[猛暑時代 求める営農対策 4] ウインドレス鶏舎 適温1羽の広さ2倍 採卵日齢570日に延びる 大分

アニマルウェルフェア対応の広いスペースの鶏舎(鈴木養鶏場提供)

 大分県日出町で約13万羽の採卵鶏を飼養する鈴木養鶏場は、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)に対応したウインドレス鶏舎で、コンピューター制御による温度管理を徹底し、猛暑を乗り切る。1羽当たりの飼養スペースは従来の2倍を確保し、鶏のストレスを軽減している。規模拡大より鶏の健康に配慮し、付加価値の高い鶏卵で収益を確保する。

 同養鶏場は、年間約2500トンの鶏卵を生産する。アニマルウェルフェアは10年前から取り組み、対応鶏舎はイタリア製。9棟のうち6棟が対応鶏舎で、残り3棟も切り替えを計画する。1棟当たり1億~2億円と高額のため、少しずつ切り替えた。会長の鈴木明久さん(74)は「今年は特に暑い。古い3棟の鶏舎は、死亡羽数が例年の約2倍。対応鶏舎6棟は影響はない」と説明する。

 対応鶏舎は、外部からの病原菌や小動物の侵入を防ぐため窓がない。鶏舎内の温度を下げるため、入口側の壁にある換気口を開け、段ボールメッシュの壁から空気を取り込み、反対側に設置している大型換気扇で外に出す。

 空気の流れはコンピューターで自動制御し、夏でも最適温度とされている上限の25度を超えないよう管理する。入口から空気を取り込んで温度むらがあった場合は両サイドからも空気を取り込み、室温を均一にする。

 対応鶏舎の外壁も、外気温の影響を抑えるのに一役買っている。厚さ50ミリの断熱材をガリバニウム鋼板で両面を覆った壁を採用。通常の30ミリの断熱材より影響は少ない。

 温度以外にも、飼養環境を改善した。35羽単位で使うケージは3・12平方メートル。1羽当たりの飼養スペースは、従来の400平方センチより広い750平方センチ以上を確保した。

 給水器は、ゲージの上部にプッシュ式のものを設置。鶏が争わずゆっくり飲めるように、従来より多い6個を設けた。体調に合わせて、ビタミン剤を入れることもある。

 給餌は、朝や夕方の涼しい時間帯にする。適正温度内で管理しても、真夏の日中は食欲が落ちるからだ。

 適正温度と飼養密度の改善という総合的な対策で、経済寿命が延びた。対応鶏舎導入前は500~520日齢で更新していたが、導入後は550~570日齢まで採卵できる。軟便になりやすい夏も、鶏ふんの状態は良い。堆肥化で発酵処理がスムーズになった。

 一方、飼養スペースを広げたことで採卵鶏の羽数が少なく、1日当たりの生産効率は下がる。収益を確保するために「アニマルウェルフェア対応鶏卵」として付加価値を高め、スーパーなどと契約取引をする。ブランド「優香」は、鶏卵1個当たり30~40円、「大樹」は40~50円と相場より高値だが、同養鶏場が運営する直売所「すずらん食品館」や地元スーパーでは人気商品だという。

 鈴木さんは「年々暑さが増している。今までのやり方ではやっていけない時代が来ている。鶏の健康に配慮し、付加価値を上げて鶏卵を販売することが重要だ」と語る。 

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