「りんご台風」再来か 最強21号きょうにも上陸、縦断へ 収穫前倒し、施設補強

台風21号に備えて、早生品種の収穫を急ぐリンゴ農家(3日、青森県弘前市で=JAつがる弘前提供)

 今年最強クラスの台風21号が4日、四国から東海地方に上陸する見通しだ。21号の特徴は、風が強いこと。1991年の「りんご台風(19号)」のように非常に強い勢力を保ったまま上陸し、速度を速めて北日本に向かう恐れがあり、広い範囲で暴風域となる。農家は3日、被害を最小限にとどめるため、果樹の収穫前倒しやハウス補強など対策に追われた。

 青森県JAつがる弘前。週末から3日にかけ、農家は急ピッチで早生リンゴを収穫し続けている。「台風が来ても落ちなければよいが……。落ちたリンゴを拾うのがばかくさい(悔しい)」と焦る女性農家。頭をよぎるのは、91年に甚大な被害をもたらしたりんご台風だ。青森県では収穫を前にしたリンゴが軒並み落果し、農家は涙をのんだ。JA指導課の盛孝之係長は「進路がりんご台風と似ている。落果だけでなく擦り傷の恐れもあり、良品が少なくならないよう祈るしかない」。

 徳島県神山町鬼籠野でスダチを40アール栽培する佐々木昌弘さん(45)も、収穫を急いだ。「一個でも多く、被害に遭わないようにしたい」と懸命だ。

 その他の地域でも、園芸ハウスの補強や水稲の刈り取りに追われた。新潟県JAにいがた南蒲は「倒伏や浸水の恐れがあるので、早生品種こしいぶきの刈り取りに励んでいる」(営農企画課)と話す。岐阜県JAめぐみの管内では、郡上市などでトマトやナスの施設栽培農家が施設のビニールを剥がす作業を進めた。

 特産の「香住梨」が出荷ピークを迎えている兵庫県JAたじま管内では、風当たりが強い園地で収穫を早めたり、園地周辺に防風ネットを設置したりして備えた。
 

これ以上の被害 何としても防ぐ 西日本豪雨被災地


 西日本豪雨の被災地では、被害拡大を防ごうと早めの対策に奔走した。

 JA岡山西は台風の接近が予想された先週末には、支店の営農経済担当渉外員を中心に部会などを通じて対策を呼び掛けた。水稲は、可能な限り収穫を済ませることと併せ、倒伏を防ぐ深水管理や、冠水しても素早く排水できるよう準備を促した。ブドウなど果樹は早めに収穫する他、支柱でハウスを補強するなどの対策を周知した。JA吉備路アグリセンターの横田勝センター長は「今年は台風が多いため農家の意識も高く、備えは早い」と、これ以上被害を拡大させることのないよう気を引き締める。

 広島県三原市の農事組合法人沼田東ファームは3日、主食用米「ミルキークイーン」2ヘクタールの収穫を済ませた。管理する25ヘクタールの3割がある同市本郷町の船木地区では7月の豪雨で水田が被災しただけに、久留本忠美代表は「これ以上の被害を出さないよう作業を急いだ」と話す。
 

広範囲で強風


 気象庁によると、このままの非常に強い勢力での上陸は、「りんご台風」と呼ばれた91年の台風19号や、93年9月の13号以来となる。

 今回の21号は、特に台風の東側で暴風になる見通し。台風から離れた地域でも強い風となるため、広い範囲で注意が必要だ。さらに台風の進行が速く、一気に風雨が強まる恐れがある。同庁は「急に暴風雨になるので、農家は田畑や農業用水路の見回りは控えてほしい」(予報課)と、繰り返し呼び掛けている。

 

 <ことば> りんご台風 91年9月27日、非常に強い勢力で長崎県佐世保市の南に上陸。その後、加速しながら日本海を北東に進み、北海道・渡島半島に再上陸し、千島近海で温帯低気圧に変わった。沖縄から北海道まで全国で猛烈な風となり、最大風速は長崎市で25・6メートル(最大瞬間風速54・3メートル)、広島市で36メートル(同58・9メートル)、石川県輪島市で31・3メートル(同57・3メートル)、青森市で29メートル(同53・9メートル)を観測した。青森県などでリンゴの落果や西日本で塩害による果樹の枯死などの農業被害が出た。 

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