、専門家からは「見学してもらうなどしてイメージを変え、地域の交流拠点となるよう支援が必要だ」との声が上がっている。(三浦潤一)
 

親の“誤解”が壁 群馬県太田市


 昨年度、行政として初めて直営の子ども食堂を設置した群馬県太田市は、手応えと同時に課題を実感している。市内15カ所の児童館で隔週で開催。カレーライスを100円で提供したが、一部で利用が広がらなかった食堂もあったためだ。場所によって年間利用人数に3倍以上の開きがあり、100人に満たない所もあった。

 市児童施設課の担当者は「子ども食堂というと、貧しくて食べられない子どもが来るというイメージがあり、気軽に利用しにくい保護者も多かった」と明かす。市は、市内全域に食堂を設けて運営することでイメージを変えようとしたが、払拭(ふっしょく)までには至らなかった。

 アンケートから、保護者に送迎されてくる子どもが多かったため、下期から保護者の利用も可能にするなど利用を促したが、大きくは伸びなかった。ある程度定着はしてきたものの、15カ所で年間計1556人の子どもと保護者の利用にとどまった。ただ、子ども食堂は「共食の場の提供に必要」(同市)として、今年度、既に直営をやめ、今後は民間支援に切り替える。市が直営で運営するフードバンクから食料も支援していく考えだ。
 

地域交流拠点に いばらきコープ


 「昨年の7月以降は毎回50人以上の子どもたちが利用した」と手応えをつかむのが、茨城県のいばらきコープだ。

 16年から下妻市をはじめ県内4カ所で月1回、子どもに共食の場を提供する「ほぺたん食堂」を運営する。旬の野菜を使った料理が食べられ、親も来店できることで親同士の情報交換の場にもなっており、好評だ。組合員が主体となって地元の高校生も手伝いに加わり、食材はコープ商品の他、JA常総ひかりやJA北つくば、JA土浦、JA全農いばらきが支援する。

 同コープで食育を担当する総合企画室の棚谷靖之さんは、地域に定着する鍵について「組合員主体で多くの団体や人を巻き込み、地域の交流拠点になっている。保険加入や衛生研修で安全・安心にも気を使っている」と分析する。万一のけがなども組合員保険を適用。保健所から講師を招いて研修を行うなど衛生面に特に注意を払う。今後もJAと協力しながら、活動を広げていきたい考えだ。
 

保険加入で安心確保を

 

■子ども食堂に詳しい法政大学の湯浅誠教授の話


 子どもが集まらなかったり、支援が集まらなかったりして、食堂の運営が休止に追い込まれるケースは多い。

 幅広く地域に開放することが望ましく、人と人とが触れ合う温かい場所をつくり、交流の中で子どもの問題を発見してあげることが大切だ。マイナスのイメージを払拭するには、保険加入で安全・安心を確保し、自治体だけでなく地域との連携を強める必要がある。

 厚生労働省の調査(2015年)では、17歳以下の子どもの貧困率は13.9%で、子どもの7人に1人が貧困世帯で暮らしている。全国の子ども食堂運営者らでつくる「こども食堂安心・安全向上委員会」の調査によると、貧困や地域のつながりの希薄化を受け、子ども食堂の数は現在、16年の7倍の2286カ所に増えた。 
 

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