EU、中国に協力要請 「複数国間交渉」立ち上げ狙う? WTO改革

 欧州連合(EU)のトゥスク大統領らが中国との首脳会談で、WTO(世界貿易機関)改革の協力を求めたとの一部報道を受け、WTO関係者の間でEUの動きに憶測が広がっている。

 途上国の高官は「EUの改革案はコンセンサス(全会一致)による意思決定の原則や途上国への優遇措置を骨抜きにすることが狙いではないか」と懸念。別の高官も「WTO交渉を、全加盟国が参加する多国間方式から有志国が主導する特定分野での複数国間方式へと変容させる意図があるのではないか」と警戒している。

 首脳会談は16日に北京で行われた。英紙ファイナンシャル・タイムズによると、トゥスクEU大統領は会談で「世界の貿易構造が変わりつつある」と中国の李克強首相に語り掛けた。WTO改革を持ち出し、産業補助金や知的財産権の規律強化などの項目で新たなルールが必要との考えを示したという。

 さらに「貿易戦争を回避するため、世界貿易ルールを再構築することが欧州や中国、ひいては米国、ロシアの共通の義務だ」と強調したという。会談にはユンケル欧州委員長も同席した。ただ、報道では今回のEUの協力要請に対し、中国側がどう反応したのかは明らかにされていない。

 WTOは現在、多国間貿易交渉の長期停滞化はもちろん、米国の反対で通商紛争で判決を下す上級委員の選考も暗礁に乗り上げており、紛争処理システムが機能不全に陥るのも時間の問題となっている。

 EU側からすると、新生WTO体制の下、電子商取引や投資円滑化といった新分野で有志国による複数国間交渉を立ち上げたいという思いがあり、中国を改革案作りに巻き込もうという思惑があるとみられる。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは