「秘すれば花」はロマン漂い

 「秘すれば花」はロマン漂い奥が深い。きょうは世阿弥忌。室町時代初期に能を大成した。575年前に逝く▼現代に通じる数々の名言を残す。今風に言えば劇団のオーナー兼プロデューサー。能をビジネス、観客をマーケット、人気を評価と置き換え、『風姿花伝』などを読み解く経営者も多い。〈花〉は「珍しさ」「面白さ」にも通じる例え。最も有名な「初心忘るべからず」。初心を忘れない。その奥には三つの〈初心〉がある▼「是非の」「時々の」さらに「老後の」。老後の初心とは何だろう。老齢期ならではの芸風を磨きさらなる高みに。確かに、その道の達人らは寿命尽きるその日まで向上心を忘れなかった▼著書を通じ「離見の見」の格言を広げたのはジャパネットの高田明・前社長。世阿弥は三つの目を述べ、中でも〈離見〉は自分と他者を含め全体を客観的に見ること。商品紹介で常にこれを意識し、具体性にこだわった。九州勤務時代、取材で長崎・佐世保の本社を訪ね、テレビ通販の極意を尋ねた。すると「お年寄りにもイメージが目に浮かぶ説明です」と応じ、「買って良かったとの手紙が何よりの励み」とも付け加えた▼引退後も社会に関わり「離見」の観点で情報発信を続ける。高田氏は「老後の初心」も実践中である。

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