ユーチューブ活用広がる 災害発信、農業PR 都市と農村橋渡し

カメラの他、ドローンも使って撮影する原田さん(広島県東広島市で)

 農家らの間でインターネットの動画サイト「ユーチューブ」の活用が広がる。主な目的は農山村や農業をPRし、農業のファンを増やすこと。一方で、広島県の農家では、西日本豪雨による地域の惨状をいち早く伝えたところ、視聴者である関東地方の農家から地域への支援の橋渡しにつながったケースもある。ユーチューブが都市と農村、農家同士の懸け橋の役割を果たしている。
 

視聴者から支援 広島県東広島市農家の原田さん


 水田をのみ込む土砂、孤立する集落。ドローン(小型無人飛行機)の迫力ある空撮映像が次々と映し出される──。

 広島県東広島市の原田賢志さん(37)は、7月、西日本豪雨で被害を受けた地域の惨状をユーチューブに投稿した。原田さんは、自動車整備士をしながら、1ヘクタールでナスやトマト、アスパラガス、白ネギなど20品目を栽培する兼業農家。「農業ユーチューバー」の活動も加えた“三足のわらじ”を履く。

 豪雨により自宅は停電し、インターネットの環境も寸断。辛うじてつながったスマートフォンで自身のユーチューブのチャンネルを見ると、視聴者から安否を気遣うコメントが次々と入っていた。「惨状を伝えなければ」と原田さんは、撮影を敢行。安全を確保した上で愛用のドローンとカメラを駆使し、電気やネット回線の復旧後、10分ほどの動画を公開した。

 反響は大きかった。視聴回数は1万6000回を超えた。視聴者の一人で「東日本大震災で自分も支えられた」という茨城県の農家から支援の申し出もあった。やりとりを通じ、清涼飲料水や軍手などの提供を受けた原田さんは、市社会福祉協議会に連絡。被災者や災害ボランティアの元に届けることができた。「農業、農村のありのままを伝えようと思った。まさか被災地の支援につながるとは」と心境を語る。

 ユーチューブへの動画投稿は2017年の元旦から始めた。「原田農園」のチャンネルを開設し、毎日更新。畑で語りながら作物の様子や日々の作業、栽培方法を詳しく伝える。チャンネル登録者数は1万2000人を超える。早朝から出勤までと昼休み、帰宅後に農作業をして、その後は撮影した動画を1時間かけて編集している。

 原田さんは「思いを共有する人同士つながることができる。これからも農業の楽しさなどを多くの人に発信していきたい」と話す。
 

カモン栗原 替え歌人気 宮城


 宮城県栗原市の広大な田んぼを舞台に、動画で地域を発信するのが東北出身のグループ「パンダライオン」だ。沖縄県出身の7人の男性ダンスユニット「DA PUMP」が歌って踊るヒット曲「U.S.A.」をアレンジ。「I.N.K」(田舎)と題し歌詞の「アメリカ」の部分を「栗原」と替え歌で熱唱する。

 麦わら帽子と長靴という農作業着姿で動画に登場する同グループの佐藤大介さん(30)は同市に生まれ育ち、会社員の傍ら音楽活動に励む。実家は元農家で、米作りの手伝いをしていた幼少期から白米と美しい田んぼを誇りに感じていた。「I.N.K」には“栗原愛”を散りばめた。

 「カモンベイベー栗原」「青い軽トラだじいちゃんだ」といったユニークな歌詞が魅力。8月上旬にユーチューブに登録したところ、190万回以上も再生され、大きな話題を呼ぶ。佐藤さんは「栗原の田んぼは生命力に満ちあふれているのでぜひ映像を見てほしい」と呼び掛ける。
 

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