取水栓 真ちゅうバルブ 盗難ご用心 夏場は付けたまま農家の “油断” 狙う

盗難被害を受けた水田で、盗まれたバルブと同じ物を持って状況を説明する齋藤さん(水戸市で)

 農業用水の取水栓に取り付けている真ちゅう製バルブの盗難被害が、茨城県など各地で多発している。犯行はこれまで冬が多く、農家はバルブを外して盗難防止をしてきたが、最近はバルブが常に付いている農繁期を狙った犯行が増えている。このため、盗難の可能性が少ないプラスチック製バルブに替えるなど対策を進めるが、耐久年数が金属製より短く、負担の増加に頭を悩ませている。(藤川千尋)
 

「水、必要な時期」 転売目的? 一夜で200個

 
 水戸市で主食用米や稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)用の稲を約26ヘクタールで栽培している島営農生産組合は7月、バルブ201個を盗まれた。水稲が最も水を必要とする時期のため、バルブがないと水田に入れる水の量を調整する作業が困難になり、大きな痛手だ。

 盗難に気付いたのは代表理事の齋藤政雄さん(66)。犯行当日の午前4時半、日課の散歩中に、水田に水を引き入れる塩化ビニール管が壊れて道路に散乱しているのを発見。不審に思い確認すると、真ちゅう製のバルブがなくなっていた。

 齋藤さんは「水が一番必要な時期に、肝心のバルブが盗まれて頭が真っ白になった。一夜で200個を超す数なので、1人の仕業ではなく集団の犯行ではないか」とみる。

 盗難されたバルブは、いずれも民家や交通量の多い道路から離れた場所にあったものが狙われた。真ちゅう製のバルブは1個2000円以上。犯人はバルブを外しやすくするため、水を供給する塩化ビニール管やボルトなども破壊していた。修繕費などを考えると、同組合の被害額は80万円以上になると見込む。

 JA水戸は金属製から、盗難されるリスクが低いプラスチック製に替えるよう、農家に注意を呼び掛ける。ただ、農家にとっては費用がかさむことが悩みだ。齋藤さんは「プラスチック製のバルブに付け替えたが、真ちゅう製に比べると耐用年数は短い。将来の買い替えも含めて農家の負担は大きい」と漏らす。
 

銅の国際価格 高水準で推移


 真ちゅうは銅と亜鉛の合金で、黄銅とも呼ばれる。原料となる銅の国際価格は、指標とされるロンドン金属取引所(LME)で6月上旬に1トン7300ドル台の高値を付けた。その後は6000ドルを割り込み下落傾向にあるが、2016年初頭の4500ドル水準より高い状況で推移している。 
 

茨城で相次ぎ被害


 茨城県では稲敷市や河内町でも6、7月に真ちゅう製バルブの盗難が多発。新利根川土地改良区によると、今年は7月下旬までに約1200個が盗まれた。稲敷市農政課は「防災無線で盗難注意を呼び掛けた。今までは冬の犯行が中心だったので、油断している時期を狙ったかもしれない」と分析する。

 県農村計画課によると、県内では2015年度に農業関連の場所から真ちゅう製のバルブなど金属類の盗難が27件あった。18年度は8月9日の時点で既に27件の被害が報告されている。被害額は796万円に上り、被害は増加傾向にある。同課の担当者は「転売目的で盗んでいるのだろう。被害に遭ったらすぐに、警察と土地改良区に通報してほしい」と呼び掛ける。

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