[猛暑時代 求める営農対策 1] 水稲 品質落とさない 間断かん水 体質強く 葉色診断基づき追肥徹底 埼玉・JAほくさい

JA職員(右)と葉色診断をする茂木さん(埼玉県加須市で)

 「米が真っ白だ」

 8年前の2010年。猛暑が日本列島を襲った。埼玉県のJAほくさい営農部の木元啓部長は、今も思い出す。精米を見て悲鳴を上げた職員の姿を。

 その年は、ブランド米「彩のかがやき」の1、2等米比率がほぼゼロ。大打撃を受けた。

 「二度と繰り返すわけにはいかない」。今年は営農指導員を総動員し、農家への暑熱対策を呼び掛ける。

 「彩のかがやき」は、JA管内の水稲8600ヘクタールのうち4000ヘクタールを占める。約1万9000トンを生産する主力品種だ。

 異常高温の10年は、高温障害の目安とされる「出穂後20日の平均気温が27度以上」を超えたとみられる。高温で肥料が早く溶け出し、出穂時に肥料切れになる水田が続出したことも被害を広げた。10年は1、2等米比率で0・1%以下。規格外が96・1%を占めた。

 同県だけでなく、関東以西の広い範囲で高温障害が発生した。全国の1等米比率は、62%と前年より23・1ポイント下落。西日本のほとんどの地域では1等米比率が50%を下回り、11都府県は20%に届かなかった。一方、10アール当り収量は522キロで、収穫量は847万8000トンと平年並み。等級が低い米が多く出回り、米価を大きく下げ、経営に影響した。

 埼玉県は11年以降、高温対策を徹底する。JAは、最も暑い8月上旬の出穂を避け、移植を5月上旬から5月20日以降に変更した。出穂を8月中旬以降に遅らせるためだ。

 水管理は、出穂7日後から入水と落水を繰り返し、根を活性化する間断かん水を徹底する。用水が限られ、水温を下げる掛け流しはできないが、高温に強い稲体を作る。

 追肥は、元肥一発施肥の水田でも葉色診断を徹底し、必要に応じ穂肥を施す。JAは「出穂15~10日前に葉色板で4を下回ったら追肥」と説明。具体的な文言で農家が統一的に取り組めるように指導した。

 JAほくさいは、県と連携して対策を構築してきた。「彩のかがやき」をいち早く導入し、5ヘクタールを栽培する加須市の茂木壮一さん(71)も栽培体系を改めた。茂木さんは「猛暑は当たり前になった。体系の見直しは負担だが、安定生産には欠かせない」と話す。

 対策が奏功し、JA産「彩のかがやき」の1等米比率は、県平均より高水準だ。13年の猛暑では県平均が71・1%だったが、JA管内は84%。14~17年は91・9~98%と安定した。

 今夏は、7月から35度を超える猛暑日が続く。JAは、ちらしを作成し、個別に農家を訪問して注意喚起を徹底する。木元部長は「対策は、追肥と水管理。実績のある対策を取り、産地ぐるみで乗り越える。手立てを尽くす」と意気込む。

 全国で観測史上最高気温を記録するなど猛暑の今夏。農畜産物の生産にも大きな影響を与えている。暑さに耐え、食の安定供給に取り組む産地、生産者を追った。

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