西日本豪雨 復旧阻む猛暑 水がない…募る不安

暑い中で水に漬かった出荷箱を運び出すJAえひめ南の職員(11日、愛媛県宇和島市吉田町で)

 気温30度以上の強い日差しが、西日本豪雨の被災地で農家やJA職員の復旧作業を阻んでいる。被害が甚大だった愛媛、岡山、広島などでは、11日も炎天下になった一方、砂ぼこりが舞う劣悪な環境となった。浸水被害後に気温が上昇している西日本の広い範囲で、病害虫の発生が心配される。12日からはさらに暑くなる見通しで、気象庁は熱中症や水管理に厳重な警戒を呼び掛ける。
 

残荷片付け 処分に時間 愛媛


 日中の最高気温が34度を超えた愛媛県大洲市。「水に漬かった後の気温高で出荷物が腐って、衛生環境は最悪だ」。JA愛媛たいきが運営するたいき産直市「愛たい菜」の職員(37)は腐敗が進む玄米を指さしながら話す。8日から片付けを始めたが、駐車場には農家から持ち込まれた出荷物が大量に残っている。

 ごみを受け入れる施設は、車が殺到し持ち込みに時間がかかる上、同産直市では11日、3トントラック1台しか確保できなかった。農家のボランティアら40人超が片付けに参加し熱中症の懸念もあるため、休憩を取って作業を進め、同産直市に機材など運び出した。

 JAえひめ南の味楽共選(宇和島市吉田町)は施設全域に泥が流れ込み、暑さで熱気が屋内にこもる。11日はフォークリフトや重機を使って泥をかき出したが、地域一帯が浸水したため砂ぼこりが職員らの目鼻に入る。水に漬かったミカンの出荷箱を運び出す作業を繰り返した。JAの男性職員は「一番必要なのは水。作業をする人が倒れては意味がない」と話す。
 

風呂入れず 食も燃料も 広島


 広島県では水道管の破断や送水トンネルが不通のため、広域で断水が続き、16万人に影響が出ている。解消は16日以降になる見通しだ。

 同県のJA呉管内はほぼ全域が断水となり、主要道路が寸断された。呉市倉橋町に住むJA倉橋営農経済センター購買担当の小出深雪さん(60)は「土曜日から水が出ず、風呂に入れず洗濯もできない。給水所は車で20分もかかり、お年寄りは来ることができない。強い日差しで、水がないのは本当につらい」と厳しい状況を訴える。農家は皆、疲れ切った様子という。

 JA管内の江田島市で、ミカンや野菜を栽培する農家の中田紀志枝さん(66)は「汗びっしょりで流木除去の手伝いをするが、入浴できない。スーパーに生鮮食品がない。猛暑で水がない上に、栄養がある食事を食べられない。ガソリンもしばらくなく、島がパニックになった」と明かす。同市内では自衛隊が風呂を提供するが、長い列ができているという。
 

泥水が乾燥 ほこり舞う 岡山


 岡山県倉敷市では、コンクリート道路に流れた泥水は暑さで乾燥し、ひび割れた状況。至る所で砂ぼこりが舞っていた。JA岡山西吉備路アグリセンターの横田勝センター長は「毎日高温続きで、復旧作業は大変厳しい」と話した。

 11日は幅広い地域を暑さが襲った。園地に泥や水が流れ込むなど大規模な被害があった高知県JA土佐香美は「道路分断で園地に行けない農家もいるが、酷暑で病害虫の発生を心配している」と不安を募らす。35度以上の猛暑日となった福岡県JAくるめは、水稲など500ヘクタールを超す浸水被害があり、早めの病害虫防除や水管理を急ぐ。

 気象庁によると、11日(午後7時現在)は全国486地点で30度を超す真夏日となった。広島、岡山、愛媛、高知、岐阜など被災地は軒並み、炎天下となった。太平洋高気圧が12~17日に西日本付近で強まり、今後はさらに厳しい暑さとなる見通し。35度を超える地点が増える恐れがあるとし、同庁は、熱中症に厳重な警戒を呼び掛ける。 
 

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