西日本豪雨 「農道は生活道」 ミカン収穫あと1カ月 進まぬ復旧に焦り 豪雨禍の愛媛県宇和島市

土砂で通行できなくなった農道。農家が重機で復旧作業に当たっていた(愛媛県宇和島市で)

 農家にとって、農道は生活道の一部だ──。西日本豪雨で甚大な被害を受けた愛媛県宇和島市吉田町で、農道の復旧が遅れている。主な農道には市が仮設道を設置するが、工事業者の不足などで復旧の見通しはまだ立たない。ミカンの収穫が1カ月後に迫り、農家は焦りを募らせている。

 「生き残った園地だけでも管理しなければ」。JAえひめ南玉津共選長の山本計夫さん(65)は、頭を抱える。管内の2割に当たる70ヘクタールが崩れ、園内に続く農道が広範囲で寸断。徐々に自らの園地に入る農家も出てきたが、今も防除やかん水ができない園地が多い。

 法花津地区で60年間ミカンを栽培する今城善一郎さん(78)。園地に続く土砂の除去を続けるが、園地にまだ入れない。防除もできず「今年産は苦しい」と絶望視する。今城さんは「代々続く園地を守りたいが、後継者もいない。園地の被害や今後の設備投資の見当もつかない」と途方に暮れる。

 玉津果樹同志会会長の宮本和也さん(35)は、影響の長期化を心配する。農道がなければ樹体管理に加え、土砂崩れで流された収穫用モノレールの設置もできない。「翌年以降の収量がどうなるか分からない。離農を考える人は増える」と焦る。

 玉津共選は、玉津地区園地災害対策本部を設置。農道・施設の破損情報を集約し、生産者自ら重機を使って土砂の除去を進めている。市を交えた7月下旬の会議では、自主的な土砂除去作業にかかった重機のリース代や燃料代への助成の要望が通った。市は8月から農道の復旧候補を決め、国に災害査定を申請。並行して、応急的に園地に入れるよう仮設道の設置に着手した。

 ただ、農家の自主作業には限界があり、建設業者による工事が必要だ。宮本会長は「離農を考える人をつなぎ留めるためにも、農道の復旧を早くしてほしい。『できない』の回答が農家にはしんどい」と強調する。

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