豪雨1週間 岡山県倉敷市 引かぬ水、猛暑続き… 不明の仲間 どこに

行方不明となった旧知の農家の親族を前に、小野さん(左)は悲しみに暮れた(12日、岡山県倉敷市真備町で)

 西日本を中心に大きな被害をもたらした豪雨の発生から13日で1週間。平成最悪となる豪雨被害の全容はいまだ明らかになっていない。行方不明者の捜索も続く。被災地では、断水や停電が長引き、7000人以上が避難生活をおくる。被災した農家は、先の見えない不安感を募らせる。(鈴木薫子)
 

営農再開 「一から」


 岡山県倉敷市真備町箭田(やた)地区。豪雨による近くの川が決壊、最大で5メートル浸水した。濁流が家屋や水田をのみ込んだ。いまだに各地で水が引かない。

 被災した米農家・小野正和さん(65)は、地域を見て回り、手掛かりを探す。米作りの師匠として慕っていた92歳の男性の行方が分からない。男性の孫たちとともに捜索する。「頑張ろう。頑張って見つけよう」。小野さんの声におえつが混じる。

 6日からの豪雨で、同地区が浸水するまでは一瞬の出来事だった。7日午前1時30分に箭田地区を含む真備町に避難指示が出た。同地区は小田川とその支流・高馬川の二つの川に挟まれる。小野さんはトラクターと田植え機を慌てて高馬川の土手に運んだ。

 「川の水位が2メートルほどあり、生きた心地がしなかった」(小野さん)。

 同1時34分に高馬川の堤防が決壊。小野さんは妻と軽トラックで無我夢中で逃げた。「5分遅ければ助からなかった」。避難途中には逃げ遅れた人も見掛けた。6時52分には小田川の堤防も決壊した。

 10日に初めて自分の水田を見て回った。言葉を失った。水田は泥沼と化し、がれきや家具、車が点在していた。稲は全て倒れまだ浸水している。

 小野さんは1ヘクタールで米を作っていた。これから米作りに専念しようとしていた矢先、80アール以上を失った。「この年じゃ借金もできん。家も失った。再建はできん。もうここから逃げ出したい」と絶望する。

 だが、友人だけは何としても見つけたい。猛暑の中、捜索が続く。

 同地区ではブドウにも大きな被害が出た。井上賢一さん(78)は、来週から出荷予定だった「ピオーネ」が浸水し、全滅した。6日午後10時40分に倉敷市に大雨特別警報が発令され、井上さんの近所の家屋が濁流にのみ込まれ、流されていた。9日に水をかき分けながらハウスを確認した。ぼうぜんとした。現在も、ハウスの屋根には布団やがれきが残る。8月旧盆明けに出荷予定の「シャインマスカット」も全滅した。

 だが、「選択肢は営農再開一つしかない」と言い切る。後継者である娘や息子たちと家の片付けが終わり次第、ハウスの片付けを行うという。井上さんは「失ったものは大きい。来年の出荷に向けて頑張るしかない」と前を向こうとしている。

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