[検証 農政改革][農地集積の今 6] 契約条件(福岡) 長期固定で負担増す 担い手への柔軟対応が鍵

JA職員と話し合う江﨑さん(右)(福岡県みやま市で)

 福岡県みやま市。農地中間管理機構(農地集積バンク)を活用した集積では地代を10年間固定する契約もあり、農地集積バンクを経由せずに貸し手と直接契約する際(3~5年)の倍以上だ。契約期間の長さなどによって変更もしにくく、担い手からは「地代などの契約条件を柔軟に変更しにくくなった」と不満の声が上がる。

 「以前は米の値段の動向で地代を変えていた。今は1万3000円で固定になり、変更しにくくなった」と同市の水稲農家、江崎三男さん(69)は打ち明ける。

 江崎さんの経営する米麦16ヘクタールのうち、50アールが農地集積バンク経由。契約期間は10年で、その間の地代は固定だ。一方、農業委員会経由の場合だと、3~5年で再契約の際は、しばしば地代を見直してきた。

 政府の方針で、農地集積バンクは契約期間を長く誘導している。固定資産税減額などの優遇措置で、10年以上預ける地主を増やしてきた。借り手側も農地への投資がしやすくなる利点があるが、半面、契約を見直す機会が減り、地代が高止まりする懸念を生んだ。

 集落営農など地域ぐるみの集積では、地代固定の影響がさらに大きくなる。不公平感を避けるため、地代をそろえることが多いだけに、後で条件が悪いと分かっても金額を変えにくいからだ。

 農地集積バンクの地代は現金支払いが基本となることも拍車を掛ける。米でも支払えた従来の農業委員会経由より経理の負担が大きく、地代変更を踏みとどまらせる原因の一つになっている。

 農地集積バンクでは、途中で契約内容を変えることもできる。しかし、地代変更には地域の合意も絡むため、市によると変更例はまだない。

 市は「地代設定は今後も課題になる。集積の進展や受け皿確保のためにも、担い手の負担をなるべく減らすことが大事になってくる」(農林水産課)と考える。

 同市では農地集積バンク発足以前から、農家や法人、市やJAみなみ筑後が連携し、集落営農や担い手への集積を進めてきた。江崎さんの地区は、地代は相場と同等以上とし、集落営農組織は10アール1万2000円、担い手は同1万3000円で統一。従来の農業委員会経由でも、農地集積バンクでも同じだが、協力金などの国の誘導策によって、農地集積バンクの利用が進んだ。

 地代などの条件固定は、担い手の不安材料になっている。2016、17年と天候不順が続き、18年は生産調整見直しで米価が見通しにくくなったことも、不安をさらに大きくする。江崎さんは「収入が見通しにくい中、貸し手と直接契約する仕組みの方が利用しやすい面もある。農地集積バンクは、もっと担い手へのメリットを示してほしい」と訴える。

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