26年ぶり豚コレラ 封じ込めへ防疫徹底を

 国内で26年ぶりとなる豚コレラが岐阜県で発生した。まずは被害を最小限に抑え、封じ込めを最優先すべきだ。感染経路の解明と併せ、早期発見・通報、迅速な防疫の重要性が改めて問われている。養豚農家も最大限に警戒し、少しの異変も見逃さないよう細心の注意を払うべきだ。

 豚コレラは感染力が強く、死亡率が高い。治療法がないため、殺処分での対応が基本となる。現場では11日までに、殺処分や埋却、消毒などの防疫措置を終えた。引き続き消毒や監視などを徹底して、感染を広げない対策が求められる。

 確定までの経緯はこうだ。農家は3日、岐阜市の獣医師に「養豚場で豚が死亡している」と通報。これを受け県は同日、死亡豚1頭を解剖。ウイルス検査では豚コレラの疑いは出なかったが、内臓に感染を疑う異常があったため、県は経過観察を続けていた。

 5日も3日と同じ検体で遺伝子検査し、陰性だった。それでも豚の死亡が止まらないことから7日、違う検体で再度、遺伝子検査を実施。ここで初めて陽性反応があり、8日に農研機構が検査し、9日に発生が確定した。確定する間に農家は豚を9頭出荷。4日から8日までに死んだ80頭の多くを処理し堆肥化していた。堆肥は出荷先の共同堆肥場で消毒されたが、死亡豚の処理に問題があった。

 県側の説明も不十分だ。県と農水省の発表が食い違うなど情報が錯綜(さくそう)。初動は適切だったのか、行政と現場との連携、情報提供の在り方も含めて検証が必要である。

 重要なのは、感染ルートの究明とともに最速での封じ込めと終息である。発生農場と同じと畜場や共同堆肥場を使っていた農家は、3週間ほどの監視が決まった。

 豚コレラは直接感染で広がる。感染した肉などが飼料に混入していた場合、うつる危険性がある。国は食品残さを飼料にする場合、十分な加熱を求めている。また、感染動物や排せつ物、堆肥、汚染された長靴などの物品からウイルスが入り込む恐れもある。消毒には逆性せっけんや炭酸ナトリウム、次亜塩素酸が有効。農場などの出入り口では、人や車の消毒を徹底する必要がある。

 豚コレラは特徴的な症状が少ないため、死亡の多さ以外で気付くことが難しい。農水省が示す病性鑑定指針によると、豚コレラの症状は発熱や食欲減退、便秘、下痢と、他の病気と共通するものが多い。

 今回、中国で症状が似たアフリカ豚コレラが続発し、防疫の意識が高まっていたことで発生が確認された。豚コレラは26年間、国内での発生がないことから「豚コレラを疑うのは難しかった」との声も出ていた。

 感染ルートの究明と確実な発見、封じ込めへ、農家は日々の観察と早期通報を徹底すべきだ。 
 

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