TPP11熟議なき成立 早ければ年内発効 日米協議 対応毅然と

TPP11関連法案を可決した参院本会議(29日、国会で)

 米国を除く11カ国が署名した環太平洋連携協定の新協定(TPP11)の関連法が29日の参院本会議で可決、成立した。発効に必要な日本の国内手続きはほぼ完了した。今国会では、集中審議する特別委員会は設置せず、成立を急いだ。議論不足を指摘する声も上がる。早ければ年内にも協定が発効し、日本は農産物のかつてない市場開放に踏み出す。米国との新たな貿易協議(FFR)では、2国間の自由貿易協定(FTA)やTPPを上回る譲歩を迫られる恐れがあり、日本の通商戦略は正念場を迎える。

 自民、公明両与党と日本維新の会などの賛成多数で可決した。保護主義的な傾向を強めるトランプ米政権に対し、安倍政権は「自由貿易の旗手」を掲げ、TPP11の早期発効にこだわる。

 政府は「TPPが日米両国にとって最善」(安倍晋三首相)として米国に復帰を促す方針。TPP11が発効すれば、米国の農産物は対日輸出で不利になるため、TPP復帰を求める米国内の農業団体が米政権への圧力を強める可能性はある。

 だが、トランプ米大統領は2国間交渉にこだわっており、復帰の見通しは立たない。今後、日米FTA交渉やTPPを超える市場開放を求めてくるのは必至だ。日本の経済界からも「日米FTAを容認する声が出始めている」(関係者)。

 参院内閣委員会は28日、TPPを上回る米国からの要求は「断固拒絶」するよう求める付帯決議を採択した。付帯決議の順守が求められる。

 トランプ政権は鉄鋼などの輸入制限措置の発動に加え、自動車の輸入制限もちらつかせて、日本に譲歩を迫ってくる可能性がある。だが、こうしたなりふり構わぬ手法は世界貿易機関(WTO)のルール違反が濃厚だ。政府は決議に従い、米国の圧力を毅然(きぜん)としてはねのける必要がある。

 TPP11は、6カ国以上が国内手続きを完了し寄託国のニュージーランドに通知してから60日後に発効する。日本の国内手続きには、協定の国会承認と関連法の成立が必要だが、協定は13日に承認されていた。関連法成立を受け、政府は速やかに政省令を改正し、7月上旬にも国内手続きの完了を通知する方針だ。

 国内手続きを終えれば、メキシコに次いで2番目となる。発効には残り4カ国が国内手続きを終える必要があるが、オーストラリアやニュージーランドなどは議会で審議中だ。
 

全中会長 国内対策万全に


 TPP11関連法の成立を受け、JA全中の中家徹会長は29日、日本農業新聞の取材に対し、「農業者の不安を払拭(ふっしょく)するため、国内農業に対する万全の対策を講ずるよう、引き続き政府に働き掛けを行っていく」とコメントした。協定発効による関税の削減・撤廃について「農産物の輸入動向や生産現場への影響を注視していく」との考えも示した。

 一方、7月にも始まるFFRについては、安倍晋三首相が「農家との約束がある。これ以上の譲歩はない」と述べたことを指摘した上で、「わが国の農業者の懸念を踏まえて対応するよう強く望む」と求めた。

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