西日本豪雨 ミカン園 道も水も… 極早生あと2カ月早急な支援を 愛媛県宇和島市

園地に続く農道が崩落。この先の園地には誰も入ることができない(愛媛県宇和島市吉田町で)

 愛媛県宇和島市のかんきつ園のスプリンクラーと農道が西日本豪雨の影響で広範囲に破損していることが分かった。極早生ミカンの出荷が2カ月後に迫る中、早急な復旧が求められている。18日までに、スプリンクラーは52ブロック(1000ヘクタール分)、農道は同市吉田町だけで少なくとも300カ所が被害。かん水や防除のシステムが被害を受け、栽培管理ができない。農道の破損で園地に入れない農家が多く、焦りを募らせている。(丸草慶人)

 スプリンクラーは国が1974年から南予用水事業として着手。宇和島市の他、八幡浜市と伊方町などの7200ヘクタールに対してかんがい用水を供給している。雨が少ない時期でのかん水や防除のための薬剤散布を主に行うもので、かんきつ栽培には欠かせない。

 西日本豪雨で被害を受けたスプリンクラーについて、県農地整備課は「事業が始まってからこれほどの被害を受けたことはない」とし、危機感を強める。西予市明浜町以南で被害が集中しているという。

 JAえひめ南によると17日午前10時時点で、スプリンクラーの被害があった52ブロックのうち、4割に当たる19ブロックは甚大な損壊を受け、復旧の見通しが立たない。

 大規模な土砂崩れにより、防除の際に薬剤を配合する薬剤混合水槽とスプリンクラーをつなぐパイプラインの破断が主な原因だ。ただ、被害の全容把握にはかなり時間がかかる見通し。

 農道の破損も全容はまだ見通せない。宇和島市建設課によると、吉田町管内で調査ができたのは管内面積のうち3割で、市職員らが徒歩で確認した。7月中に全面積の被害を調査する予定だ。

 前年産のかんきつの生産量が6259トンの玉津共選は園地が広がる山に続く農道が寸断され、ほとんどの生産者が自らの園地に入れていない。

 法花津防除組合で役員を務める山本平さん(31)は「今年産の復旧は難しいので、手散布での防除対応になる」と指摘する。スプリンクラーを使えば10アール当たり2分ほどで作業は終わるが、手散布では2時間はかかるという。9日以降は降雨がなく、樹勢の低下や病害の拡大も心配だ。

 同地域は20、30代の若手農業者約30人が集まる玉津農業後継者会を組織している。同会に所属する木下登善さん(32)は「若手農家は辞めずに、地域を支えていく」と前を向く。そのためにも、行政のいち早い支援を求める声も多く、御手洗隆徳さん(36)は「地域の基幹産業は農業、だからこそ復旧を後回しにしないでほしい」と強く要望する。 

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