米輸出 伸び鈍化 18年上半期 新興市場の開拓課題

 米の輸出拡大ペースが鈍化している。財務省の貿易統計によると、2018年上半期(1~6月)の輸出量(商業用)は約6300トン。増加傾向にあるが、前年同期と比べた伸び率は1割強と、過去5年(通年)で最も低い。他国産との価格差などから、主力のシンガポール向けが伸び悩み、新興市場の開拓も進んでいない。農水省は来年までに、米と日本酒など加工品(原料米換算)を合計した年間輸出量を10万トンに増やす目標を立てているが、このペースでは達成が厳しい状況だ。

 輸出拡大に向けて、産地は多収品種の導入や直播など低コスト化を進める。農水省は輸出に取り組む産地に10アール当たり2万円の転作助成を始めた。だが、輸出先で流通する外国産米との価格差は依然大きい。日本産米の販売価格の引き下げが課題となるが、東北地方のJA担当者は「農家所得を確保できなければ、輸出の取り組みは広がらない」と指摘する。

 上半期は、最大の輸出先・香港が18%増の2252トンと好調だったが、香港に次ぐシンガポールが5%増の1467トンと他国と比べ伸び悩んだ。「日本米の輸入が増え、飽和傾向にある」(輸出業者)。輸出量は両国で約6割を占め、その他は米国554トン、台湾500トンと、いずれも1000トンに届いていない。

 輸出量は過去最多水準だが伸び率は年々落ちている。数量が3121トンとわずかだった13年は、前年から42%増と大きく伸びたが、16年は同31%、17年は19%、今年の上半期は13%程度となる。

 農水省は米や米加工品の輸出量の目標10万トンを掲げているが、達成には17年の輸出量2万8340トンを3・5倍に増やす必要がある。米は17年が1万1841トンで、今年上半期の増加ペース(13%程度)が通年で続くとすると、18年の年間上積みは1500トン程度にとどまる。

 輸出拡大の鍵は中国だ。5月には輸出可能な精米と燻蒸の施設が追加され輸出拡大が期待されるものの、「現地の中間業者の流通コストが高い」(大手米卸)ことなどが課題。中国向けの18年上半期の輸出量は159トン。前年同期より19%伸びているが、数量はわずかだ。

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