[営農+1] 「シャインマスカット」 成園化早め品質向上へ しのぎ削る生産者

大塚さんが2017年に挿し木した「シャインマスカット」。40房の果実が付いた(長野県小布施町で)

房の大きさを確認する鎭目部会長(右)ら(山梨県山梨市で)

 ブドウの消費をけん引する「シャインマスカット」の生産拡大が続く。全国果実生産出荷安定協議会によると、2018年産露地ブドウの出荷計画(6~11月)は、前年比2%増の4万4079トン。品種別では「シャインマスカット」が前年比14%増の7876トンで、ハウス栽培なども含めると、さらに生産量は大きく増える見込み。大きな需要を期待し、早期成園化や品質の向上、安定化の取り組みが活発化している。
 

定植1年で40房結実 長野の農家


 長野県小布施町の大塚博美さん(77)は、昨年挿し木した1年生の「シャインマスカット」の木に40房の実をつけることに成功した。初収穫までに早くて3年かかる育成を、電照や加温などで生育環境を制御し、大幅な短縮を実現。促成栽培技術で未収益期間がなく栽培ができるという。

 育成した「シャインマスカット」の苗木は、17年1月に鉢植えで挿し木した後、加温で夜温を20度に管理、1日16時間電照して、2月に接ぎ木した。台木と穂木は、冷蔵貯蔵して休眠打破したものを使った。根の成長に合わせて大きい鉢に替えながら管理し、17年6月にハウスに定植した。

 副梢(ふくしょう)を100回ほど 摘芯しながら一文字仕立てで栽培。落葉する11月には総主枝長が15メートルほど伸びた。

 18年6月上旬に主幹の直径が3センチほどながら40房の実を付けた。大塚さんは「来年は200房になり、成木並みになる」と見込む。

 大塚さんによると、ブドウは1年間のうち、春から夏に木が成長し、秋に養分を根や実に蓄え、晩秋から翌春までは落葉し休眠する。通常は1年のうち3カ月ほどしかない春から夏の成長期を、環境制御で9カ月間に延長。1年で3年分の成長を促すと大塚さん。「果樹の持つ性質を利用し、人間の都合の良い苗木にする」と話す。

 今回の苗木の育成前に取り組んだ16年に挿し木した苗木では、17年に10房を収穫。18年産は、既に加温ハウスで収穫が始まり、60房の収穫を見込む。今回の苗木は、この成果を基に挿し木や定植のタイミングを工夫し、1年目に40房まで収穫量をアップさせた。

 今回の苗木の促成栽培技術は「落葉果樹なら使える、世界規格になる技術。農家の経営に貢献できる」と大塚さん。この技術で作った「シャインマスカット」苗木は来春から販売する計画だ。
 

「1新梢1房」を徹底 山梨の部会


 山梨県のJAフルーツ山梨露地ぶどう部会は、今年から「シャインマスカット」を栽培する約2000カ所の全圃場(ほじょう)の調査を始めた。樹勢など6項目を調べ、品質の高い果実の出荷につなげ、他産地に負けないブランドづくりで、日本一の産地を目指す。

 山梨ブロックの同部会役員は25日、JA営農指導員らと山梨支所管内の圃場を巡回。「シャインマスカット」の栽培方針にある「1新梢1房」が徹底できているか確認した。樹勢の強弱や摘房(収量調整)の状況など6項目を調べ、圃場ごとに調査結果を記録した。

 課題のあった圃場の生産者には改善を促す通知を送り、再度巡回する時までに対応を求める。

 同部会の鎭目正義部会長は「徹底した栽培管理で、品質を向上させ、輸出を強化して生産者所得の向上とブランド化につなげたい」と意気込みを語る。JAの中澤昭組合長も「高品質で消費者が喜ぶ産地として確立させたい」と効果を期待する。

 JA管内の「シャインマスカット」は8月上旬から9月下旬まで、京浜市場を中心に全国各地へ約1542トンを出荷する。(山梨・フルーツ山梨)

 

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