[猛暑時代 求める営農対策 5] ピーマン自動かん水 樹勢を保ち2割増収 同時追肥、省力化にも 福島

佐久間さんが使う自動かん水システム。太陽光パネルは南東に向け、主に午前中にかん水する(福島県三春町で)

 福島県三春町で夏秋ピーマンを露地栽培する佐久間良一さん(64)は、日射量に応じて自動かん水する「拍動式ソーラー自動かん水システム」で、猛暑でも樹勢を維持する。同システムは、日射量が増えると、かん水量を増やす仕組み。適期に必要量を給水することで、手かん水に比べて2割増収につなげている。

 佐久間さんは22アールでピーマンを生産し、JA福島さくらに出荷する。標高350メートルに圃場(ほじょう)があり平地より涼しい夏秋野菜産地だが「35度近い日も増えた。ピーマンでは夏、花落ちや尻腐れが多発し収量低下が出てきた」と話す。

 予想を超えた猛暑で、手かん水では樹勢や着果の維持に限界を感じていた。県田村農業普及所の指導で2016年、同システムをトンネル栽培12アールに導入した。

 同システムは、農研機構・西日本農業研究センターが開発した。太陽光発電でポンプを動かし、タンクに水をくみ上げ、一定量たまれば点滴チューブでかん水する。簡単な仕組みだが、晴天時は発電量が増えるため多くかん水でき、雨天時は動かない。また自然に、一定量を間断かん水する「拍動式」となるため、高温や乾燥による株の生育低下を防げる。

 佐久間さんは、畝中央に点滴チューブ(20センチ間隔)を敷き、銀色マルチフィルムで被覆。5月上旬の定植から11月上旬の収穫終了まで、株元かん水する。用水は水温が低い地下水を活用する。地上タンクに水をため、太陽光発電でシステムを動かして架台上の500リットルタンクにくみ上げる。

 導入後はすぐに成果を実感。16年の10アール当たり収量は8トン、17年は13トンと、手かん水と比較して1、2割増えた。「生育初期から着果、分枝が良く、夏も落ちない」と実感。夏を越した9~11月の収量低下がなくなったという。

 同普及所は、かん水量の目安を作り導入農家に配布する。7月下旬~8月下旬の生育最盛期は最も多く、1株当たり日量2・5リットル。佐久間さんは晴天日は10アール(約1000株)当たり、だいたい3000リットルをかん水し、流量計を見て止める。

 かん水の省力化にもつながった。手かん水は、500リットルで1時間半~2時間かかっていた。システムではスイッチ切り替えだけで済む。タンクに緩効性肥料を入れて同時追肥もできる。

 18年は、5月中旬定植の露地栽培10アールにも同システムを導入。同普及所と連携して省力や追肥効果を検証している。

 システム販売元のプティオによると、果菜類の他、アスパラガスなど葉茎菜類でも使われ、普及台数は北海道から沖縄まで約1000台。佐久間さんが所属する同JA田村地区(田村市、三春町、小野町)では、ピーマン農家220戸のうち39戸が利用。同じ夏秋のナス、キュウリ、インゲンなどにも広がり始めた。

 「今年の暑さは異常」と佐久間さん。6月から真夏日が続き、花落ち、尻腐れも前作より増えている。ただ「今夏も自動かん水が良いのは明らか。全国的な不作で単価が上がり、安定して出せる産地が求められている」と話す。システムの導入で、猛暑に強い夏秋産地の形が見えてきた。

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