早見優さん(歌手) 食べることが何より好き 娘に「おふくろの味」を

早見優さん

 より食べることが好きなので、食べ物の話をしている時が一番幸せです。祖母と母が料理上手だったんです。欧州で生まれ育ちハワイに住んでいた祖母は、洋食中心に作ってくれました。トマトソースがすごくおいしくって。それにサンクスギビング(米国で11月に行われる感謝祭)では毎年、七面鳥を焼いてくれました。母は日本の家庭料理を作ってくれて、きんぴらごぼうや小松菜と油揚げの炒め物などを思い出します。

 私が日本に来て何年目のことでしょうか。ある年のクリスマスに祖母が日本に来ました。ハワイから冷凍の七面鳥を持って。でも祖母は税関で取り上げられてしまったんです。ずっと文句を言い続けて、クリスマスの前日に税関に行って持ち帰って来ました。検査で何の問題もないと判断され、取りに来てくださいと言われたのかもしれませんね。とにかくすぐに解凍しないといけないので、バスタブにお湯を張って中に入れて(笑)、食卓を飾りました。

 母は私が18歳の時、母は25歳の時に亡くなったんです。私は25歳で初めて一人暮らしを始めました。どのレストランで食べても、自分の求める味がないんです。それで料理を始めました。舌の記憶に従って作ったトマトソースを食べて、2歳下のいとこが「すごい。おばあちゃんの味だね」と言ってくれました。その言葉を聞いて、自分が求める味は自分で作るしかないと思ったんです。

 トマトソースは、夏なら生のトマト、冬なら水煮缶を使って作ります。ポイントは塩加減ですね。それを作り続けてもう25年がたちます。娘が2人いて、彼女たちにとっては私のトマトソースが「おふくろの味」。17歳の長女は食にうるさくて、レストランでトマトソースの料理を食べると「これじゃ駄目なんだよね」と言うんです(笑)。

 うちはハーブ類を育てていまして、バジルを摘んでジェノベーゼソースを作っています。長女はその味をしっかり分かっていますから、時々市販のソースを使うと「これ、瓶のでしょう」と。パスタのゆで方にしても「いつものアルデンテと違う」と。料理する側としては、ドキドキしちゃいますね。それに対して次女は何を作っても「ママ、おいしいね」と、こちらは褒め上手なんです。

 もちろん和食も作ります。魚を焼いたりみそ汁を作ったり、親子丼、豚汁、卵焼き、きんぴらごぼうといった家庭料理ですけど。私は「NHKワールド」という番組で和食の紹介をしていますが、先生の作る本格的な和食を見ますと、自分はちゃんと作っていないと感じています。

 日の朝は洋食、週末の朝は時間があるので和食を作ります。和食ってちょこちょこといろんなものを並べないといけないので大変なんですよね。でも、旬の食材を使った和食が並んだ食卓ってすてきだと思います。食材に旬があるというのが、日本の素晴らしいところだと思います。スーパーに行くと、旬のおいしい食材がドーンと並んでいるのがうれしく、作ってくれた農家の方に感謝します。今の時期ですと、トウモロコシ! ゆでておやつにするほか、天ぷらにして出します。

 家で暇な時は、キッチンで料理本を読んでいます。寝る前にもレシピを見てから眠るようにしています。レストランで食べておいしかったものを自宅で再現したり、新しい料理に挑戦したりするのが大好きなんです。こうして作る私の味を、娘たちが「おふくろの味」と感じてくれているのがうれしいですよね。(聞き手・菊地武顕)

<プロフィル> はやみ・ゆう

 3歳から14歳までグアム、ハワイで育つ。スカウトされ単身帰国し、1982年に「急いで!初恋」でデビュー。今年4月にデビュー35周年記念アルバム「Celebration ~from YU to you~」を、7月に写真集『サマー・ガール』を発売。10月8日、東京・銀座ケントスでワンマンライブを開催する。

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