豚コレラ 岐阜で26年ぶり発生 きょう防疫完了へ

 岐阜県は9日、岐阜市の養豚場で、国内では26年ぶりの豚コレラが発生したと発表した。発生農場610頭の殺処分を10日早朝に完了し、汚染物の処理や農場の消毒などの防疫措置は、11日中に完了する見通し。予定通りに進めば防疫措置完了から28日後の10月10日に終息となる。政府は、同病発生を受け、豚肉と加工品の輸出を停止した。

 発生した豚コレラは、中国で発生が続いているアフリカ豚コレラとはウイルスが異なる。どちらも人間には感染せず、感染した豚肉を食べても人体に影響ない。逆性せっけんや炭酸ナトリウム、次亜塩素酸で消毒できる。死亡や、発熱などした豚が多くなった場合は家畜保健衛生所などに早期通報することが重要だ。

 農水省は9日、斎藤健農相を本部長とする防疫対策本部を設置。早期の封じ込めと感染拡大防止に取り組むとした。

 発生農場は3日、豚の死亡を通報。国の精密検査で9日に患畜と確認した。同県は、9日から、発生農場が飼養する610頭の殺処分を始め、10日早朝に完了。埋却、消毒などの防疫措置を進めている。

 同農場から半径3キロ未満を移動制限区域とし、豚の出入りを禁止した。移動制限区域内に、発生農場以外の養豚場はない。このため同省は、ワクチン接種の対応ではなく、発生農場の殺処分などによる封じ込めで対応する方針だ。

 県は10日までに県内全51戸の養豚農家とイノシシ飼養者に聞き取り調査した。半径3~10キロの搬出制限区域の3戸・1012頭を含め、異常がないことを確認。発生農場周辺の消毒を強化しつつ、主要道に消毒ポイントを設置した。

 感染経路は不明。発生農場では感染の要因ともなる食品残さを利用した飼料は、給与していないとの報告がある。

 政府は、9日から豚肉と加工品の輸出を全て停止。日本は、国際獣疫事務局(OIE)が認定する同病の清浄国だった。今後、防疫措置を進めてウイルスがないことを確認した後、OIEに申請し清浄国復帰を目指す。輸出再開は相手国と調整しながら対応する。

 日本の豚肉と加工品の年間輸出量は約600トンで、金額ベースで7億円(2017年)。主な輸出先は香港やシンガポールなど。豚コレラの発生は1992年の熊本県以来。当時は飼養37頭のうち5頭が患畜と確認、殺処分・埋却で封じ込めた。
 

症状から判別困難異変すぐに通報を


 農研機構動物衛生研究部門・山川睦海外病研究調整監の話

 豚コレラは空気感染の事例はなく、ウイルスを含むよだれやふんに、豚やイノシシが触れる直接感染で広がる。感染個体の肉などにもウイルスは残るため、その肉を飼料にした場合にも、加熱が不完全な場合は感染する恐れがある。

 農業者が行う対策では、とにかくウイルスを農場に侵入させないことが重要だ。次亜塩素酸や炭酸ナトリウムなどで無毒化できる。農場の出入り口に消毒設備を設置して、車や人を確実に消毒することが効果的だ。

 症状は発熱や下痢など、一般的な病気に当てはまるものが多く、見分けるのは難しい。中国で続発するアフリカ豚コレラとは、ウイルス自体が全く異なる。皮下出血は豚コレラの方が少ないが、区別は困難だ。死亡頭数が増えたら、すぐに家畜保健衛生所に連絡してほしい。
 

<ことば> 豚コレラ


 豚とイノシシが感染するウイルス性の家畜伝染病。急性型は高熱や食欲不振の他、耳などに紫斑が出て、短期間で死亡する。熊本での発生後、07年に清浄化を達成し、15年にOIEから清浄国認定を受けた。一方、ロシアや韓国、中国などでは発生が確認されていた。
 

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