西日本豪雨禍 国挙げ 復旧・復興急げ

 人知を超えた災害である。政府は、被災者の救済と災害復旧に全力を挙げるべきだ。安倍晋三首相が欧州・中東訪問を取りやめたのは当然のことだ。国会も審議を一時休止してでも、被害対応を最優先すべきである。

 「西日本豪雨」は平成に入って犠牲者が最多の風水害となった。政府は、非常災害対策本部会合を開き、被災者の生活再建を支援する省庁横断チームを設置し、被災自治体への財政支援に取り組む。激甚災害指定の検討も急ぐ。不明者の安否確認と被災者の一刻も早い救済を望む。

 農業被害も広がっている。稲の生育が比較的順調だった水田が土砂に埋まったり、果樹園やハウスが流されたりした。被害調査を迅速に行うとともに、被災農家の生活や営農再開に向けた支援を万全にする必要がある。対策本部を設置したJAグループの支援も期待される。

 数十年に一度と言われる「大雨特別警報」の発表が相次ぎ、自然の脅威の前に立ちすくむ思いである。あっという間に水位が上がって家屋や車をのみ込む光景にぼうぜんとする。これまでの経験則による対策ではもはや通用しない。災害はどこでも起こり得る。日頃から防災意識を高めておく必要がある。いつもはきれいな小川も、一夜にして濁流に変わる。静かな裏山も、土砂崩れで家屋をのみ込む。もう一度身の回りを点検し、想定を超えた災害に備えよう。

 河川の氾濫による災害が目立つが、昨年の九州北部豪雨による中小河川の氾濫を踏まえ、国土交通省が全国の緊急点検を行い、堤防の整備に取り組みだした矢先だった。被害が大きかった広島県など中国四国にも対策が必要な河川が多かった。危険性を認識しながら対応が後手に回ったのは、極めて残念である。

 今回は局所的ではなく広範に及んでおり、水害へのもろさを露呈した。政府は特別会計を含めた予算全体を見直し、全国の河川の整備と復旧に割くべきである。以前から老朽化が進み危険性が指摘されている「ため池」の整備も急ぐ必要がある。

 なぜ、ここまで大雨が振り続いたのか。気象予報士の福田寛之氏によると、二つの要因がある。一つは日本の南東にある暑さをもたらす高気圧と、北海道の北部にある寒気を伴った高気圧が停滞し、二つの高気圧に挟まれるように梅雨前線が停滞したこと。二つ目は、台風7号通過後も暖かく湿った空気が残ってしまったことだ。そこに南からの湿った空気が流れ込んだことで長時間、同じ場所で雨が降り続いた。

 地球レベルで温暖化が進行する中、こうした集中豪雨は今後も繰り返されるだろう。

 これは非常事態だ。政府は、「命を守る」ことを重点に置いた予算措置をすべきだ。長期的な視野に立ち、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減を強化する必要もある。対策は待ったなしだ。

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