黄金の田 土砂襲う 眼前に実り「歯がゆい」 長引く避難、営農再開遠く 北海道厚真町

田面が盛り上がり、倒れた水稲を見つめる農家(11日、北海道厚真町で=富永健太郎写す)

 北海道地震で震度7を観測した厚真町で、広範囲の山崩れによる水稲被害が発生し、営農再開のめどが立たない。土砂にのみ込まれた水田は、収穫間近だっただけに、農家の落胆は大きい。土砂で自宅を奪われた農家も多く、避難生活が続いている。あまりに広範囲の被害に、営農再開には程遠く、生活再建さえままならない。(川崎勇)

 「ここはもう収穫できないだろう。いつ営農再開できるのか。全く分からない」

 50アールの水田2筆に、地震後初めて訪れた厚真町高丘地区の水稲農家は訴える。山際から100メートル以上にわたって土砂が襲った。周囲の四つの山の斜面から土砂が流れた。土砂は、水田作土の下の土層にまで流れ込んだとみられる。収穫を間近に控えた「ななつぼし」は盛り上がった作土ごと引き裂かれ、横たわっていた。もう1筆の水田には、本来あるはずのない木々と山の土が入り乱れる。

 地震が生活と仕事を奪った。自宅にも土砂がなだれ込み、住めない。土砂によって道路が寸断され、発生から5日たった今も自宅に帰れていないという。現在は町内の避難所で家族と過ごす日々だ。先は見えない。不安は募るばかりだ。

 9月中旬のこの時期は水稲の収穫直前で、コンバインの点検をしているはずだった。前日に襲った台風によって、剥がれたハウスビニールの修復も途中だ。水稲24ヘクタールのうち、少なくとも5、6ヘクタールは土砂が流入したこの農家は「生活再建が第一だが、この時期に何もできないのは本当に歯がゆい」と訴える。

 同町が管内のJAとまこまい広域は11日も、農地や農作物、施設、農機の調査を実施した。被害が広範囲に及んでいる上、いまだ通行不可能な場所もあり、調査は難航している。JAは「全容把握にはまだ時間がかかる」とみる。

 同地区は開墾から120年以上の歴史がある。同地区で水稲16ヘクタールを栽培する小谷和宏さん(55)は「先祖が着の身着のままこの地に来て、森から畑、畑から水田に開墾された土地。次の世代につなげるようにしなければ」と強調する。 
 

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